ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

秋色吾妻小舎手伝い日記 ~第2日10月6日(土)・第3日10月7日(日)~

2012-10-12 13:02:45 | 登山(東北南部)

【10月6日(土)】

三連休の初日とあって、浄土平キャンプ場にはひっきりなしに利用者が訪れた。
熊爺は、キャンプ場の受付をしているため、午後はほとんどそれにかかりきりで大忙し。
吾妻小舎には、小屋泊まり山行のお客様だけでなく、珍しく若い旅行客のような方も泊まった。
雅子さんも、訪ねてみえたお客様や、管理人だった故・遠藤守雄さんを御存じの方への応待で
コーヒーを煎れたり、歓談したりで大忙し。
散策途中のハイカーのコーヒーの注文にも応じなければならない。
昨日一緒にお手伝いをしていたJさんは、所要のため、午前中に山を下りていて
お手伝いはぴすけ一人。
厨房からほとんど出ることなく、ダーリンのの到着を待ちながら夕食の仕込みをしていた。
14時35分ごろ、第2便のバスで到着したダーリンが、バスで一緒になったお客様とやってきた。
猫の手も借りたいほど忙しかったが、暗くなるのが早いため、先にテントを張った方がいいだろうと
雅子さんと熊爺が気を利かせてくれて、ダーリンはキャンプ場の我が家・A2サイトへと向かった。
ところが…、待てど暮らせどダーリンが戻ってこない
雅子さんと熊爺とぴすけは、テントを設営した後で昼寝をしているのではないかと推測したが
何かあったのではないかと心配だったことと、夕食の刻限が迫って人手が欲しかったことも相まって
ぴすけがA2に行って確かめてくることになった
我が家のオープン玄関を入ると、ちょうど昼寝から起きたダーリンがテントから這い出したところだった。
ダーリンを加えてのその後の仕事は、案の定、大忙しのてんてこ舞いとなった。



【10月7日(日)】

一日中不安定な天候だった。
熊爺の話によると、例年なら9月にある長雨が、10月にずれ込んでいるような天候が続いているそうだ。
三連休も、ぐずつき気味の天候になっている。
お客様を送り出すと、朝御飯をいただき、小舎の掃除にかかる。
ダーリンにとって、丸一日時間が取れるのはこの日しかなかったため
掃除が終わってから走りに行こうと、雅子さんと熊爺にお伺いを立てたところ
雅子さんからは「人質(ぴすけ)はお預かりしていてよろしいのしょうか?」と言われ
熊爺からは「なんだ、一人で行くんだったんかい?」と、ホッとした顔をされたと苦笑いしていた。
「では、いってまいります。」
「あら、颯爽としていること。」
雅子さんに褒められ、嬉しそうに吾妻小舎を出たダーリンだったが…。


ここからは、ダーリンからの聞き取りを基に、ぴすけの主観で「面白おかしく」書いています

吾妻小舎を出たダーリンは、颯爽としたトレイルランニング仕様の服装に身を包み
酸ヶ平経由で一切経山山頂まで、人から見える場所だけ走りながらそのほとんどを歩いた
一切経山から下りてくる人が、ダーリンの走る姿を見て
「あらすごい
と、つぶやいた。
「フフフ、すごいって、言われちゃった
ダーリンにとってそのささやきは、「フフフン、ちょっといい気分」てな感じだったのだと思う。
一切経山北斜面から見下ろす五色沼は、初め姿を見せなかったが
暫く待っていると風が霧を下から吹き上げ、湖面を現わした。

五色沼を望めた幸運に気持ちを躍らせたダーリンは、登りとは打って変わって
一切経山の下りを走り抜けた

青空は望めないものの、霧は晴れて東吾妻山が望める。
酸ヶ平避難小屋までの斜面もなんのその。
軽快に走る
酸ヶ平から鎌沼を周ることも考えたダーリンだったが
木道は思うように走れないことと、人が多かったため、来たルートを引き返した

酸ヶ平から沢沿いに進む登山道は、上部が比較的急なため、木段になっている。
そこを下りるといったん平坦になり、吾妻小富士や桶沼・浄土平湿原などが見え始める。
さらに石ゴロの斜面を下りると、浄土平駐車場が見えるようになるのだが
その斜面で、ダーリンの体は宙に浮いたのだった
体が宙に浮いた瞬間、志賀高原で派手に転んで顔面に怪我を負ったぴすけのことが
ダーリンの脳裏によぎり、スローモーションのように転ぶ自分を自覚しつつ
「顔だけは、顔だけは護らないと
  ぴーちゃんと一緒になっちゃうーーー

と、必死で顔を護るために手をついたが、体はしたたかに地面に打ち付けられた。
「誰か見ていないか?」
ダーリンが最初にしたことは、怪我の程度を確かめることではなく
背後で誰かがこの失態を目撃していないかを確かめることだった
「ああ、よかった。誰も見ていない…
ここで初めてダーリンは、掌の皮が切れてめくれ
小指も切れて、腕と脛もすりむいたことを確認した。

怪我をしていたが、なんとか浄土平に下りて木道を歩き
そのまま桶沼への歩道を登ると、桶沼の紅葉がとても美しく感激を禁じ得なかったため
怪我をしてからは一切取り出していないカメラを出して、写真を撮った。
「さて、どうしよう。吾妻小舎に戻るしかないよな。」
桶沼を後にして、吾妻小舎へと向かったダーリンであった。


