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安倍首相は本当に憲法や人権規定のことを全然わかっていないんだなあと言う答弁が、また国会でありました。
毎日新聞 2015年03月04日 東京朝刊
私が考えを述べるのは言論の自由だ−−。安倍晋三首相は3日の衆院予算委員会で、民放のテレビ番組に出演中、内容に注文をつけたことを批判され、語気を強めて反論した。
民主党の大串博志氏が問題にしたのは、首相が衆院解散を明言した昨年11月18日のTBSの生放送番組。首相は、景気について街頭の批判的コメントを多く取り上げたとして、「選んでますね」「これ、おかしい」などと番組で指摘した。自民党はその2日後、在京テレビ6局に選挙報道の公正中立を要請した。
大串氏が「個別の報道の取り上げ方についてその場でおかしいというのは問題だ」とただしたのに対し、首相は「前提として、いったい何人に聞いたのか。不偏不党な放送をしてもらいたいのは当然だ」と反論。「私の疑問を国民に投げかけた。それが正しいかどうかも含め選挙で審判を受けた」と主張した。大串氏は「報道への介入と言われても仕方のない発言だ」と追及したが、首相は「何の問題もない」と突っぱねた。【福岡静哉】
安倍氏個人が自分の意見を言うのが「言論の自由だ」というのは当たり前のことです。
問題にされているのは、安倍首相がTBSの番組で番組の編集権に関わるような発言をして、その直後に与党自民党がテレビ局各局に選挙報道の「公正中立」を要請したことなのです。
基本的人権、なかでも「言論の自由」=表現の自由のような自由権は、「国家からの自由」と言われ、国家権力からの干渉を受けない自由であることをその本質とします。
つまり、何を言うのも「そんなことを言ってはならない」などと国家から妨げられないし、言った後も国家から「変なことを言ったな」と干渉されたり自由を意味します。
再度言いますが、安倍氏個人にも表現の自由は当然保障され、彼が言おうとしていることや言ったことに国家権力が干渉することは出来ません。
しかし、問題は、内閣総理大臣である安倍首相は国家権力の頂点におり、自民党は政権党であってこれもまた国家権力の中枢に位置を占めていることなのです。
彼らがテレビ局にこのような報道をしろと「意見」を言ったり、「要請」したりすることが、テレビ局の報道の自由、ひいては国民の「知る権利」を侵害する危険性があるから問題にされているのです。
たとえば、安倍氏が個人として信教の自由があり靖国神社に参拝する自由はあっても、内閣総理大臣として靖国神社に公式参拝すれば政教分離違反とであって憲法違反になるのです。彼は個人としての安倍晋三であるのと同時に、国家権力の最も重要な担い手でもアルのですから。
それなのに、
「僕にも言論の自由があるんだから、何を言ってもいいんだもんねえ!」
というのは、安倍首相が自分の立場をわかっていないこと、個人と権力の担い手であることの区別が全くついておらず、自分の言動を抑制しなければならないのを全く認識していないことを示しており、私はあらためて日本の現状と将来を思って安全とせざるを得ませんでした。
さて、今回問題になっている、安倍首相が衆議院選挙期間中の2014年の11月18日にTBSの報道番組「NEWS23」に登場したときの様子を録画した物を見つけたので、ご紹介しておきます。
ごらんのように、この番組では、毎日新聞の岸井成格特別編集委員ら3人が安倍首相に対峙する形でインタビューが行われました。
安倍首相はまず、岸井氏らから質問を受けて、今衆議院を解散する理由について説明し、アベノミクスはうまくいっていないとの指摘についても長々と反論しました。しかし、岸井氏は、庶民の間では景気回復が実感になっていないと指摘し、続いて、番組が事前に取材した「街の声」がVTRで紹介されたのです。
そこでは、「株価が上がってきてアベノミクスの効果はあった」「解散・総選挙で民意を問うのはよい」といった好意的な声もありましたが、「お給料は上がってない」「景気も悪い」「全然アベノミクスは感じていない」「大企業しか分からへん」など否定的なものが多かったのです。
概略を述べると、たとえば、
街頭の人
「アベノミクスの実感ない」
安倍首相
「中小企業の方々でですね、小規模事業者の方々で、名前を出してテレビで『儲かってます』って答えるのは、相当勇気がいるんですよ。これ常識ですが、納入先にですね、『それだったら、もっと安くさせてもらいますよ』と言われるのが当たり前ですから」
TBS「でも…」
安倍首相
