雨の国の王者

探偵小説好事家本人のためのノート

船山馨『青春の奇蹟』河出書房(河出新書)

2008-07-26 16:05:28 | 机上殺人現場
 これは、ちょっとした、拾いものだった。
 高校生たちを主な登場人物に据えた長篇小説だが、少しばかり抹香臭い。
 書誌を詳しくあたっていないのだが、初出は学習誌とみたが?
 それをのぞいては、わたくしは、とても面白く読んだ。
 とくに、<小沼庄太郎>という主人公のひとりの性格づけが興味ぶかい。
 探偵小説てき興味でいえば、船山馨=ハードボイルド、だけれども、<小沼庄太郎>の性格を突きつめていくと、それこそ日本の作家には描くことがむずかしい、非情の世界へ昇華することができる、といえるのではないか。
 結末は、もの悲しいが、平易なストーリイだけに、主人公たちの心のさけびは真摯に読者の胸をうつ。
 ジュヴナイルファンであれば、おさえておくべき小説であろうと、わたくしは思う。
 2008年7月26日(土)読了。

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