印刷図書館倶楽部ひろば

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デジタルカメラ全盛時に存在感を高める現行・フィルムカメラ4製品

2017-05-15 15:16:09 | 印刷人のフイルム・フイルムカメラ史探訪

印刷図書館クラブ
印刷人のフィルム・フィルムカメラ史探訪 VOL-30・最終回
印刷コンサルタント 尾崎 章

フィルムカメラの年間出荷量は、2002年にデジタルカメラに逆転(フィルムカメラ2366万台、デジタルカメラ2455万台)を許して以来急速に減少、2007年の79万台を最後にカメラ映像工業会はフィルムカメラの出荷統計を終了している。
フィルムカメラを短期間で駆逐したデジタルカメラもスマートフォン、タブレット端末の内蔵カメラ機能の充実による影響を受け、2010年の1億2000万台越えをピークに減衰に転じデジタルカメラ各社のビジネスが苦戦を強いられている事は周知の通りである。

こうした状況下、大型・中型フィルムカメラを使用する一部写真家に加えて女性を中心とした富士フィルム・インスタント写真「チェキ」の愛用者増加、中古フィルムカメラ市場への女性顧客増等、若い女性主導により銀塩写真フィルム分野が賑わいを見せている。
銀塩写真に人気復活に感光材料メーカーも反応、早々とフィルム市場から撤退したイーストマン・コダックが明年を目標としたカラーリバーサルフィルム再生産を発表する等、フィルム関係者が「戸惑う」事態・現象が生じている。
熟年男性の「加齢臭」が漂っていた新宿西口の中古カメラ店では、ジャンク箱を「発掘」する若い女性グループに遭遇する機会が増加、若い女性の「こだわりフィルムカメラ人気」を確認・確信することが出来る。
中古カメラ店・店主の表情も女性顧客を相手にするケースが増加したことより、加齢臭顧客を相手にしていた当時よりも「にこやかに?」になっている事も特記される事項である。


フィルムカメラ好きの人気女優もフィルムカメラ市場を牽引

NHK連続テレビ番組「とと姉ちゃん」、映画「湯を沸かすほどの熱い愛」でブルーリボン賞、日本アカデミー賞を筆頭に数々の映画賞を受賞した人気女優・杉咲 花さんは「こだわりを持てるモノ」を大切にしており、その筆頭がフィルムカメラである。
杉咲さんは常時フィルムカメラを携行、キャノンまたは富士フィルムのAFコンパクトカメラをバックに入れているフィルムカメラ派である。
杉咲さんは、「撮影枚数が限られたフィルムカメラで、一枚一枚を大切に撮る悦び」をフィルムカメラ最大の魅力とコメントしており、当該関連記事が日経新聞ウエブ版でも紹介され、杉咲ファンは元よりフィルムカメラファンより熱い支持を得ている。
女性フィルムカメラファンは、杉咲さんと同様に「失敗するかもしれない緊張感」「露出を自分で調節する楽しさ」と「一枚一枚を大切に撮る悦び」をデジタルカメラには無いフィルムカメラの新鮮な魅力として挙げて、フィルムカメラ友達・仲間も増やしている状況にある。


販売継続中のフィルムカメラは、4機種

現在、カメラ店で購入できる国産フィルムカメラは次の4機種である。
(インスタントカメラを除く、2017.4末時点)


製品名/仕様/店頭価格/発売日の順で表記


㈱ニコン

●FM10/マニアルフォーカス一眼レフ 35~70mmズームレンズ/81.000円/1995.11. 9

●F6/オートフォーカス一眼レフ ボディ単体/372.600円/2004.10.22


キャノン㈱

●EOS-1V/オートフォーカス一眼レフ  ボディ単体/212.700円/2000. 3.23


富士フィルム㈱
●GF670Professional/6×7判スチールカメラ/246.000円/2015. 1.30



ロングライフ製品の記録カメラとしての更新中のニコン・FM10

ニコンのマニアルフォーカス一眼レフ・FM10がロングライフ製品記録を更新中で、今秋で発売22年目を迎えることになる。
当機の魅力は、マニアルフォーカス、手動フィルム巻き上げ・巻き戻し、ファインダー内インジケーターによるマニアルTTL測光等々、フィルム一眼レフの基本性能のみに徹したシンプルさである。


