静かに海は広がる

駆け出しの弁護士が思いつきで書くブログです

司法修習について(二回試験~試験当日の流れ)

2016-10-01 22:42:04 | 司法修習
1.二回試験の概要

(1) どのような試験か

おおざっぱに言えば、司法修習の卒業試験に該当するものです。
形式は集合修習起案とほぼ同様で、五科目それぞれについて事件記録を検討し、処理方針を解答します。

合格率はここ数年95~98%となっており、普通にやれば普通に受かる試験とも言われていますが、5日間にわたるタフな日程であることや、不合格だった場合のダメージなどを色々考えると、ある意味やりにくい試験と言えます。


(2) 試験会場・試験時間・日程など

メイン会場は和光の司法研修所ですが、関西方面の修習生用に、例年大阪にも会場が設けられるようです。

試験時間は、午前10時20分から午後5時50分までの7時間30分で、集合修習の起案よりもトータルの時間は長いですが、時間に余裕があるというわけではありません(私の受験時には、問題量が集合起案よりも増えて調整されていた気がします)。
お昼事情についても集合修習と同様、正午から午後1時までの建前となっていますが、研修所の売店も閉店しており外出も禁止されているため、ほとんどの修習生が自席で食べながら起案を続けます。

途中退出は午後2時頃より認められていたような記憶です。
試験終了後は答案回収が行われますが、試験室からの退出が許可されるまで数十分程度かかります。
回収作業では一つ一つの答案につき紐がきちんと結ばれているかチェックがなされ、その様子を修習生が固唾をのんで見守るという、何とも言えない緊張感に包まれます。

日程は、例年11月下旬に開催され、1日1科目の計5日間ですが、間に休日をはさむことが一般的なようです。
私の場合、前半2日間が民事系科目で、休日を挟み後半刑事系3科目という日程でした。
科目の順番も年によって異なると思われます。


(3) 持参物

必須なのは、受験票、筆記具、そして食糧です。飴等の軽食も机の上に出しておけば試験中摂ることができます。
私は糖分補給にと思いチョコレートを持っていきましたが、試験中は答案作成に夢中で食べる暇もなく、結局試験後に食べて疲れを癒していました。
反対に、携帯等の電子機器は試験開始前に集められ、箱の中で管理されます。


(4) 服装

特に決められていないので私服でも大丈夫ですが、男性はスーツを着た人が多かった記憶です。
研修所での受験の場合、行き帰りの徒歩やバスを待っている時間での防寒が必要になる一方で、試験中教室によっては熱気がこもるところもあると思うので、適宜調整できる服装良いと思います(スーツを着たいという方もネクタイまでは必要ないと思います)。


(5) (不)合格発表

合否の発表は例年12月中旬に行われるようです。
ほとんどの修習生が合格する試験ということもあり、不合格者の受験番号だけが研修所の入り口付近に掲示される方法がとられます。
掲示物の写真撮影も基本的に禁止なので、自分で直接確認しに行くか、知り合いに頼んで確認してもらうことになります。


以下は私の経験談を中心に書いていきます。


2.二回試験前後の過ごし方


(1) 試験前の過ごし方

私は修習A班だったので、集合修習の終了から選択型実務修習を経て二回試験、という流れでした。
A班のメリットは、集合修習の起案の反省点を踏まえて、二回試験までの間に自分の起案の分析や弱点の補強ができる点になります。
他方、1日かけて起案を行う機会はないので、答案作成の感覚は鈍るように思います。

私の場合は選択型実務修習で民事裁判修習を再履修し、裁判官に民事の事実認定の手法をみっちり教わったので、事実認定の感覚で不安に陥ることはありませんでした。
また、ホームグラウンド修習も積極的に自習をさせてくれる雰囲気ではなかったのですが、課題の間にこっそり要件事実の復習をしたりしていました。

試験前の自習となると、やはり小問対策も踏まえて知識の詰め込みが中心になると思います。民事系は、要件事実、執行・保全、弁護士倫理、及び債権総論・各論の知識の確認、刑事系は、検察起案の型の記憶、事実認定における判断要素の復習、刑法の各構成要件に関する定義・判例、及び勾留・保釈要件等刑訴知識の確認あたりになるでしょうか。

これらに加え、可能であれば他の修習生とゼミを組み、定期的に議論の場を設けることが非常に有効かと思います。私の場合も、友人4人とゼミを組み、週1回ペースで他のクラスの優秀答案の分析・検討や、各科目の対策を行うための集まりを開いていました。二回試験の突破のためにはとにかくマジョリティの解答から外れないことが大事なので、事実認定の検討結果について仲間とすり合わせを行う作業は、自分の考えのズレを修正できるという点で大変有用です。また、選択型では他の修習生と顔を合わせる機会が少ないので、精神衛生を保つ意味でも良い機会となりました。


