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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

マイナンバー法とそれを通す国会が欠陥商品 農水省にサイバー攻撃でTPP機密文書漏えいも1年放置

2013年05月25日 | マイナンバー制度は危険

 

 農林水産省がサイバー攻撃を受け、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉などを巡る機密文書が海外に流出した疑いがある問題で、同省が設置した調査委員会は2013年5月24日、機密指定された124点の内部文書が流出した可能性が高いとする報告書を公表しました。

 流出した機密文書のうち85点は政府の統一規範で3段階のうち2番目に重要とする「機密性2」だったというのですが、機密性「2」は同規範で「漏えいで国民の権利が侵害されるか、行政事務に支障を及ぼすおそれがある情報」とされます。

 そして、同じ日の24日に、日本で暮らすすべての人に番号をつけ、個人情報を国が一元的に収集、利用する「共通番号制(マイナンバー)」法が24日の参院本会議で可決、成立しました。

 あかんでしょ、これ!?

マイナンバー法(国民共通総背番号制)の問題点 個人情報ダダ漏れの国家監視・管理社会

 なにがあかんって、こんなに攻撃にもろい状態の日本の官公庁の情報管理システムに、個人の情報を一元化させることもあきませんが、外部から情報流出の可能性を指摘されながら1年近くも本格的に調査しなかった点も指摘されています。この怠慢。そして、まさに、マイナンバー法案が成立する日まで、この問題の報告を遅らせていたと勘繰りたくなるような調査のやり方がまた陰険です。

 また、話は変わりますが、三越伊勢丹ホールディングスは翌日の25日、同社が運営するインターネット販売サイト「三越オンラインショッピング」が不正なアクセスを受け、会員となっている顧客のうち最大で8289人の氏名や住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報が漏えいした疑いがあると発表しました。これも不正アクセスによるものだそうです。

 そういえば、マイナンバー法案が衆院を通過したちょうど同じ5月9日、通信販売会社「ディノス」のホームページに対して、会員のパスワードを探ろうという不正なアクセスが、8日までに111万回繰り返され、ディノスは1万5000人分のパスワードが何者かに突き止められたことを明らかにしました。

 また、日本年金機構が性同一性障害で性別変更した人を判別するため、2012年10月から基礎年金番号の前半4桁に共通する固定の番号割り当てをしていたことがあきらかになりました。さらに酷いことに、この4桁が性同一性障害者を示すと明記した機構の内部文書が、一時インターネットで確認できる状態になっていたことが明らかになりました。

 差別されがちな性同一性障害者を番号で特定するのも許せません。まさに背番号制度が国民監視のための道具であることがよくわかる事件です。しかも、それがネットで公開されていたなんて言語道断です。

年金機構が年金番号で性同一性障害者を特定 マイナンバー法でプライバシー=個人の静穏な生活が破壊される

 このように、情報漏えいやミス、さらには公務員による情報の不正利用の恐れはいまだ解消されておらず、不安はぬぐい切れないのです。

 この法律が成立する過程だけでも、官公庁でも民間でも問題が立て続けに起き、なんら技術的にも解決していないのに、ろくに議論もしないでこんな欠陥法を通してしまう今の国会が最大の欠陥商品です。

 法律は通ってしまいましたが、消費税増税法と同じく、実施はさせないような運動が必要だと痛感するところです。

 

 

こんなに問題だらけのマイナンバー法をろくに問題にしないマスコミも欠陥商品なのでは?

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農水省、情報流出認める…機密文書124点か

 農林水産省がサイバー攻撃を受け、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉などを巡る機密文書が海外に流出した疑いがある問題で、同省が設置した調査委員会は24日、機密指定された124点の内部文書が流出した可能性が高いとする報告書を公表した。

 外部から情報流出の可能性を指摘されながら1年近くも本格的に調査しなかった点も指摘。こうした一連の対応についても不適切だったと認定した。同省は同日、皆川芳嗣次官ら8人を訓告や厳重注意の処分とした。

 調査委が情報流出の可能性が高いと認定したのは5台のパソコンで、流出時期は2012年1~4月。流出した機密文書のうち85点は政府の統一規範 で3段階のうち2番目に重要とする「機密性2」だった。「2」は同規範で「漏えいで国民の権利が侵害されるか、行政事務に支障を及ぼすおそれがある情報」 とされる。残る39点は重要度の低い「機密性1」だった。

 調査委では、12年末までの過去2年間の通信記録を分析すると同時に、本省内のパソコン5500台のうち103台を解析。この結果、39台が情報 を外部に送信する「トロイの木馬」型などのウイルスに感染し、外部との不審な通信が見つかった。このうち5台からは情報流出の痕跡を確認。残る34台で も、外部からの操作で文書が圧縮されたり、フォルダーに集められたり、特定のキーワードで検索されたりしていた。

 流出文書については「攻撃者に文書が本物だと知らせることになる」として193人分の個人情報が含まれていること以外は明らかにしなかったが、関 係者によるとTPP交渉などを巡る文書が多く含まれていたという。報告書は、どこから不正通信があったのか触れておらず、調査委は24日の記者会見でも 「答えられない」と話した。関係者は本紙の取材に、不正通信先はアジアに置かれたサーバーだと明らかにしている。

(2013年5月24日23時35分  読売新聞)
 
 

