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【ゲームクエスト】-U- アンダーウォーターユニット

2010-09-28 20:33:25 | ゲームクエスト
-U- アンダーウォーターユニット(プレイステーション2)

2005年11月29日掲載

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 とんでもない大間違いです!
「○○の世界観、キャラクター、ストーリーが素晴らしい…」なんて、大間違いにもほどがあります!

 問題は、「世界観」です。世界観はゲームシステムから自然と成立するものです。または逆に、ゲームに合理性を与え、ゲーム性を豊かにするために構築されるものです。つまり、世界観は”ゲームの前提”です。キャラクターやストーリーのような”ドラマの仕掛け”とは根本的に異なるものです。したがって、それらと同列に世界観を語るのが大間違いなのです。むしろ、世界観がゲームシステムと切り離して語られるならば、もはやゲームである必然性はありません。

 かのゼビウスの世界観を記した小説には、特定の人物も登場しないし、ドラマもありません。事件が淡々とつづられているだけです。そして、これをもとに敵の種類や動作を考案したのです。したがって、ゼビウスの世界観はゲーム性に直結していたのです。だからこそゼビウスには説得力があり、小説を知らなくても楽しめるのです。

 さて、アイレムお得意の潜水艦シューティングである「-U- アンダーウォーターユニット」の世界観はどうでしょう。

 地殻変動で陸地の大部分が水没したという設定によって、ゲームの舞台が海中および海面に限られた潜水艦ゲームであることを決定づけます。それと同時に、水の抵抗と潜水艦の重量を感じさせる操作感が肝となります。地殻変動のあった地形や水没した都市、浮上した遺跡などの設定によって、複雑で多彩なステージでの戦闘が楽しめます。プレイヤーは傭兵という設定で戦いに参加しますが、これによってゲーム本編に無関係なキャラクターや人間ドラマを排除し、潜水艦操作にプレイヤーを集中させます。実際にゲーム中には人間の姿は全く描かれず、通信で音声が入るのみです。また、傭兵であるからお金を稼ぐことも目的になり、買い物によるパワーアップという楽しみを提供します。超古代文明の存在は、そのオーバーテクノロジーで開発された兵器の爽快感、物品の発掘によるコレクション性、守護者と呼ばれる巨大な敵の多彩な攻撃、といった様々な手応えに関わってきます。

 世界観の全ての要素がゲームシステムへと収束していくようです。もちろん無味乾燥なゲームではなく、プレイ中にちょっとした演出もあります。壮大な世界をこれ見よがしにムービーで見せびらかさなくても、ワンポイントの演出だけで歴史、風土、生活といったものを感じさせます。これもゲームに徹したからこそ生きてくるものです。

 とてもゲームらしいゲームです。過剰な演出をせず、奇をてらわず、世間に媚びず、だからといって敷居が高くもありません。現在これほど純なゲームは少ないでしょう。そのゲームシステムと世界観には一点の曇りもありません!

 ……すいません、一点だけ曇りがありました。それは、潜水艦に施す「ひよこペイント」でした。ぴよぴよ。


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