ここからは、怪我をしたダーリンをぴすけが迎えた様子を、「面白おかしく」書いています
「ただいま。」
「あれ?ダーリン、すごいね、ずいぶん早いじゃない。」
「それが…、転んで怪我しちゃってさ…。」
「エッあっ、首、首から血が出ている
「エッ首も切っちゃったかな。見てくれる?」
小舎の洗面所で怪我の箇所を探すと、首が切れていると思ったのは
掌か指を切った血がTシャツの襟についていただけで、首の怪我ではないことがわかった。
手の怪我がいちばんひどいようで、手袋とアームカバーをつけていなかったらと思うと
ちょっと恐ろしくなった
傷口を洗い、絆創膏を貼ったが、顔を守るためについた手が、捻挫か突き指になっているようだった。
「じゃあ、いったんテントに戻ります。」
そう言ってテントに帰ったダーリンだったが
昨日と同様、「いったん」ではなく、暫く戻ってこなかったのである


そのころ吾妻小舎では、お茶を飲みながら雅子さんとぴすけが冗談交じりにつぶやいていた。
「ダーリン、なにしに来たのかしらね~



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5 コメント

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やっぱり怖い下り。 (芝刈り爺さん)
2012-10-12 18:02:48
いやはやお元気なダーリン様もこけることがあるんですね。
お大事になさってください。
きれいな写真、ありがとうです。
今日もおとなしくしていました。
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無謀にもトレランを!! (can)
2012-10-12 19:01:59
ダーリンはトレランをやっているのですか?
歩いても危険がある登山道を走るのですから、怪我覚悟ですよね?信じられない?チャレンジするなら他の事でも一杯あるのに。ご安全に・・・。といういうしかない。
山はもう秋ですね。
返信する
私はトレランに反対です (ぴすけ)
2012-10-13 08:26:12
芝刈り爺さん、canさん、コメントありがとうございます。
かつて当ブログに「ハセツネカップ試走…のようなものに思う」と題して、トレイルランニング(以下、トレラン)の大会や集団登山について私の考えを書いたことがあります。
http://blog.goo.ne.jp/pisuke_pisuke/e/df7633ed5fb7c5829f7852a38bd40332
地元の学校で地元の山に登る、一種通過儀礼的な集団登山は別として、林間学校などで行われる集団登山にも、トレラン同様、私は大いに疑問を持っています。
ただ、トレランの場合、自然に与える衝撃は登山の比ではなく、危険も登山の比ではありません。
なにより不思議に思うのは、なぜ競わなければならないか、なぜ大会のために走るのか、ということです。
そんなに走りたければ、一人で走ればいい。
もちろん、一人で好きな山を走っている人もいるとは思いますが…。
トレラン反対の友人とも話すのですが、トレラン発祥の地であるアメリカやトレランが盛んなヨーロッパのトレイルと、日本のそれとでは、地面の硬さや質、植生などが異なり、それを考えると日本の山岳地帯でその衝撃に耐えられる場所は限られていると思います。
それをどこでもかしこでも走るんですよね。
また、傍若無人なランナーが登山者の脇をかすめて追い越したり(私は実際に那須で怖い思いをした経験があります)、集団で走ることによって登山道を一時的にせよ占拠するような状況が生じたり(これは集団登山・ツアー登山でも同じですが)、落とされるゴミの問題であったり(これも登山でもあることですが、トレランは速さを競う、もしくは歩く速度より速い速度で移動するため、自分が落としたゴミに気づきにくかったり、落としやすかったり)、そのゴミ清掃のために再び集団で山に入ったりと、首を傾げることばかり。
私はトレランに反対です。
個人的な希望としても、ダーリンには、トレラン大会に出る時間を、一緒に山歩きをする時間にしてほしい、とも思っています。
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私は(も)嫌です (芝刈り爺さん)
2012-10-14 20:13:43
山で走ってきたら、私は、むかっと来てしまいそうですね。
特に木の生えている山、草のある道では、やはり歩くだけでも罪深いので、そういう山はあまり走るのには向きませんよね。岩の山(落石はいやだけど)富士山のような山ならいくらかいいんでしょうかね。でも半月板、おひざに悪そうですね。
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那須で会ったオバチャンは (ぴすけ)
2012-10-14 23:15:58
芝刈り爺さん、あえてオバチャンと言わせてもらいますが、那須であったオバチャンは、私とダーリンの背後から、声一つかけずに脇をかすめて走っていきました。
いや、本当に、私があと何センチか体を動かしたら、背後から追突されて、私が転落していたでしょう。
そのくらい怖かった。
そうした傍若無人な人は少ないのだと思いたいのですが、ダーリンが注意をしたら
「私は何も悪いことはしていないっ!」
と、ものすごい形相で言い返されました。
「あ~、人間の心根は、年をとればとるほど、表層に現れるのだな。」と、感じました。一緒にいたグループの1人は、その場を何とか収めたいのか、「ハイハイ、すいませんね」と繰り返し、背後では、同じグループなのにそ知らぬふりをしている仲間が2人。
みなさん、私よりずっとお兄様お姉様ですよ。
情けない。
人間、歳は関係ないですがね。
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