発売22年目のニコン・FM10、パンケーキレンズ装着




当機はオートフォーカス時代の写真後進国需要向けとして㈱コシナよりOEM調達した製品であるが、多機能デジタル一眼レフ全盛期にも関わらずカメラ基本性能に徹した「シンプルさ」が支持されてロングラン製品となっている。
正しく「一枚の写真を大切に撮る」という女性写真愛好家のポリシーに合致した貴重な製品と評価されている。
また豊富なニッコールレンズ群が使用できるポイントも見逃せない魅力である。
小職は、パンケーキレンズを装着して「最軽量フィルム一眼レフ」として魅力を堪能している。


フラッグシップモデルのロングラン製品・キャノンEOS-1V

キャノンは、AFフィルムカメラ最終期の2000年に発売したフラッグシップ一眼レフのEOS-1Vの販売を継続中である。
当該製品も発売17年目のロングラン製品となり、デジタル一眼レフEOD-5D等と併用されるケースが多いと報じられている。


キャノンのフィルム一眼レフ・EOS-1V

 


フィルム一眼レフ最後の新製品 ニコンF6

ニコンは、2004年10月に同社フラッグシップ・フィルム一眼レフの新製品・ニコンF6を新規発売している。
ニコンF(1959年発売)から始まった同社フラッグシップ一眼レフシリーズは、1996年発売のニコンF5がデジタル一眼レフの市場動向より最終製品になるとの「もっぱらの噂」が定着していた。この予想に反して2004年に発売されたニコンF6は、「驚き」と「さすがニコン」との感銘をもって迎えられた経緯がある。
ニコンでは、F6をベースにマニアック仕様のデジタル一眼レフ・ニコンDfを2013年に発売、F6と同様に国内・仙台工場で生産された同機はニコンF6製品化に関わる生産技術をそのまま継承する製品化対応により注目を集めた経緯がある。
「ニコンF6保有ユーザーの多くがニコンDfを購入する」と想定した販売戦略と国内生産品質・技術の高さを確認・体感したフィルム一眼レフマニアの「垂涎的製品」となっている。
ニコンDfのベースになったニコンF6は、ニコンのフィルム一眼レフ最終製品であることより仕様面、操作性面の完成度は非常に高い。


フィルム一眼レフ最後の新製品、ニコンF6




マニアル操作基調のニコンDf



 
フィルムカメラ・最後の国内新製品は、Fuji GF670 Professional

富士フィルムは、2015年3月に中判レンジファインダーカメラ・Fuji GF670 Professionalを発売して注目を集めた。
同社は、1968年に6×9判サイズのレンジファインダーカメラ・フジカG690を発売して中判フィルムカメラ市場に参入、2015年までに6×7、6×9、6×4.5の中判フォーマットカメラ・25機種以上を製品化してプロフェッショナル及びハイアマチュアの風景写真ニーズに対応している。
特に35ミリカメラと同等のハンドリング性を有した当該シリーズカメラは、三脚不要として山岳写真家にも支持されロングライフ製品シリーズとしてカメラ史に特記されている。



国産フィルムカメラ最後の新製品 Fuji GF670 Professional





2015年3月に発売された新製品・GF670 Professionalは、スプリングカメラ方式によるカメラの薄型化を実現、山岳写真家の更なる支持を得ている。



筆者愛用機 Fuji GW670Ⅱ Professional




富士フィルムでは、毎年2月に開催される東洋最大規模の写真カメラ展「CP+」に当該機を出展していたが、残念ながら数年前より出展見送り状態が続いている。
「写真フィルム文化の継承」をテーマに120,220フィルム等の中判ロールフィルムの供給を続ける富士フィルムの企業姿勢を、当該中判カメラ・GF670 Professionalからも明確に見ることが出来る。
カラーリバーサルフィルムの生産から撤退したイーストマン・コダックが明年を目標に当該フィルムの再生産を発表している。富士フィルムの企業努力によって供給が維持され、若い女性も含めた写真フィルム愛好家による需要回復現象がコダックの事業方針変更を促したものと筆者は判断している。

富士フィルムは、「かけがえのない文化として、銀塩写真の魅力を伝え続ける」として製品は減少したものの各種フォーマットの供給を継続しており、同社の企業姿勢は国内外より高く評価されている。
日本写真学会誌の表4広告は富士フィルムの定位置となり、毎号「フィルム表現、つづく」をキャッチコピーとした同社のコンセプト広告が記載されている。
この広告コンセプトが長く継続される事をフィルムエンジニアの一員として祈念するばかりである。 
 
   
日本写真学会誌 表4「富士フィルム・コンセプト」広告








 
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