IC2S2 (International Conference of Computational Social Science) の2回目の会議がノースウェスタン大学の経営大学院ケロッグスクールで開かれた。この会議では、大まかには口頭発表、ポスター発表がそれぞれ 100 件ぐらいあり、招待講演の類もやや多めに組まれている。
1回目の会議の招待講演者は、考えられないほどの豪華メンバーであったので、2回目は見劣りするという声もあった。しかし、Watts とともに画期的な研究を発表してきた Dodds、Salganik などが登壇し、彼ら以外にもいくつか興味深い話を聴けたので個人的には不満はない。


Computational Social Science(計算社会科学)とは、冒頭の講演で Microsoft Research の Duncan Watts が述べたように、エージェントベースモデリングのような複雑系的アプローチが源流にある。しかし最近のデータサイエンスや大規模社会実験の隆盛を踏まえ、経験科学志向が強い。
計算社会科学は計量社会科学とは違う。計算社会科学ではコンピュータサイエンスの研究者が多数派で、そこに社会科学者(主に社会学者)が加わる。計量社会科学だと主に統計的手法に依拠するが、計算社会科学では機械学習、ネットワーク分析、シミュレーションなども活用する。
米国では、Watts のように物理学者から社会学者に転進したり、社会学のラボがコンピュータサイエンスのポスドク研究者を多数雇ったり、流動性が高い。また大学だけでなく、Microsoft や Facebook など産業界の側にも、計算社会科学の研究拠点ができつつあるようにみえる。
計算社会科学は単なるデータサイエンスとも違う。それは何といっても社会科学なのだ。社会現象への関心をどれだけ持つかが分岐点となる。それが、現在のマーケティングサイエンスはデータサイエンスに親和性を持つが、計算社会科学に対してはそうでもないことの理由だろう。
もちろん、今回の会議でマーケティングに関連する話題がなかったわけではない。シーディングに関する研究はいくつもあった。顧客行動の予測やプロモーション効果に関する研究もあった。「社会的なるもの」への関心がさらに強まると、より計算社会科学的な研究になるだろう。
日本でも「計算社会科学」の会議が準備されている。マーケティング研究の側でも、それと呼応する動きがないものかと思う。計算経営科学ならすでに存在しているといえなくもないが、むしろ「社会科学」であることにこだわりたい。そのほうが経営科学的にも実りがあるはずだ。
今回、参加者は受付で MacBookAir で所属や名前だけでなく、趣味・嗜好なども入力する。すると電子機器のバッジが渡され、各教室に入ったときにチェックインするほか、お互いに情報交換(共通性の発見)ができる。データは許諾を得て回収され、いずれ分析されるらしい。

1回目の会議の招待講演者は、考えられないほどの豪華メンバーであったので、2回目は見劣りするという声もあった。しかし、Watts とともに画期的な研究を発表してきた Dodds、Salganik などが登壇し、彼ら以外にもいくつか興味深い話を聴けたので個人的には不満はない。


Computational Social Science(計算社会科学)とは、冒頭の講演で Microsoft Research の Duncan Watts が述べたように、エージェントベースモデリングのような複雑系的アプローチが源流にある。しかし最近のデータサイエンスや大規模社会実験の隆盛を踏まえ、経験科学志向が強い。
計算社会科学は計量社会科学とは違う。計算社会科学ではコンピュータサイエンスの研究者が多数派で、そこに社会科学者(主に社会学者)が加わる。計量社会科学だと主に統計的手法に依拠するが、計算社会科学では機械学習、ネットワーク分析、シミュレーションなども活用する。
米国では、Watts のように物理学者から社会学者に転進したり、社会学のラボがコンピュータサイエンスのポスドク研究者を多数雇ったり、流動性が高い。また大学だけでなく、Microsoft や Facebook など産業界の側にも、計算社会科学の研究拠点ができつつあるようにみえる。
計算社会科学は単なるデータサイエンスとも違う。それは何といっても社会科学なのだ。社会現象への関心をどれだけ持つかが分岐点となる。それが、現在のマーケティングサイエンスはデータサイエンスに親和性を持つが、計算社会科学に対してはそうでもないことの理由だろう。
もちろん、今回の会議でマーケティングに関連する話題がなかったわけではない。シーディングに関する研究はいくつもあった。顧客行動の予測やプロモーション効果に関する研究もあった。「社会的なるもの」への関心がさらに強まると、より計算社会科学的な研究になるだろう。
日本でも「計算社会科学」の会議が準備されている。マーケティング研究の側でも、それと呼応する動きがないものかと思う。計算経営科学ならすでに存在しているといえなくもないが、むしろ「社会科学」であることにこだわりたい。そのほうが経営科学的にも実りがあるはずだ。
今回、参加者は受付で MacBookAir で所属や名前だけでなく、趣味・嗜好なども入力する。すると電子機器のバッジが渡され、各教室に入ったときにチェックインするほか、お互いに情報交換(共通性の発見)ができる。データは許諾を得て回収され、いずれ分析されるらしい。