「ミクロで見ていけばですね、いろんな方々がおられます」
「マクロでは明らかにプラス」「(TBSは)コメント選んで流してると思いますけどね!」
そして、6割の企業が賃上げしているとして、
「これ全然声反映されていませんが、これおかしいじゃないですか!」
と色をなして異議を唱えています。
また、街頭インタビューで多くの人が景気回復の実感がないというVTRが流れると
安倍「VTRはあなた方が作ってるので!」
といった具合です。
当時、各世論調査でアベノミクスの実感がないという声はどこの調査でも過半数を占めていました。TBSの街頭インタビューは特に偏った意見を採り上げたわけではありませんでした。
しかし、安倍首相は自分がこの番組で追い詰められたのがよほど気に入らなかったのでしょう。
なんと、自民党がこのテレビの2日後の11月20日に前代未聞の「要請」をNHKと在京民放テレビ局の編成局長と報道局長宛に対し、選挙報道の公平中立などを要請する通達が書かれた要望書を渡したのです。
この自民党からの通達には、案の定街頭インタビューの集め方について注意が書いてありました(笑)。「よくも殿に恥をかかせたな」ということとしか思えません。しかし通達されたのはそれだけではなく、番組の構成について事細かに注文を付ける内容でした。
この要望書を詳しく見ると、出演者の発言回数や時間、ゲスト出演者の選定、テーマ選び、街頭インタビューや資料映像の使い方−−の4項目について「公平中立、公正」を要望する内容になっていました。
これは、テレビ局の、報道の自由の中核をなす「番組編成権」の明らかな干渉・侵害です。
自民党の萩生田首相補佐らが在京テレビ局6局に「公正な報道」を要請した通達書。
一見、この要望書に書かれている内容はまっとうな物に見えます。しかし、自民党がこういう要望を出すと言うことは、総務省に放送認可の決定権を握られている放送局にとっては、「政府に不利な報道を取り上げるのは『公平』ではなく、許されない」というメッセージになることは明らかです。
現に、この直後、討論番組の老舗として有名なテレビ朝日の「朝まで生テレビ」が、突然、荻原チキ氏などの識者の出演を番組収録直前になって断るという事態が起こりました。
また、そもそも、自民党からテレビ局に「公平な報道」を求める要請があったことを、当のテレビ局が全く報じることが出来ませんでした。この事実はフリージャーナリストがTwitterでつぶやいたことでやっと世間に知られ、要請書が出されてから一週間たって、ようやく共同通信と毎日新聞が後掲のような小さな記事にしただけだったのです。
参考記事
自民”牽制”による効果? テレビ朝日はひるんだのか!?
テレビの選挙報道への圧力にBPOは緊急声明を出すべき!
自民党、異例の選挙報道要望書は「脅し」か テレビ局で広がる委縮、調査報道の妨げに
ちなみにこの通達の差出人は自民党筆頭副幹事長の萩生田光一氏と、報道局長の福井照氏となっていました。
萩生田氏と言えば、統一教会多摩文京区が主催した「祝福原理大復興会」なるイベントに来賓として出席したり、
「首相が夜間、休日の保育園の充実といった翌日に、われわれは、保守政党たる自民党が夜間や休日の保育園を充実することが本当に子育て世代の応援かと首相に苦言を呈しましたよ。首相は建設的な意見にはきちんと耳を傾ける方ですからね」
と発言したり、日本有数の右翼団体だる日本会議に
「行き過ぎたジェンダーフリー教育、過激な性教育対策では日本会議の識者の先生方の後押しもいただき、党内でも問題を喚起し、ジェンダーの暴走をくい止め、正しい男女共同参画社会へと路線を変更する事ができました」
というメッセージを寄せたり、歴史教科書に見られる「偏向的な記述」を是正するため、教科書の記述や検定制度の在り方を包括的に示す「教科書法」(仮称)の制定を検討したり、安倍首相に靖国神社参拝をけしかけたりする、安倍政権きっての右翼的人物として知られており、彼が出した通達が各テレビ局を震え上がらせたことは想像に難くありません。
アベノリスク5 ネトウヨ・ネオナチと化して、人が憎しみ合うヘイト社会を創る安倍極右政権
自民党の「教科書法」は教科書の内容に直接介入するもので表現の自由、教育の自由を侵害する
アベノリスク3 安倍政権は女性の輝きを奪う 麻生太郎 高市早苗 山谷えり子 稲田朋子 下村博文等閣僚妄言録
このような政府自民党のテレビ局への圧力は大いに功を奏し、テレビ局の選挙報道の放映時間はなんと前回の選挙の6割になってしまいました。テレビ局は総選挙という、現政権の政策を最も問わなければならないときに、問うてしまえば糾弾される可能性があると言うことで、完全に萎縮してしまったのです。
