デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



内藤正典著『となりのイスラム』(ミシマ社)読了。
肝心なことが分かっている、伝えたいことがはっきりしている人は、たとえ短い分量でも的確にものごとや主張を分かりやすく伝えることができることを示しているような良書だった。
世界中から報道されるイスラム過激派が起こす凄惨な事件から、イスラム教やムスリムに対して非ムスリムの人間が抱くイメージは悪くなってばかりいるように見受けられる。しかし、信仰に篤いムスリムの人たちが異教徒を見ればすぐに暴力を振るうような人たちではない、むしろ多くの真面目なイスラム教徒は自分の力ではどうしようもないことは神にゆだね必要以上の社会的ストレスを溜め込まず、善行を積むことを生きがいにし、弱者に対して手を差し伸べ、客を迎え入れるときには手厚いもてなしをすることに喜びを見出す人々であることを、多くの非イスラム教徒は知らないままに相手(ムスリム)を色眼鏡で見ているという事実に、私も正直耳が痛くなる思いである。
ただ、内藤氏の現地での印象とISをめぐる嘆きに対しては、共感というのはおこがましいかもしれないけれど私も心温まるものと悲痛なものとを感じる。私が外国に行くのは旅行での数日間でしかないが、たとえ短い滞在であっても入国前にいろいろとその国について勉強し、片言でも現地の言葉をなるべく使って旅行すれば、日本出発前の自分がどれだけ旅行先の国に対して無理解であったか、また思う以上に感覚的なもの感情の発露的なものが違うのに驚きを禁じえなくなると同時に、かえってそれゆえに旅行先の国での居心地の良さみたいなものを感じることは少なくないのだ。こればかりは、行ってみなければわからないし、また帰国してからも旅行先の国について関心を持ち続けないと理解するのは困難なもの、という他ないように思う。

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