2006年度作品。香港映画。
ボンは恋人の自殺を機に刑事を辞め、私立探偵となり酒びたりの日々。そんなときボンの元上司チャウの義父が何者かにより撲殺される。犯人の自殺で終わったと見られたこの事件にチャウの妻が疑問を持ち、ボンに捜査を依頼する。
監督は「インファナル・アフェア」シリーズのアンドリュー・ラウとアラン・マック。
出演は「インファナル・アフェア」のトニー・レオン。「ウィンター・ソング」の金城武 ら。
監督はこの作品のメインは何と考えていたのだろう。見終わった後にそんなことを思った。
本作はサスペンス、恋愛、ヒューマンといくつかの要素があり、映画としてはどの要素もうまくまとまっていると思うものの、そのどれもがすべてつっこみ不足であるような気がした。
たとえば、サスペンスの面で言うなら、全体的にいま一つ緊迫感が足りなかったような気がする。
犯人が最初からわかっているのなら、犯人がつかまるかつかまらないかといった攻防で緊迫感を煽るのが普通だろうが、そういったものもなく、かと言ってそれに変わる演出もないため、それほどストーリーに心をひきつけられない。一応、犯人の動機は何なのか、といったところを物語の謎に置いていたらしいが、演出のせいもあって、その謎も非常に物足りないものになっている。
またラヴストーリー的な側面や、ヒューマンドラマという点でも何かが足りない。トニー・レオンの絶望は頭では理解できるけれど、そこには心に訴えかけてくるものがなかった。
「インファナル・アフェア」のときはトニー・レオンからもアンディ・ラウからもそれぞれの苦悩がはっきりと伝わってきた。演出の差だろうとは思うが、同じ監督の仕事なだけに、この致命的とも言うべき違いは残念と言う他ない。
それでも映画単品としてはまとまっているため、つまらないわけではなかった。少なくとも損をしたとまでは思わない。
ただおもしろくなる要素はあっただけに、その要素をもう少し掘り下げてほしかったというのが正直な思いである。
評価:★★★(満点は★★★★★)
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