文化逍遥。

良質な文化の紹介。

自粛要請とはいうものの・・

2020年02月28日 | 日記・エッセイ・コラム
 会員になっている国立劇場から、以下のようなメールが届いた。

『新型コロナウイルス感染症対策に係る文部科学大臣の要請を受け、日本芸術文化振興会では、感染症拡大のリスクを低減する観点から、令和2年2月28日(金)から3月15日(日)まで国立劇場、国立演芸場、国立能楽堂、国立文楽劇場の主催公演は中止とし、伝統芸能情報館は閉館いたします。

(中略)

[国立劇場小劇場]
中止(一部期間) 3月歌舞伎公演 3月3日(火)~3月15日(日)
[国立演芸場]
中止       3月上席公演  3月1日(日)~3月10日(火)
中止       3月花形演芸会 3月7日(土)
中止(一部期間) 3月中席公演  3月11日(水)~3月15日(日)
[伝統芸能情報館]
中止(一部期間) 企画展示「歌舞伎の四季」 2月28日(金)~3月15日(日)
※3月14日(土)公演記録鑑賞会は中止いたします。
※図書閲覧室・視聴室・国立演芸場資料展示室は2月28日(金)から3月15日(日)まで休室いたします。
[国立能楽堂]
中止       2月特別公演  2月29日(土)
中止       3月定例公演  3月4日(水)
中止       能楽研修発表会「第21回青翔会」 3月10日(火)
中止       3月普及公演  3月14日(土)
※資料展示室・図書閲覧室は2月28日(金)から3月15日(日)まで休室いたします。
[国立文楽劇場・小ホール]
中止       浪曲名人会   2月29日(土)
中止       3月上方演芸特選会 3月11日(水)~14日(土)
※3月2日(月)公演記録鑑賞会は中止いたします。※資料展示室・図書閲覧室は2月28日(金)から3月15日(日)まで休室いたします。』


 わたしが心配することではないかもしれないが、出演予定だった芸人さんたちのワリ(出演料)は保証されるのだろうか?
 わたしは疫病の専門家ではないが、持病がない健康な人の死亡率が現在のところ0.9%というウィルスに対して過剰な「自粛要請」をすれば、芸人さんだけでなく派遣やパートで働く底辺を支える労働者たちにしわ寄せがいくのは確実だ。そして、その底辺の労働者は、全体の6割を超えているとも言われている。株価も、世界的に値が大幅に下がっている。これは、世界的にバブル傾向、すなわち実体経済よりも投資が膨らんでいる事を示しているのだろう。一方で、検疫を含めた医療体制も見苦しいほどの混乱を呈している。危ないのは、糖尿病などの持病がある人なのだから、そういった持病を持つ人達を重点的に「自粛要請」すればよい、のではないかと素人目には見えるがどうだろう。

 冷静な対応をしたいものだ。

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わたしのレコード棚ーブルース83 Lonesome Sundown

2020年02月25日 | わたしのレコード棚
 ライトニン・スリムの頁でも少し触れたロンサム・サンダウンLonesome Sundown。本名は、コーネリアス・グリーン(Cornelius Green)。1928年にルイジアナ州Donardsonvilleで生まれ、1995年4月に亡くなっている。



 上のCDは、1956-64にかけてエクセロに吹き込まれた18曲を収録しており、P-ヴァインから発売されているもの。独特のギター奏法と絞り出すような声で、スリム・ハーポやライトニン・スリムと共に、ルイジアナのレーベルであるエクセロ(Excello)を代表するミュージシャンの一人だ。エクセロには、本名ではなく独特の芸名を持つ人が多いが、このロンサム・サンダウン(淋しい夕暮れ)というのはまるで演歌の芸人みたいにも思えるほどのふてぶてしさ、と言うか「そこまでするか」と感じるほどの芸名だ。おそらく、エクセロがプロデュースする時の方針のようなものもあったのだろう。
 そのロンサム・サンダウンは、1960年代終わりころには音楽から遠ざかり、本名のコーネリアス・グリーンに戻り聖職者となった。おそらく、世俗の中でどっぷりと浸かったミュージシャンであることに疲れたのではないかと、個人的には推測している。実際このCDなどを聴くと、ルイジアナ特有の「Swamp Soul」と言われる、ある意味軽さを持ったブルースで、彼はもっと人間本来の深みを持った活動をしたかったのではないだろうか。かつての、イッシュマン・ブレイシーやスキップ・ジェイムスがそうであったように。
 その後、1977年になって一時音楽活動を再開。アリゲーターレーベルなどからレコードを出したりするが、商業的には成功しないままルイジアナで建設作業などしていたようである。彼は、若い頃大工の修行をしたことがあるらしい。

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2019年日本映画『山中静夫氏の尊厳死』

2020年02月21日 | 映画
 2/20(木)、千葉劇場にて。監督は、村橋明郎。原作は、医師であり、小説『阿弥陀堂だより』で知られる作家でもある南木佳士(なぎ けいし)。





