中国雑聞記

当地の新聞ニュースの中から、日本では報道されないものを紹介し、中国庶民生活の一端でも感じてもらえたらと思います。

北京オリンピック仮決算

2008-08-27 16:25:28 | オリンピック
中国人は何につけても、とかく金額で表現するのが好きです。
大きな行事が終われば「経済効果はxxx億元だった。」とか、事故災害が起きると「直接的損害はxxx千万元と予想される。」などなど。

ところが、中国にとっては100年の夢と呼ばれる北京オリンピックが終了したのに、一向に経済効果についてのニュースを耳にしません。
競技種目が中国各地で開催されたので、集計に時間がかかっているのかもしれません。
ひょっとしたら、私が目にしていないだけなのかもしれませんが。
いずれにしても、少なくとも青島地区での経済効果はまだ公表されていないはずです。

オリンピックの運営そのものは予想されていたよりもずっと順調で、大成功と言えるでしょう。
ところが、準備までの投資効果は別として、開催期間中の経済効果は必ずしも成功とは言えないように思えます。
青島地区について言えば;
・ 期間中のホテルは閑散としていた。
平年8月は青島ビール祭りのため、中国国内観光客でホテルはほぼ満室。宿泊料金も1.5倍から2倍に跳ね上がります。ところがオリンピックのため、今年のビール祭りは9月に順延。
期待していたオリンピック需要は一部のホテルを除いて期待はずれ。当初高額の宿泊料を打ち出した影響からか予約客が激減。7月になって大幅値下げをしたものの改善せず、ほとんどのホテルは閑古鳥が鳴くこととなった。
・ タクシー客も激減。
観光客が減少すれば、タクシー営業も直撃を受けます。タクシー運転手に聞いてみると、多くの運転手が昨年より客が減ったと嘆いています。
それでも青島では交通管制が比較的緩やかだったので、北京に比べればまだずっとマシかもしれません。

青島で行なわれたヨット競技をテレビで見ましたが、ヨット関係者には申し訳ありませんが、ホントに退屈。各選手は必死にロープや舵を操っているのですが、陸からではセールに貼られた国旗さえも判別できません。ただたくさんのヨットが波間を航行しているのが見えるだけで、順位すら定かではありません。従って球技や陸上種目観戦時の興奮など一切感じられません。あれではわざわざ大枚をはたいてまで見に来ないのも理解できます。
「セーリング種目では観光客は来ないよなあ」と予想していたのが、果たして的中してしまいました。

もうしばらくしたら、北京オリンピック「本決算」が当局から発表されるかもしれません。もちろん経済的にも大成功だったという内容の。
でも、庶民の目線から見た経済効果は正直「???」です。

金メダルのコスト

2008-08-25 18:20:32 | オリンピック
中国オリンピック委員会によると、中国のスポーツ投資は毎年8億元(約130億円)だそうです。
今回のオリンピックで中国が獲得した金メダルは51枚、銀・銅を含めると100枚。従って、これを平均すれば1枚あたり毎年800万元になると算定しています。

これはアメリカの記者の質問に答えたもので、8億元には5,000人の給与や事務費用・スポーツ研究費や海外団体の接待費用が含まれており、一方スポーツくじの発行により毎年8億元の収入があるそうです。但し、8億元の収入の60%は国民のスポーツ促進プロジェクトに回されているとのこと。
オリンピック後のスポーツ投資については現状を維持するとしています。

また、今回北京オリンピックの金メダル選手に対しては、一人あたり35万元(560万円)の奨励金を支給。ちなみに前回アテネ五輪時は20万元だったそうです。

8億元はかなり巨額ですが、選手の他スタッフも含め5,000人が携わっていたとするなら一人あたり16万元(260万円)。中国人ホワイトカラーの平均年収と比較するならそれ程大きな金額ではありません。
中国のメダル獲得種目をみると、知名度と言う点では比較的マイナーな種目が多いのが特徴です。これらの種目では、恐らく日本を含む諸外国の選手は生活とスポーツの両立に苦心していたはずです。ですから中国選手や彼らを支えるコーチ・スタッフが収入のことを一切気にせずに練習に打ち込める選手育成環境が整っていることが、メダル大量獲得の大きな要因であることは否定できないでしょう。

