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2008年度作品。アメリカ映画。
1941年8月、両親を殺されたユダヤ人兄弟、トゥヴィアらは小さなころから遊んでいた森に逃げ込んでいた。これからどうするかを話し合っていたところに、森を逃げ惑っていたユダヤ人が次々と合流していく。食べ物や武器がない中、移動人数が多くなることに困惑する兄弟たち。数十人の大所帯となった共同体は少ない道具を使い、森の中に家を建て始める。そして銃で武装。ドイツ軍への攻撃もしばしば繰り返していく。
監督は「ラスト サムライ」のエドワード・ズウィック。
出演はダニエル・クレイグ。リーヴ・シュレイバー ら。
戦争って本当に嫌だよね、っていうのが結局のところ、戦争映画を見終わった後に大概感じることだ。
もっとも世の戦争映画はそう観客に思わせるためにつくられているわけだし、そもそも人が人を殺す姿を見せられて、そう思わない人間は少ない。
当然、映画を見終わった後に受ける印象は総じて暗く重いのだが、それにより考えさせられる部分も少なくはない。
本作を見終わった後に受ける印象は、多くの戦争映画で受ける印象と同じである。
そういう意味、強烈なオリジナリティはないのだが、戦争映画らしい戦争映画だな、と感じさせる仕上がりにはなっている。
主人公はユダヤ人で、ナチスから逃れるために森にかくれており、ほかのユダヤ人を救うために、キャンプを築き彼らをかくまっている。言うなれば愛他精神の持ち主だ。
そのために、ユダヤ人以外から物盗りも行なうが、それは必要悪の最小限の行為であり、命を盗るようなことまではしない。全体を守るために、非情な手段を取ることもあるが、基本的には優しい奴だ。
だが、苛酷な時代を生きるには、それでは生ぬるいという見方もできなくはない。そのため映画内でも、主人公に反発する人物はいる。
その急先鋒は主人公の弟だ。弟の方は自分たちの身を守るために、ある種の切り捨ても仕方ないと考えている節がある。実際兄の愛他精神により、危険に陥る場面も出てくるからだ。
僕個人は兄の意見にも、弟の意見にも、両方に納得がいくのだが、こういうことはどちらが正しいと言えるレベルの問題ではないのだろう。そもそも、そこには正しい答えなどは存在しないからだ。
最終的には兄弟で力を合わせて、ユダヤ人同胞を守ることになるが、このような決断を迫られるという異常な状況自体が問題なのだろう。
やっぱり、戦争って本当に嫌だよね、って思ってしまう。
映画そのものに関しては、語りたい焦点がぼやけているためか、いくらか散漫な印象を受ける。時間の流れを漫然と追っているだけという感じが強い。
だがこういう人物もいたんだと知ることができた点はおもしろかったし、戦争映画らしく、平和について思いを致すことができる。それなりの佳品と言ったところだ。
評価:★★★★(満点は★★★★★)
そのほかの製作者・出演者の関連作品感想
・エドワード・ズウィック監督作
「ブラッド・ダイヤモンド」
・ダニエル・クレイグ出演作
「007 カジノ・ロワイヤル」
「007 慰めの報酬」
「ミュンヘン」
「ライラの冒険 黄金の羅針盤」
・ジェイミー・ベル出演作
「キング・コング」
「父親たちの星条旗」
「ディア・ウェンディ」
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