 癌の専門医などが自らも癌に罹ると、ほぼ例外なく口にすることがある。それは「患者の不安や苦しみなどをわかっているつもりだったが、なにもわかっていなかった」ということだ。人間の想像力の限界、とも言えるが、医師が患者の痛みや苦しみを全て自らに背負い込めば、一人の人間として担える限界を越えてしまうのが必然である、とも言える。どこかで、折り合いをつけなければ、医師を含めケアに当たる人たちの心も体も壊れてしまうだろう。この映画の中で、末期癌の患者を看取る医師も、折り合いをつけられず重い鬱病になってしまう設定になっている。
 わたしも年を重ね、医療関係者と接することも多くなってきたが、実感として「無責任な医者だ」と感じることも正直多い。仕事関係で同年代あるいは、自分より年下の人が亡くなったりしたことも少なくないし、かつての同級生でもすでに鬼籍に入った者もいる。そう遠くない日に、自らの死と直面した時、どんな医師や看護師に巡り合うのだろう、と考えることもある。それは、実は若い人でも同じで、いつ死に直面するかは誰にもわからない。そんなことを想いながら、この作品を観ていた。良い作品、とは感じたが、医師が鬱病から回復する描写が安易な気がして残念でもあった。

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2017年イギリス映画『Edie(イーディー)』

2020年02月17日 | 映画
 2/12(水)、千葉劇場にて。監督・脚本は、サイモン・ハンター。主人公イーディー役には、撮影時に役柄と同じく実際83歳だったシーラ・ハンコック。





 主人公の83歳イーディーは、気難しい夫の世話と介護に人生をささげてきたまま年を取った実感しかない。その夫も今は亡く、一人娘には老人施設に入ることを進められ、次第に母娘の気持ちが離れてゆく。そんな時、亡くなった父と昔スコットランドのスイルベン山に行く約束を思い出し、一人重い荷物を携えてロンドンのユーストン駅に向かい、スコットランドのインバネス行き夜行列車に乗るのだが・・・。

 はっきり言って、この映画のストーリーや設定には特に語るべきところも見いだせない。観たかったのは、スコットランドの山々と漁村の風景だった。イギリスという国も、日本から遠く、中々理解できない国だ。面積は大きくないのにサッカーチームがイングランド、ウェールズ、スコットランドなどに分かれているようにブリテン島だけでも文化的な違いが大きいようだ。さらに、ミュージシャンなどは多く出ているものの、日本に入ってくる輸入品として思いつくのはウィスキーと車くらいだ。一方で、大航海時代には世界の覇者として植民地をほしいままにし、莫大な富を蓄積した。その大英帝国も今は衰退し、貧困問題を抱えかつて「ゆりかごから墓場まで」と言われた福祉国家の影も薄い。
 そんなイギリスの実態を知るために出かけていけるわけはなく、ましてや、スコットランドの自然の景観などは知る由もない。映画は、あくまでレンズを通した、いわば作為性を排することが出来ない世界だが、それでもその地方を理解する一助にはなるだろう。その意味では、この作品も観る価値がある、と言える。

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2/1のライブ写真

2020年02月13日 | ライブ
 遅ればせながら、2/1(土)千葉のライブハウス「ライト」での演奏時の写真が届いたので、アップしておく。



 右端でベースを弾いているのが、わたし。ベースは、クルーズのフレットレス・ベースで、ストラップは「デュオ・ストラップ」という両肩に掛けられるもの。重さが分散するだけでなく、しっかり体にフィットするので、固定感があり弾きやすくなる。このストラップでないと、フレットレス・ベースは立って弾けないな、と感じるほど。ただ、ストラップ自体に少し重さを感じるのが難点、と言える。

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わたしのレコード棚ーブルース82『Negro Blues and Hollers』

2020年02月11日 | わたしのレコード棚
 今回のCDは、ラウンダー(ROUNDER)というレーベルから1997年に出たもので、アラン・ローマックスが1941-42年に議会図書館の要請に応じてフィールド録音したものを編集したものだ。ROUNDERは、地方色の強いフォークソングのレコードなどを多く発売しているレーベルで、ブルースファンには馴染みが薄いかもしれない。このCDも「Archive of folk culture」となっているように、カントリー・ブルースを地方色の強いフォークソング(民謡)として捉えて編集したようだ。内容は、サン・ハウスを中心にデヴィッド・エドワーズ、ウィリアム・ブラウンなど、ミシシッピーやアーカンソーでフィールド・レコーディングされたもの12曲で構成されている。全ての曲の歌詞が解説と共にブックレットに入っているのもありがたい。何しろ、訛りが強くてほとんど聞き取れないのだ。



