100万回生まれ変わる猫の物語。
あるいは100万回死んで、1回だけ生きた猫の物語!
最初は、女の子に飼われた猫。
猫は、ヒモでグルグル巻かれて、死んでしまった。
この猫は、女の子に関心がなかった。
次に生まれ変わって、一国の国王に飼われた猫。
国王は、猫をかわいがる。
戦争で、猫は殺される。
国王が大泣きする。
でも猫は、国王が好きだったわけでない。
猫は次に生まれ変わって、船乗りの猫となる。
船乗りは、猫をかわいがる。
猫は、船乗りが愛妻家だとあきれるが、船乗りに対し何の興味もない。
猫は、海に落ちて死ぬ。
その後も猫は、次々と生まれ変わり、サーカスの手品師の猫、どろぼうの猫、ひとりぼっちのお婆さんの猫となる。
しかし、猫は、飼い主に関心がないし、飼い主を好きになることもない。
ある時、その猫が、飼い主を持たない野良猫となる。
そして「自分のことしか考えなかった」その猫が、なんと、一匹の白猫(深田恭子)に恋をする。
時がたち、年老い、やがて白猫が死ぬ。
100万回生きた猫が、その時、初めて悲しんで泣き、泣き続ける。
そしてその猫も、白猫の隣で死ぬ。
これ以後、その猫は、生まれ変わることがなかった
劇の全体が、童話の絵本そのもののよう
台詞が、脚韻を一生懸命踏んでいて、「頑張っているんだな!」と注目して聴いた。
びっくり箱から飛び出す人形に、びっくりした。
上にいる女優さん(深田恭子)は怖くないのかと心配。
しばしば出てくる歩く魚が、不思議な感じで、印象的。
カメレオンのような大きな怪獣も、愉快。
海の怪魚も、異世界の雰囲気でよかった。
王様が戦争をする理由が、政治的にシニカルで、鋭い観察!
戦争をするのは、目を国外に向け、自分の権力を守るため。
子供向け童話風の王様でなく、現実の王様の行為!
ひとりぼっちのお婆さんの死の描写も、リアル。
眠ること、夢見ること、死んで意識がなくなること、現実が夢かもしれないこと、これらが意味的に行き交う。
船乗りが、愛妻家でなくてもよいのに、あんなに激しく愛妻家なのが、文脈的に予想がつかない意外性。
ベッドの下から、大きな怪獣が出てきて、ビックリ。
猫が怪獣に食べられるれて、また「あれまあ」と思う。
異世界的詩的で印象的な舞台だった。
また歌われる歌詞が、日本語的に違和感なく、素直に受け取ることが出来た。