2009年度作品。アメリカ映画。
1954年9月、ボストンのはるか沖合に浮かぶ孤島“シャッター アイランド”。精神を患った犯罪者を収容するアッシュクリフ病院で、鍵のかかった病室から女性患者が煙のように消える。捜査のため、この孤島に降り立った連邦保安官のテディと新しい相棒のチャック。だが島内に女性患者の姿はなく、島外へ脱出した形跡も見あたらない。いったい彼女は、どこへ行ったのか? 唯一の手掛かりは、彼女が部屋に残した1枚の紙切れ。そこには、「4の法則」と題した暗号が記されていた…。(シャッター アイランド - goo 映画より)
監督は「タクシー・ドライバー」のマーティン・スコセッシ。
出演はレオナルド・ディカプリオ、マーク・ラファロ ら。
この映画には謎がある。
そんなことを予告編の段階から、この映画はバンバンと公表していた。
映画の前にも、言動や視線、手の動きに注意しろ、とか、この映画の結末を人に話すな、とか、いちいち丁寧に教えてくれる。
そこまで言われると、観客であるこっちも、謎に対して身構えて見ざるをえない。
おかげで、冒頭の船のシーンの段階で、ネタの大枠について予想がついてしまう。
そして、ベン・キングズレーの最初の方のセリフで、その予想が正しいことを確信する。
おかげで二時間半の物語はそれ以降、自分の予想が合っているかどうかの、確認作業に終始されることになってしまった。
それはそれで結構おもしろかったのだが、初見の物語の楽しみ方としては、あまりよろしいものでない。少なくとも興がそがれる。
物語において予備知識は、必要最低限にしておいた方が良い、ということだろう。
もうこれは宣伝の方法が悪い。
個人的には、こんな風に謎解きを、映画の売りとして、前面に持ってくるのはまちがいだったと思う。
確かに謎解きも、この映画の楽しめるポイントと思うが、僕個人は、この映画の最大の魅力は、主人公が見る景色のゆらぎにこそ、あると思ったからだ。
冒頭からフラッシュバックなどを使い、物語の雰囲気は不穏なものとなっている。
主人公を取り巻く雰囲気は狂気に満ちていて、落ち着かない雰囲気があり、個人的には惹かれる。
主人公の罪悪感も印象的で、人の心のもろさを感じさせるあたりは好きだ。
「モンスターとして生きるか、善人として死ぬか」という主人公のラストの言葉が、その心のもろさと罪悪感を強く印象づける。
あのときの主人公は正気を取り戻していたのだろう。
だからこそ、罪を受け入れ、自分なりの結末をつけた姿が、どこか悲しげである。
そしてその主人公の姿こそ、この映画の優れた部分だと思うのだ。
というわけで、個人的には、不満半分、満足半分といったところだ。
だが好きか嫌いかの二者択一で言うなら、好きな作品である。
評価:★★★(満点は★★★★★)
製作者・出演者の関連作品感想
・マーティン・スコセッシ監督作
「グッドフェローズ」
「ディパーテッド」
・レオナルド・ディカプリオ出演作
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「ブラッド・ダイヤモンド」
「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」
「ワールド・オブ・ライズ」
・マーク・ラファロ出演作
「かいじゅうたちのいるところ」
「ブラインドネス」
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「ラッキーナンバー7」
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