私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「ハンニバル・ライジング」

2007-04-23 20:46:20 | 映画(は行)


2007年度作品。フランス=イギリス=アメリカ映画。
「羊たちの沈黙」をはじめとしたシリーズで圧倒的存在感を示すハンニバル・レクターの過去を描き、レクターがなぜ人喰いハンニバルになったかを少年時代から映し出す。
監督は「真珠の耳飾りの少女」のピーター・ウェーバー。
出演は「ロング・エンゲージメント」のギャスパー・ウリエル。「始皇帝暗殺」のコン・リー ら。


好みが分かれそうな映画である。
基本的にレクターを主人公にしているだけあってなかなかグロく、特に殺人のシーンはどれも猟奇的である。レクター博士らしいと言えば、彼らしい行動だろう。彼のパーソナルな部分はその行動の中に現れている。

しかし「ハンニバル」のときにも感じたが、果たしてこれは必然性のあるグロさなのだろうか?
そのグロさのせいで、「羊たちの沈黙」のときに感じた底の知れない不気味さはレクター博士から失われてしまい、ただの異常犯罪者に堕してしまったような気がする。
いまとなってはだけど、このシリーズは「羊」を撮った時点で、あるいは「レッド・ドラゴン」のリメイクをつくるだけで終わらせるべきだったのだ。
もちろんその後のレクターを語る上で、興味深い面は多いけれど(特に妹)、見終えた後、僕はそんな気がしてならなかった。

映画そのものはプロットがうまく組み立てられているので、つまらないことはない。エンタメとしてはよくできた映画であり及第点である。
若き日のレクター演じるギャスパー・ウリエルとコン・リーが実にいい存在感を出していたのも目を引く。

積極的に誰かに薦める気にはなれないが、それなりには楽しめる作品である。

評価:★★★★(満点は★★★★★)


制作者・出演者の関連作品感想:
・コン・リー出演作
 「SAYURI」
 「マイアミ・バイス」

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