販売サイトに不正アクセス=最大8289人の情報漏えい-三越伊勢丹

 三越伊勢丹ホールディングスは25日、同社が運営するインターネット販売サイト「三越オンラインショッピング」が不正なアクセスを受け、会員となってい る顧客のうち最大で8289人の氏名や住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報が漏えいした疑いがあると発表した。金銭被害は確認されていないとい う。
 5月6日以降、15件の特定の発信元から大量の不正アクセスが確認され、15日に一部システムが停止した。調査の結果、一部の会員情報が不 正に閲覧されたことが判明したため24日に販売サイトをいったん閉鎖。不正アクセスされた疑いのある顧客に対しパスワードの変更を依頼した。販売サイトは 25日午前に再開した。
 三越伊勢丹は「今回の事態を厳粛に受け止め、再発防止に向け、監視体制の強化に努める」としている。
 問い合わせはフリーダイヤル0120(32)5433。(2013/05/25-12:58)

 

 国民一人一人に番号を割り振り、年金や納税に関する情報を一元的に管理するマイナンバー法が二十四日の参院本会議で可決、成立した。仕組みや問題点を整理した。

 Q マイナンバーとは。

 A 赤ちゃんからお年寄りまで全ての国民に割り振られる個人番号だ。二〇一五年秋ごろから番号を通知する書類が郵送で配られ、一六年一月から利用が始まる。

 Q 受け取った人はどう使うのか。

 A 自治体に申請すると氏名や住所、生年月日、顔写真、個人番号が記載されたICカードが交付される。カードは社会保障給付の申請や税金申告の際に、年金事務所や税務署などの窓口で提示して利用できる。

 Q 現在の手続きから変わる点は。

 A 例えば年金の加算を受けようとする場合、窓口で個人番号を示すとシステム上で必要な情報を照会して受給条件を満たしているかを確認できるようになる。申請する人が住民票や所得証明書の添付書類を持っていく必要がなくなり、手続きが簡単になる。

 Q 所得の把握が進むとの指摘もあるが。

 A 扶養控除の二重申請を防ぐなど一定の効果はある。だが自営業者が申告する売上高や経費が適正かをチェックすることはできず、会社員と比べ、農家や自営業者は所得が捕捉されにくいという徴税の不公平感の是正は期待できない。

 Q 管理される個人情報を自分で見ることはできるか。

 A できる。政府は一七年から、自分の年金や医療の保険料の納付状況や、税金の申告に関する情報を自宅のパソコンで確認できる個人用ホームページ「マイ・ポータル」を開設する予定だ。

 Q 個人情報の流出や悪用が心配だ。

 A 社会保障や納税の情報は他人に知られたくない秘匿性の高いものが多く、いったん外部に漏れれば被害者は深刻なプライバシー侵害にさらされる恐 れがある。他人の個人番号を盗んで政府から給付金をだまし取ったり、銀行口座を不正に開設する「なりすまし」犯罪が増える懸念も指摘されている。

 Q 対策は。

 A 政府は情報を取り出せる立場にいる行政職員らに対し、独立性の高い第三者委員会で監視し、違反者には罰則を科すことで漏えいを防ぎたい考えだ。

◆不正利用、番号大量流出も

 一人一人の税務情報などを管理する番号制度は、欧米などで既に導入されているが、米国では他人の共通番号を入手して偽のクレジットカードをつくる不正利用の被害が続発、韓国では番号の大量流出が起きている。

▼米国

 米国では労働許可を持つ在留外国人を含む全国民を対象に、広く共通番号が使われている。本来は年金など社会保障制度や徴税で個人を特定するのが目 的だったが、国民に行き渡った結果、身分証明の用途で広く民間利用されるようになった。番号を持たないと、銀行口座の開設やクレジットカードの発行、就労 や不動産契約が難しくなる。ただ、不正利用が後を絶たないため、オンライン上での送信の制限など、現在は身分証明としての番号使用の規制を強化する方向に 進んでいる。

▼韓国

 韓国では国内に居住する全国民を対象に、生年月日や性別などを示す「住民登録番号」を割り当て、税務や年金、医療などほぼ全ての行政サービスで使用している。

 住民登録番号は一九六八年に導入された。民間でも本人確認などの目的で本人の同意を得て番号を利用していたが、インターネットでの利用拡大に伴い 番号の流出が問題化。二〇一一年には韓国最大手の会員制交流サイト(SNS)がハッキングされ、約三千五百万人分の番号が流出する事件が起きた。政府はオ ンラインでの番号利用を法的根拠がない限り禁止している。

▼ドイツ

 ドイツは税分野に限定した制度を導入。外国人を含め全ての居住者が対象。年金など他の行政分野と共通の番号制度は採用されておらず、民間利用は認められていない。

 利用範囲拡大の議論は進んでいない。ナチスがユダヤ人に番号を割り当てていた歴史的な経緯から、国家による個人の管理強化につながる政策に国民が慎重なためだともいわれる。

  (共同)

 

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コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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芝生 (くろねこ)
2013-05-26 05:37:53
「隣の芝生は青い」と反論のコメントがされそうな気もしますが、

ナチスがユダヤ人に番号を割り当てていた歴史的な経緯から、
国家による個人の管理強化につながる政策に国民が慎重なためだともいわれる。

ドイツと日本、これほど戦争責任の捉え方が違うのか。

また本論と違うコメントであること申し訳ありません。
返信する
東京新聞はやってたらしい (クボタ)
2013-05-26 09:54:38
社説でマイナンバーの危険性を説いていたそうです。
全国紙は軒並みもうダメですね!
返信する

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