カウントゼロ

2008-08-10 00:51:50 | オリンピック
長らくカウントダウンを続けてきましたが、ついにゼロになりました。
周辺には大群衆。1分前からカウントダウンの大合唱が始まりました。
残り10秒を切る頃から興奮のためかピッチが速まり、表示板がまだ残り1秒を示しているのに群集の合唱は既にゼロを唱えていました。

青島ではセーリング競技の開幕式が8月9日に行われます。



七夕

2008-08-07 17:02:45 | 世相
今日は旧暦の7月7日、七夕です。日本の七夕のご本家中国では笹を飾ったり願い事を書いた短冊を吊るしたりはしません。
以前はどうのように過ごしたか知りませんが、今は「七夕情人節」と呼ばれてカップルが単に贈り物をし合う商業性の祭日になっています。しかもここ数年は2月14日のバレンタインデー(洋情人節:中国では男女双方がプレゼントを贈る)の方が優勢で、ポピュラーなプレゼントであるバラの花の値上がりも2,3元程度です。特に今年は明日からオリンピックが開催されることもあり、すっかり忘れられた存在です。
実は私もさっき携帯にお祝いショートメールが来て、あっそうか今日は七夕だったのか。と、気付いたくらいです。これも他人の作ったメールを転送することが多いので、特に有り難味もないのですが。

最近若いカップルの間では、いわゆるおふざけグッズをプレゼントするのが流行のようです。例えば「処男(童貞)証」や恋愛管理学院発行の「学生証」とか。この学生証には不測の事態に備えて常時携帯することと印刷されており、コンドームが添付されているそうです。表面上はそれとわからない装丁になっているので、ユニークで垢抜けしているし、気まずい思いもしなくてすむと人気があるそうです。

一気飲み

2008-08-07 15:14:37 | 生活一般
日本ではその危険性から一気飲みの強要はあまりしなくなり、急性アルコール中毒の死亡事故は少なくなったと思います。
中国人は一般的に日本人よりアルコール耐性があるようで、泥酔している人や道端で嘔吐している人を見かけることはほとんど無いのですが、そこはやはり人間。一気飲みで死亡する例もあるようです。

ある企業グループが新卒者200名を招いて行なった歓迎会で、15名が急性アルコール中毒で病院へ運ばれ、その内1名が手当ての甲斐なく亡くなりました。
居合わせた従業員の話では、会社の幹部が無理に酒を勧め、一人の大学生は2両の白酒(バイジュウ)10杯をたて続けに飲み干し倒れたそうです。1両とは50g(cc)ですから1リットルの白酒です。白酒のアルコール度数は40-70度ありますから、化け物でもない限りどんな酒豪でも一気に飲むのは命がけです。

中国で日本人向けの医療サービスを行なっている企業の話では、毎年数人の日本人が急性アルコール中毒で亡くなっているそうです。
一番多いのは当地の事情を良く知らない出張者。歓迎会の席で白酒乾杯攻撃にさらされ、泥酔しホテルに帰って寝ている時に嘔吐物をのどに詰まらせて死亡に至る。このパターンが一番多いと聞きます。
出張者の方はくれぐれもご注意を。

喫煙運転:罰金50元、減点2点

2008-08-06 16:21:46 | オリンピック
半島都市報によると、青島の交通警察当局は8月5日から9月30日までの期間、大規模な交通取締り運動を実施するそうです。
特に16の項目について取締りを強化。数が多いので全ては挙げませんが、目を引くのが「運転中の喫煙と携帯電話」です。

交通警察は、期間限定取締り強化の目的として炎天の夏場は事故が多発するためと述べていますが、オリンピック・パラリンピック期間の保安活動及び好イメージ作戦であることは明らか。
目的はどうであれ、交通警察は分隊クラスの60%、大隊クラスでは80%の警察力を投入すると言っているので、かなり本気かもしれません。

元々中国の交通法規では両方とも禁じられているのですが、これらが原因でキップを切られたという話を耳にしたことがありません。事実、タクシーの運転手はタバコをプカプカ吹かしながら運転してるし、前方のモタモタ車を追い越すと果たして携帯で話に夢中とか。

中国で暮らす上でのリスクとして最たるものは、食の安全性でもなければ病気でもなく交通事故です。
せめてオリンピック期間中だけも安全性が高まるのなら、取締り強化は大歓迎です。

孔明灯で5日間の留置場暮らし

2008-08-05 15:02:56 | オリンピック
8月3日青島の海岸で孔明灯を飛ばして遊んでいた青年3人が巡回中の警察につかまり、派出所で1人は5日間、残りの2人は2日間の拘置処分を受けた。