これでは、この衆院選挙が戦後最悪の棄権者を出し、また自民党が圧勝するのは当たり前です。
このように報道自粛を求めれば自分たちへの批判を封じ込めることが出来るだけでなく、国民の政治的無関心を呼び起こせることをはっきり認識した安倍政権が、今後もテレビ局だけでなく、新聞などあらゆるメディアに圧力を加え続けるであろうことは自明の理です。
現に、テレビ朝日の「報道ステーション」が安倍政権により圧迫を加え続けられており、その事実上の強制によって、安倍政権をこっぴどく批判していた古賀茂明氏をコメンテーターから2015年3月を持って降板させることになったことは耳目に新しいのです。
参考記事
古賀茂明氏が「報道ステーション」降板 テレ朝側の対応に不満
私たちの知る権利を侵害させず、国民が政治に積極的に参加していく参加型民主主義を実現していくためにも、安倍政権がマスメディアに書ける様々な圧力に敏感になり、監視し続け、これに抗議していくことが大切だと思います。
今回のことで一番恐ろしかったのは、テレビ局が自分に圧力を加えラテいることを報道しようともせず、されるがままに萎縮してしまっていたことです。
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。
毎日新聞 2015年03月04日 東京朝刊
私が考えを述べるのは言論の自由だ−−。安倍晋三首相は3日の衆院予算委員会で、民放のテレビ番組に出演中、内容に注文をつけたことを批判され、語気を強めて反論した。
民主党の大串博志氏が問題にしたのは、首相が衆院解散を明言した昨年11月18日のTBSの生放送番組。首相は、景気について街頭の批判的コメントを多く取り上げたとして、「選んでますね」「これ、おかしい」などと番組で指摘した。自民党はその2日後、在京テレビ6局に選挙報道の公正中立を要請した。
大串氏が「個別の報道の取り上げ方についてその場でおかしいというのは問題だ」とただしたのに対し、首相は「前提として、いったい何人に聞いたのか。不偏不党な放送をしてもらいたいのは当然だ」と反論。「私の疑問を国民に投げかけた。それが正しいかどうかも含め選挙で審判を受けた」と主張した。大串氏は「報道への介入と言われても仕方のない発言だ」と追及したが、首相は「何の問題もない」と突っぱねた。【福岡静哉】
![](http://img.47news.jp/PN/201411/PN2014112701001725.-.-.CI0003.jpg)
自民党が在京テレビ各局に渡した、選挙期間中の報道の公平性を確保するよう求めた文書のコピー
自民党が衆院解散の前日、選挙期間中の報道の公平性を確保し、出演者やテーマなど内容にも配慮するよう求める文書を、在京テレビ各局に渡していたことが27日、自民党などへの取材で分かった。
自民党広報本部は取材に「報道の自由は尊重するという点は何ら変わりない。報道各社は、当然ながら公正な報道を行ってもらえると理解している」と回答した。
文書は20日付で、在京キー局の編成局長と報道局長宛て。差出人は自民党筆頭副幹事長の萩生田光一氏と、報道局長の福井照氏となっている。
毎日新聞 2014年11月27日 20時25分(最終更新 11月27日 21時41分)
自民党がNHKと在京民放テレビ局に対し、選挙報道の公平中立などを求める要望書を渡していたことが27日分かった。街頭インタビューの集め方など、番組の構成について細かに注意を求める内容は異例。編集権への介入に当たると懸念の声もあがっている。
要望書は、解散前日の20日付。萩生田光一・自民党筆頭副幹事長、福井照・報道局長の両衆院議員の連名。それによると、出演者の発言回数や時間▽ゲスト出演者の選定▽テーマ選び▽街頭インタビューや資料映像の使い方−−の4項目について「公平中立、公正」を要望する内容になっている。街頭インタビューをめぐっては今月18日、TBSの報道番組に出演した安倍晋三首相が、アベノミクスへの市民の厳しい意見が相次いだ映像が流れた後、「これ全然、声が反映されてません。おかしいじゃありませんか」と不快感を示していた。
また要望書では、「過去にはあるテレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道を行い、大きな社会問題になった事例も現実にあった」とも記し、1993年の総選挙報道が国会の証人喚問に発展したテレビ朝日の「椿問題」とみられる事例をあげ、各局の報道姿勢をけん制している。