 それぞれのミュージシャンに関しては、すでに他のページで書いたものを参照してほしい。
 このCDで、特筆すべきは、解説書の写真である。サン・ハウス(右)をギターでサポートしているのはマディ・ウォータースで、ニューポート・フォークフェスティバルの時の1枚だという。残念ながら日付の記載がないので、詳しいことは分からないが、おそらく1960年代のものと思われる。さらに残念なのは、この時の演奏もこのCDには収録されておらず、他の音源も我が家には無いことだ。是非とも聴きたいものだ。
 マディ・ウォータースに関しては、シカゴで成功した「大御所」と言われるブルースマンで、改めて書く必要もないだろう。その大御所の音楽による収入から見れば、ほとんど「素人」に近いサン・ハウスだが、マディがサンを見つめる表情に先人への畏敬の気持ちが見て取れる。言葉を換えれば、真剣さと緊張そして尊敬がこもっている。やはり、優れたミュージシャンは、自分のルーツがどこにあるのか、そして、その道を切り開き、守ることがいかに困難を伴うのか、それが良く分かっていたのだ。ただ、亡くなったのはマディ・ウォータースの方が早く、1983年に68歳でだった。サン・ハウスは86歳までの長命を保ち、1988年に亡くなっている。。

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「ライト」ブルース・セッション2020/2/1

2020年02月07日 | ライブ
 2/1、毎月第一土曜日恒例、千葉のライブハウス「ライト」でのブルース・セッションに参加してきた。この日わたしは、ベースを弾かせてもらった。様々な人とセッションするわけだが、ベースを弾くことによって、音を底辺から支えるのは良い勉強になる。音を外したり、空白を作ったりすることのできない立場で演奏することは、基礎的な演奏力を身につけるにはもってこいだ。まあ、慣れないことで他の人には迷惑かもしれないが、なんとかご容赦願えれば、と思っている。
 全部で、8曲ほど演奏したが、課題はやはりシャッフル以外のリズムでの演奏で、8ビートなどのリズムなどをいかに自分のものに出来るかだ。練習し直して、又、挑戦したい。

 次回は、3/7(土)19時開始予定で、わたしも参加するつもりだ。

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2018年スペイン・ポルトガル・ベルギ―・フランス・イギリス映画『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』

2020年02月03日 | 映画
 1/30(木)千葉劇場にて。監督は、テリー・ギリアム。言語は、ほんどが英語。原題は、『The Man Who Killed Don Quixote(ドン・キホーテを殺した男)』。
 ドン・キホーテは、人文系の学問を学ぶ者にとって、永遠のヒーローなのかもしれない。狂人扱いされても自らの理想を追うことを止めず、倒れるまで進み続ける。その姿に自らを重ね合わせ、感動するところがあったようにも思う。セルバンテスの原作小説でも、1972年の映画『ラ・マンチャの男』でも感涙にむせんだものだった。この映画でも、本来は靴職人だが、自らをドン・キホーテと信じ込む役のジョナサン・プライスの演技が素晴らしかった。





 この作品、完成までにかなりな紆余曲折があったようで、以下に[映画.com ニュース]からその経緯を抜粋しておく。


 『構想から約30年、9回も企画が頓挫しながらも完成にこぎつけた鬼才テリー・ギリアム監督の「ドン・キホーテを殺した男(The Man Who Killed Don Quixote)」が、「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」の邦題で2020年1月24日の公開が決定、このほどポスタービジュアルがお披露目された。

2000年にスペイン・マドリードで撮影が始まるが、撮影現場周辺を軍用戦闘機が飛び交い、あえなく中断。さらに鉄砲水に襲われ撮影機材が流出し、景色も様変わりしてしまう悲劇に見舞われる。その後も、ドン・キホーテ役のジャン・ロシュフォールが腰痛を訴え、歩行不可能になり企画が頓挫。そのほか資金繰りやキャスティング、権利関係の問題により幾度と企画が頓挫しては、再び立ち上がり、2017年に完成。第71回カンヌ国際映画祭のクロージングを飾った。

映画は、スランプに陥ったCM監督トビーが、10年前に撮影した映画「ドン・キホーテを殺した男」でドン・キホーテ役に抜擢した老人ハビエルと再会したことで、奇怪な旅路に巻き込まれていく物語。

過去の企画でジョニー・デップやユアン・マクレガーらが候補に挙がっていた主人公トビー役を射止めたのは、「パターソン」や「ブラック・クランズマン」「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」など話題作への出演作が続くアダム・ドライバー。自身をドン・キホーテと信じる老人ハビエル役を、TVシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズに出演し、テリー・ギリアムとは「未来世紀ブラジル」(85)など4度目のタッグとなるジョナサン・プライスが演じる。

また、トビーのボスをステラン・スカルスガルド、ボスの妻でトビーを誘惑するジャッキにオルガ・キュリレンコ。そのほか、ジョアナ・リベイロ 、オスカル・ハナエダ、セルジ・ロペスら実力派ベテラン俳優から期待の若手俳優が脇を固める。』

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