孔明灯ってご存知でしょうか?
写真で見ていただければ大体どんなものかわかると思いますが、一抱えほどの円筒形の紙風船ですが、提灯のように竹骨はありません。下部にあるロウソクに火をつけて、内部の空気を暖め熱気球の原理で空に飛ばします。
三国志で有名な諸葛孔明考案とされますが、真偽のほどは定かではありません。
中国ではお祭りの夜に、願掛けをしながら空に飛ばします。私も何のお祭りだったか忘れましたがひとつ10元くらいで買って飛ばしたことがあります。

ひとつふたつ飛んでも面白くありませんが、数を頼んで飛ばすとなかなか幻想的で趣きがあります。ただし、熱源がロウソクですし、風任せで飛んできますから落ちた場所によっては火災の心配もあります。
でもそこは中国人の偉いところで先々の事は気にしません。それに大勢で飛ばせば誰の孔明灯が火元だったかもわかりません。

現在青島には飛行物禁止令なるものが出ていて、当局の許可なく勝手に飛行物体(凧・風船・気球・模型飛行機など)を飛ばすと罰せられます。この3人が禁止令を知っていたか否か不明ですが、5日間の留置場暮らしとはお気の毒です。


オリンピック文明手帳

2008-08-04 12:18:50 | オリンピック
オリンピックの準備。先日も書きましたが、ハード面での準備はほぼ万端。安全管理と運営面も用意周到なので何とか乗り切ることでしょう。
でも一番コントロールが難しいのは観衆のモラルです。その対策として、青島市ではオリンピック文明手帳と称する小冊子を至るところで配布しています。
その中には次のようなスローガンがあります。原文を簡体字で打ったので文字化けして見られない場合は、表示→エンコードで簡体字を選択してみてください。それでもダメなら拙訳だけ読んでください。

要微笑友善 不要冷漠生硬   微笑みで友好的に  冷淡ぶっきらぼうはダメ
要谦和礼让 不要拥挤争抢   謙虚に譲り合い  押し合い割り込みはダメ
要语言优雅 不要粗俗喧哗   丁寧な言葉遣い  粗野に騒がない
要走斑马线 不要乱穿马路   横断歩道を渡ろう  やたらと車道を横切らない
要遵法行车 不要争道抢行   交通規則を守って運転  無理に道を奪い合わない
要讲究卫生 不要随地吐痰   衛生を重んじよう  痰を吐き散らかさない
要爱护环境 不要乱扔杂物   環境を大事にしよう  ゴミのポイ捨てをしない
要诚信经营 不要欺诈宰客   誠意を以って商いを  騙しぼったくりをしない
要文明观赛 不要无理起哄   行儀良く観戦しよう  やたらと野次を飛ばさない
要衣着得体 不要光膀上街   身だしなみはキチンと  裸で街を歩かない

いかがでしたか?私は最初読んだとき、思わず吹き出してしまいました。
中国人はスローガンが好きで、政府が政策運動を展開する時には必ずスローガンが造られます。従って、スローガンはある意味実行困難な行為の羅列でもあるのです。
そういう意味で上述のスローガンを読むと面白いですよ。



北京マンション価格10-15%下落

2008-08-01 16:24:05 | 経済
新京報によると、北京のマンション価格は調査対象8割の価格が10-15%下落している。
調査対象は15,000-20,000元/㎡のマンションと25,000元/㎡以上の高級住宅。
結果は4,5月以降15,000-20,000元/㎡クラスの8割以上が価格下落しており、25,000元/㎡以上の高級マンションについては取引件数・価格共に比較的落ち着いている。

北京の不動産業者の話では、北京のマンション価格は5月から全面的に緩み始めており下落幅は概ね10-15%。この下落幅は多くの不動産業者が認めるところ。又、7月の取引件数は今年最低の見込み。これはオリンピック後のマンション価格に変化があると見ている購入予定者が多く、つまりは更なる価格低下を見込んでいるためと思われる。
一方、金隈7090や紫金新幹線などに代表される7,000-10,000元/㎡の新規マンションについては、比較的遠隔地ではあるものの、低価格から人気が高く購入に列を成すものもある。

どうやら中国の不動産市場はオリンピック後に一波乱も二波乱もありそうな気配ですね。ただ低価格物件(といっても70-100万元、庶民には高嶺の花)については底堅い需要があるようなので、大暴落はないのではと思います。