折々の写真＆雑感 82

　今回ノーベル賞を受けた大隅さんの講演で「大学の体力低下は深刻」であると述べたとの新聞報道を読んだ。以前にもこれに似た新聞記事を読み、心配していた。日本の研究費は乏しいばかりではなく、短期間で成果を挙げなければならないそうだ。優秀な研究者は非常に高額な報酬と潤沢な研究費、その上整った研究所を用意しているアメリカから勧誘を受ける。その魅力には勝てないのであろう。今までの研究成果を持ってアメリカへ渡ってしまった研究者は決して少なくない。最近はアメリカばかりではなく中国に渡ることもあると聞いた。そして恵まれた研究生活で得た成果はその国の利益となってしまう。

　オリンピックに２兆円も、３兆円もかけるなら、そんなものは止して、日本の将来のためになる研究の費用に充てては如何か。特別な人を除いて、一般的な研究者の年間の研究費は５０万円とか１００万円であるそうだ。私腹を肥やすのを最大の目的にしているような議員や前都知事の政治資金にも遠く及ばない。全国の研究者に潤沢な研究費を提供し、災害地を一日も早く復興させ、被害者に手厚い援助をし、その上でオリンピックを開催するのであれば文句の出ようもないだろう。

　世界第二の経済大国などと煽てられ、世界第一の経済大国から湾岸戦争を種に大金をむしり取られるような政治家ばかりが多くいる日本の将来はどうなるのか心配である。そんな中で、小池都知事だけが希望の星のように感じる。選挙中は小池候補への風当たりがかなり強かった。私の周囲にも小池候補を嫌う人は多かった。だが、私は小池候補に投票した。逆風を跳ね飛ばす、あの根性は凄いと思った。投票した後で「投票して良かった」と心から思える極々少ない人の一人である。これからも応援したい。

　党利党略、個人の利益、既得権力の争い等々、国の利益とは程遠いところで行われているとしか思えない国会。質問する方も、それに答える方も誰が書いたかわからない文書を読むだけ。国会中継を見ていると馬鹿らしくなる。
　それに引き換え、動物園はいい。第一「騙し」がない。動物をじっと見ていると心が癒される。或いは動物の方が我々を見ているのかもしれない。だが、仮にそうだとしても彼らは礼儀をわきまえている。失礼のないように我々を見る。

　下の写真は全て上野動物園で撮ったものである。今回はゴリラだけを集めたが、哀しいことに西ローランドゴリラの「ムサシ」（最初の二枚）は今年の７月２５日に肺炎で死亡してしまった。３６歳であった。２００７年の７月に脳梗塞で倒れたが、その後はかなり回復したと聞いていたのに惜しいことをした。１９８０年の７月に英国のブリストン動物園で生まれ、１９８２年に釧路市動物園、それから２０００年に上野動物園に来た。貫禄だけではなく、哀愁を帯びたムサシは多くの人から愛されていた。残念だ。


ＥＯＳ７ＤにＥＦ１００－４００ｍｍ、４.５－５.６Ｌを装着。　ＩＳＯ：４００、　ｆ１１、　１/１２５秒、　露出補正：－１、　ＷＢ：オート。


ＥＯＳ７ＤにＥＦ１００－４００ｍｍ、４.５－５.６Ｌを装着。　ＩＳＯ：８００、　ｆ１１、　１/１２５秒、　露出補正：－１、　ＷＢ：オート。


ＥＯＳ７ＤにＥＦ１００－４００ｍｍ、４.５－５.６Ｌを装着。　ＩＳＯ：２００、　ｆ５.６、　１/２００秒、　露出補正：－１、　ＷＢ：オート。


ＥＯＳ７ＤにＥＦ１００－４００ｍｍ、４.５－５.６Ｌを装着。　ＩＳＯ：４００、　ｆ１１、　１/１００秒、　露出補正：－１、　ＷＢ：オート。
　上の二枚は被り物の好きなピーコである。飼育員が時折、新しい別のかぶりものを渡すそうだ。彼女はムサシに恋するのではなく、人間の飼育員に恋心を持っているそうだ。一度、ゴリラに惚れられている飼育員氏にお目にかかりたいと願っているが、まだ一度もその機会に恵まれていない。


ＥＯＳ７ＤにＥＦ１００－４００ｍｍ、４.５－５.６Ｌを装着。　ＩＳＯ：８００、　ｆ１１、　１/１２５秒、　露出補正：－１、　ＷＢ：オート。


ＥＯＳ７ＤにＥＦ１００－４００ｍｍ、４.５－５.６Ｌを装着。　ＩＳＯ：４００、　ｆ１１、　１/２５０秒、　露出補正：－１、　ＷＢ：オート。
　コモモの妹のモモカ。母親のモモコと一緒に、興味深げに見物人を見ているモモカは可愛い。