この日の定例記者会見で、テレビ東京の高橋雄一社長は「これをもらったから改めて何かに気をつけろというものとは受け止めていない」と述べた。NHK以外の各民放は文書が届いたことを認め、公平中立な報道を心がけるとしている。
こうした要望は、選挙のたびに各政党が行っているが、公示前は珍しい。ある民放幹部は「ここまで細かい指示を受けた記憶はない」と話し、また別の民放幹部は「朝日新聞バッシングなどメディア批判が高まる中、萎縮効果はある」と語った。
毎日新聞の取材に対し自民党は「報道の自由を尊重するという点は何ら変わりない。当然ながら公正な報道を行っていただけるものと理解している」と文書でコメントした。【望月麻紀、須藤唯哉、青島顕】
◇服部孝章・立教大教授(メディア法)の話
放送法の文言をひいて「公平中立」を求めているが、実態はテレビ局への恫愒(どうかつ)だ。しかも、以前のテレビ局の報道を「偏向報道」と批判している。アベノミクスに批判的な識者を出演させないよう予防線を張っているともとれ、焦りも感じる。政権担当者は批判されるのが当たり前なのに、自分たちの都合のよい報道を求めるのは危険な行為だ。
『NEWS23』の安倍逆ギレが原因? 自民党がテレビ局に批判封じ込めの通達
![141127_abe.jpg](http://lite-ra.com/images/141127_abe.jpg)
「安倍晋三 選挙公約」より
『NEWS23』(TBS系)の街頭インタビューに「厳しい意見を意図的に選んでいる」と陰謀論まがいの主張をまくしたて、各方面から批判を浴びた安倍首相。だが、本人はそういった声に一切耳を貸すつもりはないようだ。それどころか、直後から、自分たちを批判しないようにテレビ各局に圧力をかけはじめた。
〈選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い〉
『NEWS23』出演から2日後の11月20日、在京テレビキー局の編成局長、報道局長宛てにこんな題名の文書が送られてきた。差出人は「自由民主党 筆頭副幹事長 萩生田光一/報道局長 福井 照」。文書はこう始まる。
〈さて、ご承知の通り、衆議院は明21日に解散され、総選挙が12月2日、14日投開票の予定で挙行される見通しとなっています。
つきましては公平中立、公正を旨とする報道各社の皆様にこちらからあらためて申し上げるのも不遜とは存じますが、これからの期間におきましては、さらに一層の公平中立、公正な報道にご留意いただきたくお願い申し上げます。〉
一見、低姿勢で〈公平中立〉などときれいごとを並べているが、わざわざこの時期に通達をしてくるということ自体、明らかに自民党に批判的な報道をするな、という脅しである。実際、この後にはこんな記述が続く。
〈過去においては、具体名は差し控えますが、あるテレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道を行い、それを事実と認めて誇り、大きな社会問題となった事例もあったところです。〉
ようするに、テレビ朝日の椿発言のことを持ち出して、「ゆめゆめ、政権交代の手助けをしようなんて考えるなよ」と釘をさしたわけだ。
そして、以下のように、具体的な要求項目を並べたてる。
〈・出演者の発言回数及び時間等については公平を期していただきたいこと
・ゲスト出演者の選定についても公平中立、公正を期していただきたいこと
・テーマについて特定の立場から特定政党出演者への意見の集中がないよう、公平中立、公正を期していただきたいこと
・街角インタビュー、資料映像等で一方的な意見に偏る、あるいは特定の政治的立場が強調されることのないよう、公平中立、公正を期していただきたいこと〉
おそらく、この最後の街頭インタビューのくだりが、この文書の最大の目的だろう。陰謀論に凝り固まった安倍首相が『NEWS23』に怒りを爆発させ、「街頭インタビューをつぶせ!」と指令を下したのは想像に難くない。
安倍晋三首相が、解散・総選挙を特集したテレビの報道番組で「街の声」を意図的に編集したのではないかと異議を唱えたことが、話題になっている。そのイライラぶりに、ネットでは批判的な声も出ている。
解散表明の会見後、安倍首相は、テレビ番組などをハシゴして精力的に説明行脚した。嫌いだとされる朝日系には出演せず、メディアを選んでいたようだ。
TBS側が意図的に編集したのではないかと
![安倍首相の心中は?](http://www.j-cast.com/images/2014/news221293_pho01.jpg)
安倍首相の心中は?
