叙述トリックを駆使したミステリを発表し続ける折原一。
推理小説新人賞応募作を巡り、原作者と盗作者の駆け引きが繰り広げられる。江戸川乱歩賞最終候補作。
前回読んだ『沈黙者』と同様に、今回も叙述トリックが使われているらしいということを聞いていたので、注意深く読んでみた。
だけど、さすがにこれはわからなかった。というかこれは簡単にはわからないだろう。ほとんど反則すれすれだな、という気もする。
大概の叙述トリックは、人称の揺らぎ、時間軸の揺らぎ等を駆使している。
本作でも、そういった揺らぎを見事に駆使していることは間違いないだろう。揺らぎを起こした、その手法は確かにギリギリの方法という気はするのだけど、その発想の鮮やかさは素直に認めざるをえない。
これも叙述トリックの極めて優れた一例だろう。
「シャイニング」へのオマージュなどいろいろ遊びもあって、楽しんで読むことができる作品であった。
評価:★★★(満点は★★★★★)
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