『自由の哲学』を読む ~日々の暮らしから~

日々の「?」から始めて一歩ずつ
自分で見て考えて、行動していきたい。
私の自由が人の自由にもつながりますように。

原発って…今ごろやっと少し理解。

2011年04月16日 | 考える日々
放射能の数字の意味や、ウランとプルトニウム、
原爆や東海村、チェルノブイリなどとの比較での規模感などなど、
自分が全然わからなかったことを、理解できました。

40年間、原発を止めようと闘い続けてきた京大の小出裕章さんの講演です。
他にもいろいろあるので、時間がある人はぜひ見ていただきたいのですが、
自分の覚書として、私が理解したことをメモしておきます。
参考にしたのは、以下の講演です。

■小出裕章さん『隠される原子力』
http://www.youtube.com/watch?v=4gFxKiOGSDk&feature=related

1時間50分もの動画ですが、講演まるごと収録されています。
私の知らなかった、原発についての基本的なことがわかりました。
科学者なんで、講演の中で根拠も示されます。

・「原発は発電時にCO2を出さない」はウソ~発電時以外にはCO2を出し続ける
・「原発はローコスト」はウソ~もっともコストの高い電力である(有価証券から計算)
・今日本にある原発の数=54基
・原発を即刻止めても日本の電力は真夏でも十分まかなえる

・数字の謎(1)放射能と急性死亡
 2シーベルト=死ぬ人が出始める
 4シーベルト=半数が死ぬ
 8シーベルト=ほぼ全員が死ぬ

・数字の謎(2)放射能と晩発性障害「ただちに影響が出るレベルではありません」
 1ミリシーベルト=日本人に許されている年間被ばく量(1万人に一人ガンで死ぬ)
 20ミリシーベルト=放射能の専門家に許されている年間被ばく量(500人に一人が~)
 100ミリシーベルト=緊急事態には専門家は1回でここまで浴びてもいい。
          (毛が抜ける、血液組成が変わるなど、急性放射線障害が出ない値)
 250ミリシーベルト=今、原発の対策に当たってる人に許された値
          (急性放射線障害もガマンしてください、という値)
 ※「被ばくリスクは低線量に至るまで直線的に存在し続け、
   しきい値はない」(BEIR-7の報告より)

・東海村の事故で燃えたウランの量=1mg(二人亡くなった)
 広島の原爆で~        =800g(町が壊滅した)
 日本の標準タイプの原発1基で~=1トン(1基で毎年作ってる×54基ある)
 東海村を1とすると、広島は800倍、原発(1基1年間)では10億倍

・原発推進派の取った対策
 1.電力会社を破局的事故から免責する法律を作った。
  (最高1200億円しか払わなくていい。それ以上は国会の審議を経て国が払う)
 2.事故の原因が巨大天災や社会動乱なら電力会社は責任を取らなくていい。
 3.都会には作らない(原子炉立地審査指針という法律)
 4.電力会社が原発を作れば作るほど資産に組み込まれ、儲かる仕組みを作った

・ウラン、プルトニウム、MOX燃料
 ウランは広島の原爆
 プルトニウムは長崎の原爆
 プルトニウムはウランの20万倍の生物学的危険性を持つ。
 MOXは、ウラン用に作った原子炉でプルトニウムを燃やすこと。
 ガソリン用の車に灯油を入れて燃やすのと同じく、
 灯油ストーブにガソリンを入れるのと同じく、大変危険なこと。

・広島原爆で燃えたウランは800グラム(これで町が壊滅した)
 VS 標準型の原発1基で生まれる死の灰は1トン/1年間

・つまり、原発を1基1年間動かせば、広島型原爆1000発分作ってしまうことになる。
 そしてそれは決してなくならない。無害化する方法を人類は持たないが、
 日本の原発で作った死の灰は、
 1966年にできた1号機から累積すると広島型原爆120万発分にもなる。
 今も、死の灰は刻一刻と生まれ続けている。

・核のゴミの問題は電気を使っている人一人ひとりの問題。
 それを弱い所に押しつけてどうするのか(←六ヶ所村の女性)

・原発の問題は、科学者の問題ではなく、
 一人ひとりがどういう社会にしたいのかを考えるところから始まるんです
 (↑小出さん)

この人、自転車通勤で、夏でもエアコン使わないそうです。
私の、便利で享楽的な生活。はぁ…。


ついでに、これも。
『戦争責任者の問題』伊丹万作(青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000231/files/43873_23111.html

戦争に負けた後、「騙されてた」とみんな言うが
「騙してた」という人はいなかった。
自分のこととして自分のアタマで「なんでかな」と考えた文章でした。
伊丹十三監督のお父さん。

今、この時代では「騙されてた」は通用しない。
「知る気がなかった」としか言えないな。
うう、、そうなんです。

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2 コメント

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ありがとうございます (hasutama)
2011-04-20 09:30:41
丁寧にまとめてくださっていて、とても勉強になります!

