2005年度作品。イギリス=ドイツ映画。
1994年、ルワンダで起きたフツ族民兵によるツチ族虐殺事件を映画化。ルワンダに常駐していた国連軍と白人たちはなにもできないまま、ツチ族の虐殺を目撃。そんな白人の視点から虐殺を描く。
監督は「ジャッカル」のマイケル・ケイトン=ジョーンズ。
出演は「エレファント・マン」のジョン・ハート。「キング・アーサー」のヒュー・ダンシー ら。
「ホテル・ルワンダ」と同じくルワンダ虐殺事件を扱った映画だ。
先に断言しておくと、単純な比較なら、ドラマチックでハラハラ感に満ち、かつ感動的だった「ホテル・ルワンダ」の方がおもしろいだろう。実際、映画的に見たとき、本作の演出にはいくつかの疑問がある。
そういったわけでルワンダ内戦を知りたいという人間がいたら、僕は確実に「ホテル・ルワンダ」の方を勧める。
しかしこの映画にはこの映画なりの視点がある。それは白人側からの視点だ。
「ホテル・ルワンダ」でも多少扱われていたが、この内戦により、国連および白人は生命の危険を感じ、ツチ族を見殺しにすることとなる。
もちろん目の前で人が殺されていくことに白人側も怒りを覚えている。しかし彼らはあまりに無力でなにもできず、最後は逃げ出していかざるをえない。その後ろめたさを誠実に積み上げている。その創作姿勢はスタッフに実際の虐殺を生き延びた人物を入れていることとも無縁じゃない。
地味だが、そのために見応えのある作品に仕上がっていることはまちがいないだろう。
でも「ホテル・ルワンダ」を見たなら、こちらをあえて見る必要もないかな、という気もしなくはなかった。
しかし、つくづく思うのだが、人はなんでここまで凶暴になれるんだろうか? フツとかツチとか、身分証明書を見なければ区別できないっていうのに、くだらない理由で一方的に虐殺する。
人間ってのは愚かだ。どこかで冷静になる視点こそが重要だというのに。そんなことをあらためて思い知らされた。
評価:★★★★(満点は★★★★★)