好きな作曲家と言えば名前が次々と浮かぶが「誰か一人」と言えば迷うことなく、「モーツァルト!」と即答する。「好き」という言葉では表しきれない。「人類の宝物」という言葉もまだ全然足りないような気がする。 僕が小学校に上がるより前に夢中で繰り返し何度も何度も聴いていたたった一つの曲はモーツァルトのセレナーデ「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」。その頃から全楽章を諳んじて歌えたように思う。それほどにモーツァルトは僕にとっては特別のなかの特別な存在。 今回はモーツァルトの本の話。あるオーストリア人の方から2年前に、ブリギッテ・ハーマンという人の書いた「モーツァルト、その生涯と時代」 "Mozart sein Leben und seine Zeit"という本を戴いた。実は今までにドイツへ行ったときなどに、本屋でモーツァルトの本を物色しては「よし、読破するぞ!」と買ってきて、家で読み始めてみるのだが、気がつくとそのうちに本棚の隅っこへ追いやられて、やがては忘れられてしまう運命を辿った本が2冊ほどある。 この本も同じ運命を辿るのか… でもこの年はちょうどモーツァルト生誕250周年の記念すべき年。いい機会だと思い3度目の正直で読破に挑戦、時間が取れる日に30分ぐらいずつ読み始めた。
モーツァルトが成長して、モーツァルト自身の手紙が随所に引用されるようになると読むペースがぐんと遅くなってしまった。ハーマンの文章と比べてわかりやすさという点ではかなり厳しい。モーツァルトの書簡集なら和訳が出てはいるが、急ぐものでもないし、自力で読むことに意義があると思い悪戦苦闘しながらも自力で読み進んだ。ペースはぐんと落ちたが、モーツァルトが書いた手紙をオリジナルで読めるっていうのはやっぱり幸せだ。 青年モーツァルトが味わう数々の喜び、名誉、失望、挫折… 手紙とハーマンの描写が更にモーツァルトの世界へと引きずり込んで行く。 ページも残り僅かになってモーツァルトの死が近づいてくると、読んでいて何だかもう平常心ではいられなくなった。作曲家として最も円熟している時期に自動オルガンのためのBGMのような作曲依頼しか来ないという絶望感、そんな中で好条件のイギリス行きの話しが来たのに断ってしまうモーツァルトに「なぜだ?」と苛立つ。そこに友人シカネーダから届いた「魔笛」の依頼。そしてレクィエムの委嘱と自らの死… 読み始めてからなんと2年も経ってしまったが、とりあえず読破することができた。 さて、このブログで読書感想なども交えてこの本を紹介しようと思ったのだが、パラパラと読み返してみると随分忘れてしまっていていることに気がついた。もう一度ちゃんと読み直して見ようか… と思い立ち、今度は訳を綴って行くことにした。このブログでは本の紹介も兼ねてプロローグ的な章とも言える最初の「ザルツブルクの少年時代 1756-1762」(Kindheit in Salzburg 1756-1762)の訳を掲載する。 著作権の問題もあるのでとりあえずこの章だけの掲載に留めるが、感銘に残ったエピソードなどは折に触れて紹介していければと思う。 ブリギッテ・ハーマン著 「モーツァルト 生涯とその時代」(2006)より ザルツブルクの少年時代 1756-1762(その1) ザルツブルクの少年時代 1756-1762(その2) ブリギッテ・ハーマン(Brigitte Hamann) 1940年、ドイツのエッセンに生まれウィーンで活躍する歴史家・文筆家。「シシィ」の愛称で知られミュージカルにもなっている「エリザベート」の生涯を描いた「エリザベート 美しき皇妃の伝説」等は翻訳され日本でも出版されている。 |
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