アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

さっぽろ自由学校「遊」後期講座 市民とともに考える これからのアイヌ民族政策のあり方-新法制定に向けた動きを踏まえながら

2016-10-29 17:53:07 | 日記

さる10月27日、28日と連続で遊の講演を聞きました。

27日は「市民とともに考えるアイヌ政策」の第1回「先住民族政策と国際人権法」。講師の丸山 博さんのお話を伺うのははじめて。丸山さんは環境と先住民族政策の研究を2006年より北欧を拠点にされており、現在、アイヌ政策検討市民会議世話人。 

先住民族の権利を国際的に訴えていくべきだと力説。また、日本の研究者は「ムラ社会をつくり、学際性に欠け、国際的に孤立している」と痛烈に批判。ご自身が近々発表すると紹介された論文『国際人権法アプローチによる先住民族政策の定義』は、ぜひ、日本語訳で読みたいです。その中で以下を主張。

・国家が近代化と称し、植民地支配によって先住民族に加えた歴史的不正義に対して補償をおこなうこと。

・先住民族が自らの言語や文化を維持・発展できるような是正措置を国際人権法に基づき促進すること。

・先住民族の言語や文化が土地や自然資源と不可分な関係にあることを認識すること。

正しい歴史認識と補償、先住民族自らが発展するための促進協力など、どれも必要なものです。

しかし、日本のアイヌ政策を見ると2009年のアイヌ政策有識者懇の報告書からも分かるように、歴史観がいまだに植民地主義を克服していないことを指摘。また、権利保障に対して消極的、否定的と批判。

それらの中で、日本国憲法98条に触れました。

第九十八条

この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

日本国憲法は最高法規だから守らなければならない。それと同時に国際法規も「誠実に遵守しなければならない」のだが、日本は国内法のみを守り、国際法を誠実に遵守していない、と。

そこで、ノルウェーのサーミ政策を比較的に紹介。日本では二風谷ダム裁判が争われていた同時期の1970年代にノルウェーでもアルタ・ダム闘争が起きていた。国は1980年に「サーミの権利に関する委員会/サーミ文化委員会」を発足させ、‘84年の報告書にはサーミ議会の開設を含むサーミ法の制定とともに以下の文言を憲法に追記することを提言。「国はサーミ民族が言語、文化、生活様式等を維持・発展させるための条件整備の責任を有する」。’89年には上記の提言がノルウェー議会で可決・承認するに至った、と。

日本の動きとは大違いですね。サーミ法(1987)もピックアップして紹介して下さいました。

第1条1項「本法の目的はノルウェーのサーミ民族がその言語、文化、生活様式を守り、さらに発展出来るようにすること」

第1条2項「この目的を達成するため、サーミ民族は選挙で選ばれた議員からなるサーミ議会を有することとする」

第1条5項「ノルウェー語とサーミ語は同等の地位が与えられる」

さらに、1997年10月、ハラルド5世国王は第3回サーミ議会の冒頭でサーミに対して過去にノルウェー統治下に苦しみを与えたことを謝罪。‘99年には、国際人権規約自由権規約(ここ)、同社会権規約(ここ)等をノルウェーの人権法に組み入れるなど、積極的な動きがあったとのこと。

(スウェーデン政策は遅々としているが、キリスト教会が頑張っているとも紹介があり、励まされました)

国際人権法、先住民族の権利に関する国連宣言などを使って先住民族アイヌの先住権をもっとすすめるべきだ、そのために市民が国を動かせるべきだ、と。さらに、日本政府を動かすには国際的な働きかけをし、日本を動かせるのがいい、と。たいへん、勉強になりました。

28日は、別講座「レイシズム(人種差別)を放置しないまちをつくろう」の第3回「アイヌ民族とヘイトスピーチ」の講演を聞きました。

講師の香山リカさん(精神科医・立教大学教授)は、みなさんもご存知の通り、月刊誌「創」で、小林おしのりとの対談が話題になっていました。また、ネット上のヘイトスピーチに対して積極的に発言を続けて来られていることでも感心していましたが、お話もとてもよかったです。

印象に残ったのは、身近の「学者」たちは、紙面では批判しあうが、面と向かっては言わない。行動をしない!ヘイトスピーチに対しても言わない、と。確かに、机に向かって現場に出ない学者さん、国の御用学者さんと、批判したくなる学者さん達がわたしの知っている中にもいます。

が、わたしの身近の「学者」さんは、たとえば北大開示文書研究会の榎森進さん、そして植木哲也さん。お二人とも必ず裁判には足を運び、会合も参加され、たいへん行動的で、かつ、主張もしっかりとされます。植木さんは7月の杵臼でのアイヌ遺骨再埋葬の際には駐車場係もして、労を惜しまず動いてくださっています。よく連絡を下さる遠方の教授も、常に国際的な視点で日本のアイヌ民族政策に批判的に発言し、多くを学ばせて頂いています。闘う「地理学者」もおられるし、市民とともに活動する文化人類学者もおられる。たいへん恵まれています。

 

風景は美しくていいんだけれど・・・

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