印刷図書館倶楽部ひろば

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市場創生に至らず短期間に消えた音声ガイドカメラと音声感知シャッターカメラ

2016-10-05 16:00:14 | 印刷人のフイルム・フイルムカメラ史探訪

印刷図書館クラブ
印刷人のフィルム・フィルムカメラ史探訪 VOL-24
印刷コンサルタント 尾崎 章


オートフォーカス、ストロボ内蔵、ズームレンズ搭載等々、各社の35mmフィルム・コンパクトカメラの新機能搭載が一巡すると「毛色を変えたカメラで少しでも多く販売したい」としてユニークな機能を搭載したカメラがミノルタカメラ㈱(当時)及びコニカ㈱(当時)から発売されている。ミノルタカメラが1984年に発売したユニーク機能搭載コンパクトカメラが音声ガイド付き「ミノルタAF-Sトークマン」、そしてコニカが1989年に発売した音声感知シャッターレリーズカメラ「コニカ・KANPAI」(カンパイ)である。

2機種ともカメラ業界及びカメラファンの間では話題にはなったものの後続機種も無く、他社参入による市場創生も図れずに短命商品で終わっている。
ユニークなカメラを発売したコニカ㈱と㈱ミノルタ㈱は2003年8月に経営統合を行い新会社:コニカミノルタホールディングス㈱を設立しており、ユニークなカメラを発売出来るフレキシビリティに富んだ2社の統合がデジタル印刷機等で業界をリードする等、大きく飛躍する一因になっていると推察する事が出来る。


松田聖子さんの声?と「聖子ファン」がブレークしたミノルタ AF-Sトークマン

ミノルタカメラは、1884年9月に「音声による御知らせ機能」付きの全自動コンパクトカメラ:ミノルタAF-Sトークマン(51.800円)を発売した。カメラ本体仕様は、35mm f2.8の広角レンズを搭載した単焦点カメラで、音声を使用した「お知らせ機能」がセールスポイントで有った。



ミノルタ・AF-S トークマン  


ミノルタカメラが当該カメラのTVコマーシャル及びカタログに松田聖子さんを採用したことからカメラ音声も「聖子ちゃんの声?」として松田聖子さんファンがブレークした経緯がある。
音声は「フィルムを入れて下さい」「フラッシュを御使い下さい」「撮影距離を変えて下さい」の3フレーズだけの寂しい内容であったが松田聖子広告効果は抜群であった。



ミノルタ・トークマン 音声ガイドスイッチ 


他の音声カメラとしては、1999年2月にPolaroid社が発売した「Polaroid 636 AF Polatalk」(16.800円)がある。
シャッターを半押しするとプリセットされた3パターンの音声が再生され、更に撮影者の音声も録音できる楽しいカメラであった。



Polaroid 636AF Polatalk


プリセット音声は、①「笑って、笑って」(女性の声)②「撮りますよ、はいポーズ」(男性の声)③「スリー、ツー、ワン」の男性声とドカーン(効果音)の3種類で更に、④撮影者の音声録音(何回でも録り直し可)の4パターンである。
撮影ガイドでは無く、シャッターチャンスのガイド機能付きのカメラで有った。いずれにしろ、音声カメラの後続機種は無く「最初で最後」のカメラとなった。

スマートフォンのカメラ撮影を音声でサポートする視覚障害者サポートスマートフォンは、2014年にサムスンより「Galaxy Core Advance」が発売されている。テキストを音声読み上げする機能の他にカメラ撮影を音声サポートする機能が付加されていた。


世界初、音声感知シャッターレリーズ機能搭載のコニカ・乾杯「KANPAI」

変わり種のカメラを得意?とするコニカ㈱が1989年11月に発売した世界初の音声に感知してシャッターが切れる音声感知式シャッターシリーズ機能を搭載したカメラが、コニカ「KANPAI」である。



コニカ・KANPAI


カメラ前面スイッチによって音声マイクが作動、音量が設定値を超えるとシャッターが切れる方式で、宴会時の「かんぱ~い!」等の大声に反応して撮影できる楽しいカメラである。
カメラ本体は、34mm f5.6 トリプレット(3群3枚)の広角レンズを搭載、固定焦点、シャッター速度も1~1/200秒の低価格仕様(28.000円)であった。
音声感知は3段階切換え、専用小型三脚がセットされておりカメラのフレーミングフリー機能を使用すると撮影毎に40度の角度でカメラが首をふり、最大100度迄の範囲を撮影できる宴会・パーティ向けカメラであった。



専用三脚にセットしたコニカ・KANPAI マイクスイッチはレンズ脇)   
 


専用小型三脚は石突き部にスニーカーを履かせる遊び心が満載の仕様で、「設計者の顔が見たくなる」様なスペックで有った。
筆者は、コニカ「KANPAI」を2005年に東京駅八重洲地下街の大手写真チェーン店の中古カメラコーナーで未使用に近い新品同様品を3.000円で購入したが、残念ながらスニーカーはロスト状態であった。
「KANPAI」購入後、テストも兼ねて何回か宴会に持参したがカメラセット適した棚等がある宴会場が少なく「乾杯!撮影」は未実現のままである。以前の保有者が「東京駅周辺企業の宴会仕切り屋社員で、女性社員の注目を集める目的で購入?」等 勝手な想像も出来るカメラである。


以上






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