TBS系の報道番組「NEWS23」にも、安倍首相は一番最後になって出演した。父親で同じ政治家の故・晋太郎氏が毎日新聞記者出身であることから、毎日系のTBSも選ばれた可能性があるが、それは分かっていない。
番組では、毎日新聞の岸井成格特別編集委員ら3人が安倍首相に対峙する形でインタビューが行われた。
安倍首相はまず、岸井氏らから質問を受けて、今衆議院を解散する理由について説明し、アベノミクスはうまくいっていないとの指摘についても長々と反論した。しかし、岸井氏は、庶民の間では景気回復が実感になっていないと指摘し、続いて、番組が事前に取材した「街の声」がVTRで紹介された。
そこでは、「株価が上がってきてアベノミクスの効果はあった」「解散・総選挙で民意を問うのはよい」といった好意的な声もあったが、「お給料は上がってない」「景気も悪い」「全然アベノミクスは感じていない」「大企業しか分からへん」など否定的なものが多かった。
これに対し、岸井氏が何か聞こうとすると、安倍首相はそれを制止し、次のようにまくし立てた。
「これはですね、街の声ですから。みなさん選んでいると思いますよ、もしかしたらね」
安倍首相は、TBS側が街の声を意図的に編集したのではないかと言いたかったらしい。
ネットでは、「見苦しい」など疑問多数
厳しい声が多かったことについて、安倍首相は、「ミクロで見ていけばですね、いろんな方々がおられます」とは認めた。しかし、国民総所得はプラスに転じ、「マクロでは明らかにプラス」だとして、次のように主張した。
「中小企業の方々でですね、小規模事業者の方々で、名前を出してテレビで『儲かってます』って答えるのは、相当勇気がいるんですよ。これ常識ですが、納入先にですね、『それだったら、もっと安くさせてもらいますよ』と言われるのが当たり前ですから」
そのうえで、6割の企業が賃上げしているとして、「これ全然声反映されていませんが、これおかしいじゃないですか!」と色をなして異議を唱えた。
安倍首相が声を上ずらせるシーンは、インタビューの最後でもあった。
特定秘密法も選挙の争点になると指摘されると、安倍首相は、こう説明した。
「これはまさに、工作員とかね、テロリスト、スパイを相手にしていますから、国民はまったくこれは基本的に関係ないんですよ。報道で『映画が作れなくなる』、私は映画が作れなくなれば、すぐ総理大臣辞めてもいいですよ。そんなことありえませんから。『報道がそれで抑圧される』、そんな例があったら私は辞めますよ」
もう1つの争点に上げられた集団的自衛権についても、「『あなたも戦場に行かされる』というのは、極めて不真面目な態度ですよ。そんなことは起こりえないんですから」とまくし立てた。
安倍首相がこれだけ感情を露わにしたのは、深夜になって疲れていることもあるのかもしれない。しかし、ネット上では、こうした発言について、疑問や批判の声が多い。「すっごいむきになってる総理、見苦しい!!!」「言ってることがハチャメチャ」「街の声聞いて安倍キレとるわ。国民の意見やぞこれ」「世論調査でも実感無いが多数なのにね」といったものだ。
もっとも、「マスゴミが何時もやってる手口だもんな」「安倍叩きのつもりが、安倍に叩かれるマスコミ」「いい加減総理がキレてもおかしくない」と安倍首相を支持する声も出ている。
安倍批判の古賀茂明氏、報道ステーション降板へ 「4月以降の出演はない」と明かす
「I am not Abe」と安倍晋三首相の人質事件対応を批判した元経産官僚の古賀茂明氏(59)が、テレビ朝日系「報道ステーション」のコメンテーターを2015年3月いっぱいで降板する見通しになった。古賀氏本人が取材に明らかにした。その真相を巡っては、週刊誌報道などを通じ、様々な憶測が流れている。
古賀茂明氏の発言があったのは、ISIL(いわゆるイスラム国)問題の特集をした2015年1月23日放送の報ステだった。
「I am not Abe」と人質事件対応を批判
古賀氏は番組で、日本政府が後藤健二さんに対する身代金要求を知りながら、安倍首相がISILに宣戦布告するような中東支援声明をしたと指摘した。そのうえで、「後藤さん犠牲になっちゃうかもしれないけど、でも、もっと大事なことがあるんだっていう判断をして、一連の発言をしたんだろう」と推測した。
それは、ISILと戦う米英などの仲間になりたいということだったのではないかとした。その結果、ISILなどに日本は米英と同じだとみなされてしまったとして、安倍首相の対応を厳しく批判した。
古賀氏は、日本には憲法があり、戦争しない国であるとして、自分だったら、「I am not Abe」というプラカードを掲げて、「日本人は違いますよ」と主張すると述べていた。
古舘伊知郎キャスターは、違う見方の人もいると直後にフォローした。しかし、当時のネット上では、ISILのテロを利用して安倍首相批判をしているなどと番組内容に疑問も相次いでいた。
そして、一部の週刊誌やニュースサイトは、2月16日になって、古賀氏が番組を降板する見通しだと報じた。
朝日新聞の恵村順一郎論説委員も降板?