(2) 試験前日から当日の流れ

研修所で受験する場合、鉄道の遅延リスクを考えて近くのホテルに宿泊する人が多いようです。
部屋の争奪戦は8月頃から始まるらしく、特に和光駅前のホテルはすぐ埋まってしまいます。
私は試験会場から少し離れてリフレッシュしたかったのもあり、池袋に宿泊していました。
ただ、毎晩夜中に外国人観光客が廊下でどんちゃん騒ぎをしていたので、寝心地はあまり良くありませんでした。

食事は、風邪が流行り出す時期だったので、外食はなるべく控え、無菌状態が担保されていると思われるコンビニの弁当で毎日をしのいでいました。

一生に一度の試験だと思い普段以上に神経質になっていましたが、今考えればこれが二回試験の魔力だと思います。


(3) 試験当日の流れ

初日は司法試験と比べると緊張していませんでしたが、それでもあまり良く眠れませんでした。
朝7時ころに起きて、東武東上線の運行状況を確認し(東上線はかなりの頻度で遅延するので注意が必要です)、シャワーを浴びて、時間に余裕を持ってホテルを出るように心掛けました。

ホテルの傍のコンビニで昼食と栄養ドリンクを調達し、近くのカフェでコーヒーを飲みながら自習用教材にざっと目を通した後(この時も風邪予防のため、コーヒーは紙コップでもらうような徹底ぶりを貫きました)、和光に向かいました。このルーティーンは結局5日間続けました。

研修所に着くと、すぐには試験室に入れず、講堂で待つよう促されます。1時間前ぐらいには着いていましたが、既に結構な人数が集まっていました。私も直前に自習して過ごそうと考えていたのですが、運よく(?)5日間毎日日替わりで実務修習で同じ班だった人や同じクラスの友人と遭遇したため、結局談笑して過ごしました。

試験開始15分前くらいに試験室に通されますが、試験監督のスタッフは一部屋あたり4~5人態勢となっていたようです。私の受験した前年に派遣スタッフのトラブルがあったようで、それを意識してか皆さんハキハキとあいさつし、テキパキと動いていました。


実際に試験を受けた感覚は、集合修習中とほとんど変わりませんでした。私の試験室はクラスで使っていた教室の隣の教室だったので、特に違和感なく試験に臨めました。
ただ、時間配分には気を付けたほうが良いです。予想以上に記録を読む時間がかかると、焦りが生じかえって記録が頭に入ってこなくなったりするので、頭から完璧に読もうとせずに、まずはおおざっぱに読んで内容を把握してしまうなど、自分なりの読み方を決めておいた方が良いと思います。
また、時間切れで小問に手が回らないのはもったいないので、先に解いてしまうのも手です。


試験終了15分前くらいになると、監督スタッフが紐で結ぶよう再三催促してきます。
この時点でまだ紐を結んでいない人には、結ぶまで傍らに立ってプレッシャーをかけてくるので、ここは素直に従いましょう。

試験終了後、回収作業が終わると午後6時30分頃になっていました。この時間帯になると帰りのバスが混むうえ、必ずと言っていいほど答え合わせをする人の会話が耳に入ってきます(ちなみに、バスの中で私の近くに乗っていた修習生3人の会話では、1人が明らかに結論を異にして書いていたようで、会話が進むにつれ段々と自信喪失していく姿が如実に見て取れました)。

試験室で私の前に座っていた修習生は、全ての科目で2時間ぐらい前に途中退出していました(おそらく不合格にはなっていなかったと思います)。初日は驚きましたが、悩んでも結論はさして変わらないと思ったのと、帰りの煩わしさからすると終わり次第早めに抜けるのも手かなと考え、2日目以降時間の余った科目は早退してしまうようにしました。

試験後はホテルに戻って夕食を食べましたが、翌日の科目の勉強をする気にもなれず、テレビを見ながら頭と体を休め、日付がかわる頃には寝ていました。


一日の流れとしてはこのような感じで、良く眠れなかった以外は特にトラブルもなく終わりました。試験から解放され、最終日の夜は無駄にテンションが上がっていたというのもあり、池袋の激辛ラーメン屋に行って派手にお腹を壊しました。


(4) 試験後から不合格発表まで

試験後発表までの2週間は、適当にのんびりしつつ、引越しや英語の勉強をして過ごしました。
自分では大きなミスをした自覚はなかったので、受かっているだろうとは思っていましたが、「不合格の自覚がない人も落ちていることがある」との噂も聞いたことがあったので、完全にすっきりした気持ちにはなれませんでした。

合否の発表は、自分の目で研修所まで確かめに行きました。確認したその日のうちに、今の職場や弁護修習でお世話になった先生に連絡しました。友人たちからも全員合格したとの報告があり、後日忘年会で実務での活躍を誓い合って一年を締めくくりました。

コメントを投稿