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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

貧困

2009年10月21日 | 人権保障と平和
 ここ20年、社会福祉主義が後退し、金持ち優遇制度が度を越しました。

 財源を問題にするときには、金持ちにも貧困層にも平等に負担が強いられる消費税ではなく、累進課税の所得税、法人税を見直すべきです。

 所得税の累進税率はどんどん切り下げられました(昔は黒柳徹子が「トットちゃんの本が売れても全部税金で持っていかれて何も残らないのよ」と嘆いていたのに)。

 住民税は所得税にほぼ連動。

 相続税も安くなりました(相続する財産がある人にはありがたい)。

 固定資産税も同様です(不動産が持てる人にはありがたい)。

 株式譲渡税もそうです(株式譲渡をする資金のあるひとにはありがたい)。

 富める者はますます富み、貧しいものはますます貧しく。それが日本です。

 法人税も同様で、日本の法人税は抜け道も多いので、大企業の社内留保は総計220兆円ともいわれています。

 税による、所得の再分配システムは完全に崩壊しています。

 その上、徴収した税金や年金保険料は政府に無駄遣いされ、富める者を潤す。

 我々日本人はほんとうに大人しい。
 100万人餓死者が出ても人民が立ち上がらない「人民共和国」という名の国と、国民性はそっくりなのでしょう。



国民7人に1人『貧困』 仕送りできず 働いても低時給
2009年10月21日 東京新聞


 国民の七人に一人が貧困状態。厚生労働省が二十日初公表した二〇〇七年の「相対的貧困率」で、こんな日本の姿が浮かび上がった。貧困率15・7%は経済協力開発機構(OECD)の最新統計に当てはめると、上から四位の高水準。OECD調査で貧困層の八割を働く人が占めるのが特徴だ。 (橋本誠)

 「こんなに高かったのか。でも、今はもっとひどいのでは」。昨年暮れ、栃木県の自動車工場で派遣切りに遭った男性(47)がつぶやいた。二年前は青森県でトラック運転手をしていた。「年収約二百四十万円。妻子と三人で暮らすのは楽ではなかった」と振り返る。

 配送先の倒産で給料の大幅ダウンを迫られ退職。自動車工場の派遣契約も四カ月で打ち切られた。今は労働組合が借りた東京都新宿区のアパートに身を寄せ、生活保護を受けながら仕事を探す。

 「仕送りができず、妻の実家にいる中学生の息子の修学旅行費が心配。資格なしでできる仕事は月給十八万円ほどだが、それすら見つからない。働きたいのに…」と焦る。

 OECDが集計した二〇〇〇年代半ばの最新統計で、日本の貧困率は14・9%。メキシコや米国などに次いで四番目。中でも貧困層全体に占める働く人の割合は82・8%で、加盟国中六番目。OECD平均の62・8%、米国の72%を上回った。

 首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「細切れの雇用が広がって賃金水準が下がり、失業したときの雇用保険の受給率も極めて低い。まともに働いてもまともに食えなくなっている」と指摘する。

 一方、今回調査で十八歳未満の子どもの貧困率は14・2%。〇〇年代半ばのOECD調査で、働くひとり親家庭の貧困率は58%とワーストだ。「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子理事は「時給などの労働条件が悪く、働くことが貧困削減につながらない。英国は二〇年までに子どもの貧困率をゼロにする計画を立てており、日本も貧困をなくす義務がある」と話した。

 湯浅誠・反貧困ネットワーク事務局長の話 一九九〇年代以降、雇用の崩壊とともにホームレスや母子世帯など社会的に弱い立場にある人々が真っ先に貧困化した。「構造改革路線」の影の部分である貧困問題が社会問題にならず、対策も取られず、傷口は広がり続けた。政権交代を起こしたのは、年収二百万、三百万円以下で余裕のない暮らしを営む人たちの「もう我慢できない」という声なき声だ。初めての貧困率測定で、政府は貧困問題のスタートラインについた。

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