『めぐりめぐる月』(2005年)シャロン・クリーチ作 もきかずこ訳 偕成社
今月の児童文学ピクニックのテーマは、『ロードムービーにしたい児童文学』だったのですが、取り上げたものの中でも、思いがけずよかったのが、この『めぐりめぐる月』。
上記は復刻版(しかし、既に絶版)で、もともとは講談社から1996年に出ていたコチラでした↓
«『めぐりめぐる月』あらすじ》
十三歳の少女サラは、家をでた母親をたずね、北米横断三千キロの旅にでます。祖父母の愛につつまれながら旅をするあいだ、サラは親友フィービィとその家族にまつわる話を語ります。成長する少女の心を、アメリカの広大な風景とともに描いた、ニューベリー賞受賞作。小学上級から。(BOOKデータベースより転載)
家を出たまま帰らない母さんに会いに、祖父母とともにアメリカを東から西まで車で横断。広大なアメリカの大地も感じることのできる、まさにロードムービーです。展開をあまり知らないほうが、楽しめるので、あまり話せないのですが・・・サラは母親が戻ってこないことをどうしても受け入れられないんですね。愛してるハズの自分を置いて行くなんて信じられない!と。母親はなぜ出て行ってしまったのか。なぜ戻ってこないのか。
そして、親友のフィービー(この子の性悪説な妄想もすごい!結構強烈なキャラ)の母親も家を出て行ってしまいます。こちらは、なぞの手紙が家の前に届けられたり、不審な青年が周りをウロウロしていたり、ミステリー要素も。フィービーの家はきちんとしているのですが、サラはそんな家にフィービーのお母さんが疲れていることも見抜きます。そして、祖父母にフィービーのうちの話をするうちに、自分の母親のことも重なって・・・。
ここに出てくるハチャメチャでラブラブなサラの祖父母がもうもういいんですよ~。こんな風に歳を取れたらなあ、って思う。
ちなみに原書のタイトルは Walk Two Moons↓
「人のことをとやかくいえるのは、その人のモカシンおはいてふたつの月が過ぎたあと」というネイティブアメリカンの言葉から来ています。フィービーの家の玄関先に置かれたナゾの手紙にも書かれていたこと。表面だけ見て、人のことまるで知ったかのようにとやかう言うな、ってこと。その人の立場に立ちなさい、って。
ああ、内容が書けないのが、もどかしいのですが、ぜひ読んでみて!としか言えない。母親からの自立の物語であり、家族の絆の物語。最後は、胸にこみあげるものがあります。内容知ってても、読み返すと泣いてしまいます。心に残る一冊です。ぜひ。
ところで角野栄子さんのご自宅の書棚にも、この講談社版があったんです~!え?なんで知ってるかって?
実はね・・・見てきたわけじゃないんですけど、こちらの角野さんのライフスタイル本に書棚が写っていたんですよ↓
角野さんのオシャレやセンスに目を奪われます。こちらもオススメ♪