1847年、イギリス、ヴィクトリア朝期、「ラファエル前派Pre-Raphaelite Brotherhood 」が、ロセッティ、ハント、ミレイにより結成された。反アカデミズム、したがって「ラファエロ以前に戻る」と標ぼう。「自然に忠実に」が標語。
反時代的に、古代神話、ダンテ、ボッカッチョ、また中世のアーサー王伝説などに題材をとる。もちろん彼らも現実の苦悩、愛、希望に生きる。この断層が、繊細優美な唯美主義、謎めく象徴主義を生んだ。「表現の美しさが現実の欲望を旧(ふる)い主題のなかに生きさせた」。(木島俊介氏)
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「シビラ・パルミフェラ」(1865-70):玉座に座るヤシの葉を持つ巫女。ヤシは美の勝利を表わす。左側に愛のクピドと薔薇、右側に死のポピーと頭蓋骨。蝶は魂の象徴。
「ラファエル前派」第二世代と言えるのが、バーン=ジョーンズ、ウォーターハウスである。
エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ「スポンサ・デ・リバノ(レバノンの花嫁)」(1891):旧約聖書の「雅歌」が主題。花嫁の脇に純潔を表す白ユリ。空中に擬人化された北風と南風。(ボッティチェリ「ビーナスの誕生」に似る。)花嫁は愛の不安を暗示するかのよう。
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 「エコーとナルキッソス」(1903):ギリシャ神話の美少年ナルキッソスと妖精エコーの物語。
エコーは、ゼウスのため、ヘラの監視を逃れる手伝いをし、ヘラの怒りを買う。エコーは、相手が最後に言った言葉を繰り返すことしかできないように、されてしまう。
そのエコーが、ナルキッソスに恋をする。彼女は、自分の愛を伝えようとするが、まともに話ができず、手ひどくふられる。ショックを受けたエコーは、洞窟に閉じこもり、最後には声だけとなる。
復讐の女神ネメシスは、ナルキッソスがエコーの愛を踏みにじったことに怒り、彼が自分しか愛せないよう呪いをかける。ナルキッソスは、泉に写る自分自身に恋い焦がれて死に、水仙となる。
水辺の草花にラファエル前派流のウォーターハウスの精確な自然描写が見られる。
反時代的に、古代神話、ダンテ、ボッカッチョ、また中世のアーサー王伝説などに題材をとる。もちろん彼らも現実の苦悩、愛、希望に生きる。この断層が、繊細優美な唯美主義、謎めく象徴主義を生んだ。「表現の美しさが現実の欲望を旧(ふる)い主題のなかに生きさせた」。(木島俊介氏)
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「シビラ・パルミフェラ」(1865-70):玉座に座るヤシの葉を持つ巫女。ヤシは美の勝利を表わす。左側に愛のクピドと薔薇、右側に死のポピーと頭蓋骨。蝶は魂の象徴。
「ラファエル前派」第二世代と言えるのが、バーン=ジョーンズ、ウォーターハウスである。
エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ「スポンサ・デ・リバノ(レバノンの花嫁)」(1891):旧約聖書の「雅歌」が主題。花嫁の脇に純潔を表す白ユリ。空中に擬人化された北風と南風。(ボッティチェリ「ビーナスの誕生」に似る。)花嫁は愛の不安を暗示するかのよう。
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 「エコーとナルキッソス」(1903):ギリシャ神話の美少年ナルキッソスと妖精エコーの物語。
エコーは、ゼウスのため、ヘラの監視を逃れる手伝いをし、ヘラの怒りを買う。エコーは、相手が最後に言った言葉を繰り返すことしかできないように、されてしまう。
そのエコーが、ナルキッソスに恋をする。彼女は、自分の愛を伝えようとするが、まともに話ができず、手ひどくふられる。ショックを受けたエコーは、洞窟に閉じこもり、最後には声だけとなる。
復讐の女神ネメシスは、ナルキッソスがエコーの愛を踏みにじったことに怒り、彼が自分しか愛せないよう呪いをかける。ナルキッソスは、泉に写る自分自身に恋い焦がれて死に、水仙となる。
水辺の草花にラファエル前派流のウォーターハウスの精確な自然描写が見られる。