古賀茂明氏にJ-CASTニュースが取材すると、報ステのコメンテーターとして、「4月以降の出演はないものと理解しています」と降板の見通しを認めた。ただ、週刊ポストの記事では、「私は『反安倍』でも『親安倍』でもない」などとして、テレ朝側から出演依頼がないことに不満を示していた。
週刊ポストによると、朝日新聞の恵村順一郎論説委員も3月いっぱいで報ステのコメンテーターを降板するという。さらに、番組統括の女性チーフプロデューサーも4月から他の部署に異動する見通しだとしている。
14年10月にあったテレ朝の放送番組審議会の内部資料も入手したとし、そこでは、原発報道について委員からスタッフ批判があり、さらに恵村氏についても、慰安婦問題の発言で苦言が呈されたという。その後、14年末になって、プロデューサーに異動の内示が出されるなどしたとしている。なお、審議会の議事録は、テレ朝サイトでその概要が公開されているが、今回のはまだアップされていない。
古賀氏ら降板の事実関係について、テレビ朝日の広報部では、「人事や出演者について、決定していることはございません」と取材にコメントした。また、朝日新聞社の広報部でも、恵村氏が降板するのかについて、「出演に関し、決定していることはありません」と答えた。
自民党、異例の選挙報道要望書は「脅し」か テレビ局で広がる委縮、調査報道の妨げに
文=編集部、協力=水島宏明/法政大学社会学部教授
自民党がNHK及び在京民放テレビ局に対し、衆議院解散前日の11月20日付で「選挙報道の公平中立」などを求める要望書を渡していたことが判明し、波紋を呼んでいる。その内容は「出演者の発言回数や時間」「ゲスト出演者の選定」「テーマ選び」「街頭インタビューや資料映像の使い方」など詳細にわたる「異例のもの」(テレビ局関係者)で、編集権への介入に該当する懸念も指摘されている。
そのような中、当初は各党議員と政治家以外のパネリスト数人が討論するという構成であった討論番組『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系/11月29日放送)が、放送日直前に議員のみの出演に変更されていたことが明らかとなった。出演予定者だった評論家の荻上チキ氏のTwitterによれば、放送日2日前の27日に番組スタッフから電話があり、「ゲストの質問によっては中立・公平性を担保できなくなるかもしれない」との理由で議員のみの出演に変えると伝えられたという。
「番組スタッフに『誰かが何か言ってきたりしたんですか?』と確認しましたが、あくまで局の方針と番組制作側の方針が一致しなかったため、とのことでした。番組スタッフも戸惑っていた模様です」(荻上氏のTwitterより)
自民党の要望が早くもテレビ局の番組制作に影響を与えている様子がうかがえるが、元日本テレビ『NNNドキュメント』ディレクターで法政大学社会学部教授(メディア論)の水島宏明氏はまず、『公正中立な報道』に関する誤解について次のように解説する。
「今回の要望書は、テレビ局を萎縮させる効果を狙った『脅し』以外の何物でもない。実際に萎縮しているという声を番組制作現場から聞く。街頭インタビューを含めて、『客観的で公正中立な報道』などテレビでは実現できない。インタビュー対象者の選定や発言のどの部分を使用するかという判断を含めて、制作者側の意思が入り込むからだ。テレビ局ができることは、可能な限り多角的な意見を伝えるよう努めることぐらい。テレビ報道の役割として、選挙報道ではできるだけ争点や政策に関して問題点や疑問点を示していくことが大切であり、現状の問題点を扱うため与党・現政権に批判的にならざるを得ない」
●調査報道を妨げる懸念も
水島氏は、こうした「報道側と権力側の社会における役割分担」に関する基本理解がないのが安倍晋三政権だと批判し、さらに要望書によりテレビが調査報道を妨げられることで、有権者に選挙の争点が十分に伝わらない懸念を指摘する。