難しいことがいっぱいで、私の単純な頭では対応しきれないほどです オキツさんのような方がいてくださること、とても心強く感じます

ただ、社会の仕組みの全てを疑っていかなければならないとしたら、心の負担が大きくて健康も害してしまいそう・・と感じています

身近なものたちと幸福な時間を過ごすことから、また明日も頑張ろうと思えるような、シンプルな生活の持っている力を大切にしたいですね

シュタイナーの言ったことが、このような時代の中でどのように生かせるのか?と考えてみるのですが、やはり「知ることの細道」の上で、精神の「自由」を確立しているなら、そこから見えてくる景色は、未来にとって役に立つものになるのではないかと確信します
(なかなかその基本条件さえクリアできない私ですが・・)

小さな一歩を、丁寧に進みたいですね
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もうちょっと (オキツ)
2011-05-05 07:14:12
社会の枠組みを知ったり、現状を少し知ったりするだけで、
あまりのスケールの大きさ・根の深さに
もう、すっかりゲンナリしています。

でも、アレです。
「むなしくなることと、人や自分を責めたくなること」を、なるべく意識して慎もうかなと。

だって、こんなに(黄砂に覆われつつも)穏やかな晴れた日、
毎日、一日中公園や山で子どもと遊びまわっているゴールデンウィーク。
そんな時には、その他の心配事やら何やらはすっかり忘れています。
楽しさや気持ちよさをめいっぱい感じて、エネルギーフル充電!!

それで、一人の時間に「さて、見てみようかな」という感じの向き合い方です。

というわけで、もうちょっと補足。

■プルサーマルについて
元々ウラン燃料を前提とした軽水炉でプルトニウムを(一部)燃やすこともあり、経済的な課題のほか、技術的に見て課題点が多い。

■MOX燃料について
放射能が高い
燃料温度が高くなりやすい
燃料棒内の圧力が高くなる
性質の違うウランとプルトニウムを均一に混ぜる必要があるが、使用するペレット自体を検査して確認することはできない。

と、WIKIに淡々と書いてありました。


ついでに、なんでそんな危ないことわざわざしたくなるんだろうと思えば、
MOX燃料については、
「資源は有限です。使えるものは使いましょう」と、どこかの電力会社のHPに書いてあって、思わず自然に優しいのかと思ってしまいました。「限りある資源のリサイクルのために」なんて言葉に包まれてて、その実際と言葉とのギャップに眩暈がしそうです。

「資源は有限なんで、自動車に灯油入れて走ります!お代は後からで結構です。何が起こるかはお楽しみ。生きてる間に何もなければおなぐさみ~」とか、「石油がないので、松の油で特攻隊飛ばします。国民のみなさんも何も考えず、一緒に大空を羽ばたきましょう!」という感じでしょうか。

あ、いかんいかん。人ごととして責めている。自分も無関心だった責任があるのに。

■日本の原発54基で、1年間で広島型原発6万発分を作り続けてる。
日本の市町村の数っていくつあるんだろう??
…たった1724だそうよ。平成の大合併前でも3447市町村。
年に6万発分っていうと、単純に日本が20回壊滅するくらい? 
無毒化する方法を人類は持ってないんだよね?

■1シーベルト=1000ミリシーベルト。
死ぬ人が出始めるのが2シーベルト。
250ミリシーベルトって、その8分の1…。
誰が向き合ってくださっているのでしょうか。
臨時に雇われた社会的に弱い方じゃないことを、本当に本当に本当に祈ります。
原発を知ろうとしなかった自分の責任も含めて。

原発以外にもいっぱいこういう「知ろうとしなかった責任」ってあるし、
だからって、全部は考えられないし、
やっぱり、自分が本当に興味のあることをきちんとやることが大事だと思う。
で、今に至り、結果、「知ろうとしなかった責任」を感じ…と、堂々巡り。
知ろうとしなかった責任でこんなことになってるんだから、
自分が結果を引き受けないといけないのに、
あの地域の人たちだけが結果を押しつけられているのがムズムズを増幅している。

どうしたらいいのかなぁ。
目の前に出てきた問題には、少しだけ関心を持つ、ということをプラスしようかな。
そのためにも、自分のキャパを広げなきゃ。
具体的には、「自由」になりゆく中で、見る力、考える力を育てるということでしょうか。

こういうのを知ろうとする時も、
同じ立場(反対派)のサイトばっかり見てしまって、
推進派の理由を知ろうとしてない。
それって、自由なふるまいとは言えないなぁ。
本当に考えるということにはなってませんよね。

原発を止めて、エネルギーがホントに大丈夫なのかどうかもきちんと調べてないし、
「一人ひとりがどういう社会にしたいのか考えるところから始まる」という小出さんの言葉、

これもまた、「そうだよな」と棚上げしそうになってました。
どんな社会にしたいのかなぁ?
社会と言われても大き過ぎて捕まえられないけど、自分の手の届く半径くらいで。
今夜、考えながら寝てみます(寝ながら考えてみます、かな?)
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