平凡であることの幸せ

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☆Life is a journey towards the guiding light

紙屋悦子の青春 ~黒木和雄~

2006-12-01 | 映画

Kamiya 今年4月12日に75歳で急逝なさった黒木和雄監督映画の遺作となった「紙屋悦子の青春」を 先月、神保町の岩波ホールで観ました。今回も「父と暮らせば」(2004)(毎日映画コンクール監督賞ほか)のように 戯曲をもとにした映画なので 映画というよりお芝居を見ているようでした。戦争映画でありながら戦争のシーンもなく 当時の若者たちの姿や日常の家庭の風景がごく自然に、穏やかに描かれていながらも、戦争で死んでいく人の思い、生き残った者の生涯消えることのない悲しみが伝わってくるのでした。戦争を体験した監督にとって この作品は あの時代を生きた若者たちに捧げるレクイエムでもあるそうです。

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またこの原作は 岸田國士戯曲賞、読売文学賞を受賞し、ご活躍なさっておられる劇作家の松田正隆さんのご両親の実話をもとに書かれた同名の戯曲で 黒木監督が原作にきわめて忠実に映画化した作品だそうです。以前、松田さんが黒木監督の「TOMORROW/明日」(1988)を観て触発されてご両親のことを描いた戯曲だそうで、後に たまたま黒木監督が「紙屋悦子の青春」の上演をご覧になって作品に感動し、「美しい夏キリシマ」(2002)(2003年度キネマ旬報第1位) の脚本を松田さんに依頼し、共同で脚色した時にそのことがわかったそうで 芸術を通じて感性や思いというのは繋がってゆくのだなあと思いました。

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主演の原田知世さんも清楚で悦子役にぴったりでしたし、永与少尉役の永瀬正敏さんの演技は素晴らしかったです。明石少尉役の松岡俊介さんや悦子の兄役の小林薫さんもぴったりでしたが 本上まなみさんは ちょっと現代人すぎて綺麗なのでもっと素朴な女優さんが良かったのではとも思いました。(ごめんなさい^^;)

「父と暮らせば」もこの映画も「手紙」の存在が登場人物の心理を見るものに静かに伝えてくれるように思いました。悦子が永与にもらった明石からの手紙の内容は観客にはわかりませんでしたが、死んでいく人の愛する人への思いや、それを読むであろう残された悦子の思いは 言葉や映像にしなくても充分にわかりすぎるのでした。電話やメールで簡単に用件や思いが伝えられる今日とは違って 手紙や電報を待つ思い、送る思い、あるいは人にたくす思いやもどかしさ・・・。うまく伝わらず すれ違いや誤解のままで終わってしまうこともあったことでしょう。

黒木監督の戦争三部作のうち まだ「TOMORROW/明日」だけ観ていないので 今度レンタルして是非観たいと思います。黒木監督の「戦争で生き残ってしまって うしろめたい・・」という思いを 素晴らしい映画で私たちに伝えてくださったことは 戦争を知らない私たちが大切に受け止めていかなければならないと映画が終わった時に心の中で合掌させていただきました。 先日も蜂谷彌三郎さんの実話をもとにしたドラマ 「遥かなる約束・50年の時を越えた運命の愛」を見ましたが、戦後60年以上たった今もなお 戦争の悲しみが消えない方々がおられ、また悲しみの記憶を語れない方もおられることの事実・・。体験者が少なくなってきたからこそ 歴史的事実である戦争を風化させてはいけないと思わずにはいられません。

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今夜はMステでu2に感動して、これから「ALWAYS 三丁目の夕日」を観ます♪U2はアイルランドの反戦ロックバンドでもありますね。

追伸。 筑紫哲也NEWS23ボノのインタビューも興味深く拝見しました

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追伸 (12月8日)

 「紙屋悦子の青春」は2006年邦画ベスト3に選ばれたそうです♪