アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会が開催されました

2008-08-12 11:57:51 | インポート
昨日の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」の初会合のニュースが北海道新聞・朝日・毎日にUPされていました。毎日は特集“クローズアップ2008”にも取り上げていました。まとめて以下にUPしましたのでご覧下さい。
関連ニュース http://u-ko-usaraye.cocolog-nifty.com/

有識懇は6月に政府がアイヌ民族を日本の先住民族と認めたことを受けて設置されました。
「先住民族」と認めたけれどもその先住民族としての権利やだれが先住民族か、どのように今後の支援をしていくかなどを検討するために作られたのですが、昨日、初会合がありました。

毎日記事によると(以下引用)
加藤理事長は初会合の席で涙ながらにアイヌの貧窮を訴え、有識者懇の議論を短期、中期、長期の課題に分けて進めるよう提案。生活水準の向上に直結する支援策を当面の優先課題とするアイヌの姿勢を他のメンバーに強く印象づけた。とのこと。政府が懸念する「先住権」に伴う諸権利に関しては中・長期の課題として、まずは支援策だ、と。今後、毎月会合を開いて練り上げていくとのこと。

 
さる9月に国連が先住民族権利宣言を決議しましたが、政府は「現在のところ、「先住民族」に関する国際的に確立した定義がないこともあり、アイヌの人々が「先住民族」かどうか結論を下せる状況にはない」と答弁を繰り返しました。
たとえば163回(特別会)内閣衆議院質問の第7号、57号、166回(常会)内閣衆質の第40号、168回(臨時)内閣衆質の第24号、53号、102号、そして先日の169回(常会)内閣衆質の第63号、106号、138号、182号、373号、549号など・・・鈴木宗男さんが何度も質問し、政府が答えています。注1

政府は①先住民族の定義が確立されていない。②アイヌは先住民族かどうか判断する定義がない。③だからアイヌが先住民族かどうか結論が出せない。と言って来たのですが、6月には、アイヌ民族を先住民族として認めました。国連で「定義」が確立されたわけではないのに、です。

しかし、そもそも国連で先住民族権利宣言が決議された時も、日本政府は賛成票を入れましたが、投票時の日本政府の演説は
①自決権は分離独立権を含まない。
②土地権とその行使は、国法に従い、第三者の権利及び公共の利益と調和するように合理的な制約を受ける。
③集団的権利は認めない(webcastで流れた) 
注2
と述べているのです。先住民族の分離独立権は認めない、土地も権利制約が付く、(「民族」という集団的な権利は認めない)との制約はアイヌを先住民族と認めたとしても守るつもりでしょう。

国が国内法の改正を視野に入れて先住民族アイヌの先住権を整えるために話し合いを詰めてほしいですね。そのための有識者と多くのアイヌ民族の声を整合させる懇談会であってほしいです。

そうそう、横田洋三さん(中央大法科大学院教授)によると、国連決議の際、日本政府は賛成票を増やすために随分と多くの国を説得してまわったとのこと!(6/28「先住民族フォーラム」でのお話から)。



注1 衆議院質問のURLは以下にまとまっていますので確認できます
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_shitsumon.htm

注2 北大アイヌ・先住民研究センター07年11/17講演「『先住民族の権利に関する国際連合宣言』の採択とその意義」常本照樹さん より。




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