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スピルバーグと映画大好き人間、この指とまれ!

カフェには、映画が抜群に良く似合います。
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「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」

2008-02-17 05:54:15 | わたしのスピルバーグ監督作品感想集!

「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」(1984

 

 主演にハリソン・フォード、ケイト・キャプショー、キィ・フォイ・クワン。インディ・ジョーンズシリーズ中の異色作。1作目と3作目が、正統派冒険考古学映画とするとこの2作目は、大いに羽目をはずした作風になっている。

 原案は、ルーカス。脚本は、「アメリカン・グラフィティ」の脚色者であるウィラード・ハイクとグロリア・カッツ。撮影は、前作同様のダグラス・スローカムが担当。美術は、エリオット・スコットがあたっている。彼は、イギリスMGMの美術チーフで、初期のヒッコック作品やジョン・フォードの「モガンボ」、ミュージカル作品など数々のセットデザインを担当している人。この人をスピルバーグが起用した理由は、ヒッチコックとジョン・フォードを尊敬しており、また、本作の冒頭にミュージカル場面を用意したためであろう。

 特殊効果には、「E.T」でオスカーを受賞したデニス・ミューレン。彼は、「スター・ウォーズ」と「未知との遭遇」の特撮も担当している。そして、ジョージ・ギブス。この人は、何と「サンダーバード」で特撮を担当しておりびっくり。私が小さい頃に夢中になって見たあの「サンダーバード」の面白さの理由のひとつにこの人の技術力があったのだ。また、彼は、「スーパーマン」やルーカスが夢中になって子供時代に見たテレビシリーズ「フラッシュ・ゴードン」の映画版の特撮も担当しているすごい人物である。

 邪教集団支配の大国で奴隷化した子どもたちをインディ、歌姫ウィリー、カンフーが得意でニューヨークヤンキースの帽子が良く似合う少年ショート達が救出する話。邪教王国の王者で僧侶であるモラ・ラムが、少年王子をマインド・コントロールして世界制覇を企む。その手段として聖なる石、5個のうち未発掘の2個を地下の洞窟から採取するために子どもたちを働かせている。

 上海のクラブ、オビ・ワン(もちろんこの映画のプロデューサであるルーカスが「スター・ウォーズ」で生み出したキャラクターに因んでいる )で始まるファーストシーンがまず目を引く。この映画は、パラマウント映画であるがその映画会社のロゴ付の銅鑼を叩く。すると、ケイト・キャプショー演ずるクラブ歌手ウィリーのアップ。タイトルが出る。バックには「エニシング・ゴーズ」の音楽が流れる。1930年代のワーナー映画のミュージカル振付師レスリー・バークレイのようなシーンがすごい。スモークを炊いての撮影、何人もの美女が現れ長い脚を利用してのダンスショー。その脚線美をカメラが追うカメラワークが見事。

 パンコット宮殿内にある洞窟の中が恐ろしい。超自然現象・オカルトの世界が展開しているのだ。インディらが子どもたちの居場所がその洞窟であることをつきとめる。しかし、ラムにウィリーとショートが捕まり、とうとうインディも囚われの身となる。巨大なカーリーの神像があり群衆が集い残酷な生贄の儀式が行われていた。バックに流れるウィリアムズの音楽が不気味。モラを演じるアムリッシェ・プリの顔の表情は、クローズアップ、ズームイン・アウトを効果的に使って怖い。モラが素手で生贄の男の心臓を掴み出す。男はかごの中に入れられ溶岩の中に降ろされてゆく。男の泣き叫ぶ声と共にモラが手に持っている動く心臓が炎を発して燃える。カーリーの像の下には、サンカラの石が3個輝いていた。

 この作品でもスピルバーグ映画の特徴であるキーワードのひとつ「コミュニケーション」がインディたちの運命を左右することになる。モラは、インディに仲間に加わるように生贄の血を飲ます。一方でウィリーの儀式が始まりかけている。ウィリーは、溶岩の穴へ落ちてゆく。ウィリーが危ない。ショートがインディに近つ゛くと、インディは彼をはねとばした。友人と思っていたショートは涙ぐむ。インディは悪の呪いにかかってしまったのだ。それを救ったのはショートである。炎が燃えさかっている松明に木の棒を近つ゛けて火をつけ、その木の棒をインディの顔の前まで持ってゆき「インディ、目を覚ましてよ!好きだよ!」と言うとインディが正気に返りいつもの頼もしく強いヒーロー、インディ・ジョーンズになる。ショートの一言でインディらがハッピーエンドになるきっかけをつくり胸を打つ感動的なシーンだ。

 そして、何と言ってもこの映画の最大の見せ場であるパンコット宮殿の洞窟内で繰り広げられるトロッコ・チェイスシーンが凄い。洞窟からトロッコを使って脱出するインディら。インディ、ウィリー、ショートを乗せたトロッコは、猛スピードでトンネルの中を爆走する。モラが徴兵をトロッコに乗せてインディらを追跡させる。後ろから銃を撃つ徴兵のトロッコが迫る。インディは、枕木を線路に投げたり、土砂を落としたりして車線を変更したりと必死で逃げる。 なかでも同時並行して走るトロッコを介してのアクション・特撮は目を見張るものがある。インディの乗っているトロッコに徴兵が乗り込んできてインディと素手で格闘するシーンがカッコイイ。線路が切れて段差がある。ジャンプ。インディのトロッコは、レールの上に乗った。徴兵のトロッコは、着地に失敗して大破し溶岩の餌食となる。これらの迫力ある映像は、スピルバーグ自身がセットの中を専用の台車にカメラを付けて乗り込んで、彼お得意の横移動撮影の演出の賜物。スピード感を出す為にコマを落とす。それに加えてデニス・ミューランのミニチュアの人形・トロッコを使ってのストップモーション撮影の功績が大きい。

 余談になるが、つり橋のシーンの撮影は、スリランカで行われたがそこではかつてスピルバーグが敬愛するデビッド・リーン監督の「戦場にかける橋」が撮影された。

 エンターティメント色の濃い映画ジャンルのスピルバーグの多才な演出が堪能できる作品。



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