「わたしの指がついうっかりと……」

2008年07月30日 15時36分00秒 | G地点 チッチ

 

今日ぼくがベンチでぼーっとしてたら
だしぬけにミーコさんが現れたんだ
隠れる暇もなかったよ
ミーコさんはおもむろにぼくの隣に座った
どど どうしよう 何か言わなくちゃ
ドキドキドキ わっ 心臓が飛び出しそうだ
しかも 偶然だけど 足の先が触れ合ってしまった
ミーコさんの柔らかくて温かい肉球!
わわーっ!
ぼくは必死で平静を装っていたけど
心の中では 大声で叫んでた
ミーコさんの方はといえば 終始澄まし顔で
足先が触れているのにも気付かなかったみたいだ
……間もなくミーコさんは行ってしまった
何も言わずに また 何事もなかったように
もちろん ぼくも結局何も言えなかったよ
ちぇっ ぼくってダメだなあ

 

※ タイトルは、ロラン・バルト著/三好郁朗訳 『恋愛のディスクール・断章』(みすず書房、1980年) 100頁より

 

 

 

 

 

 

 

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