「報道に対して『公立中性ではない』と逐一クレームをつけたり、昨年の参議院選挙直前に『NEWS 23』(TBS)の報道をめぐり自民党が幹部の出演・取材拒否を表明したりするようになると、テレビ局は政策に関する報道にはあまり踏み込まず、各党の主張を並べる『機械的な公正中立』を心がけるようになる。選挙公示後のニュース報道にみられる『各政党一律に30秒ずつ』というような報道だ。公示後はこうした“わりきり報道”も急増しているが、これでは有権者が争点を理解できない。アベノミクスへの評価、消費増税の影響、原発再稼働、TPP、国防などテーマごとの問題を、実情や諸外国の例、識者の声などを元に特集しようとしても、『偏向』だとしてクレームをつけられかねない。そうなるとテレビ局は自分で調査報道するよりも、横ならびの“わりきり報道”という無難な道を選ぶ。結果として有権者には大事な問題点が伝えられないことになる」
また、今回の『朝生』出演者をめぐるテレビ朝日の対応について、水島氏は『権力側の思惑に乗って萎縮した』と次のような見方を示す。
「テレビ朝日が『朝生』で民間識者出席をキャンセルしたのは過剰に反応したケースだが、自民党の要望書に1993年の同局の総選挙報道が国会証人喚問に発展した『椿問題』を示唆する言及があるように、同党の狙いは同局にある。日頃から争点や政策の報道に熱心な同局の番組『報道ステーション』などを牽制することが狙いだろう。そして狙われたテレビ局が権力側の思惑に乗って萎縮した。テレビ報道の役割は、権力のチェックだ。特に選挙の時期こそ、さまざまな政策のチェックを多角的に行うという本来の役目を果たしてほしい」
今回の自民党の要望書がメディア報道に委縮をもたらし、有権者が多角的な情報を入手する機会を損なわせるとしたら、同党の行為は批判を免れ得ないものといえ、今後大きな議論に発展する可能性もあるだろう。
(文=編集部、協力=水島宏明/法政大学社会学部教授)
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(複数の番組にわたって偏向報道)していると判断できるものでなければ停波措置の対象としなという考え方は、
●その局の別番組では偏向報道と思われぬように編集しさえすれば、ある一つの番組の中で(如何に放送法を逸脱しようとも、如何に過激な偏向報道をしようとも、停波されることはない)という理屈になってしまいます。
つまり 他の番組が、明らかな偏向報道番組を維持するための(隠れ蓑)としての役割を果たしていることになるのです。・・・テレビ朝日は(報道ステーション)、TBSは(NEWS 23)という一つの番組に的を絞って大々的に堂々と偏向報道が出来てしまいます。
(圧力が掛かって辞めるのではない)とキャスター本人が言う理由は、(圧力だ)と言えば 偏向報道をしていたかどうか ということに話が及び、全国的に話題が沸騰します。 テレビ朝日もTBSも(停波)には なるまいと高を括って偏向報道を続けたのです。 (赤信号、みんなで渡れば怖くない)の心理で境界を越えていることを知りつつも、もっと言ってみようとエスカレートさせていきました。 放置すれば証拠ビデオとして国会に取り沙汰され、世間に拡散します。 その結果、反日報道と一体の野党勢力が後退することに直結するのです。 それを恐れて身を引いたというのが真相です。 テレビ局からすれば(蜥蜴の尻尾切り)であり、やや引いた偏向報道ギリギリを続けていくことに変わりはないのです。
●反日報道のテレビ局が(鉾を収めた)からといって、偏向報道してきた事実は事実なのですから、二度と繰り返させないよう 国は効果が現れる(一定期間の停波)を措置すべきです。
(大谷昭宏、青木理、岸井成格、田原総一朗、鳥越俊太郎 + 金平茂紀)