大前研一のニュースのポイント

世界的な経営コンサルティング 大前研一氏が日本と世界のニュースを解説します。

小沢幹事長の目的は、自民党からの利権を奪うこと、ただそれだけ

2010年01月19日 | ニュースの視点
民主党の小沢一郎幹事長が陳情の扱いや予算の重点要望の主導権を一手に握ったことで、これまで自民党を支持してきた業界団体の動揺が広がっている。

民主党は今夏の参院選での各団体の民主党への距離感を基に、団体からの要望へ露骨に差をつけ、自民党寄りとみなされた団体には予算を削減したり、関係閣僚との接触を認めていない。

全国土地改良事業団体連合会の野中広務会長は21日、自民党本部で記者団に「予算の確保を最優先する。1議席よりも農民の生活が大事だ」と、今夏の参院選で自民党から組織内候補を擁立する従来の方針を見直す考えを示した。

小沢幹事長の一連の行動は、これまで自民党が独占してきたあらゆる利権を全て民主党に移してしまうという、ただこの1点にのみ目的がある。

利権の多くは田中角栄元首相が作り上げ、脈々と自民党に受け継がれてきたもの。民主党として小沢幹事長は、この状況を揺さぶりにかかっているのだ。

昨年12月、小沢幹事長が民主党の議員約140人を含む、総勢約600人を率いて中国を訪問したのも、中国利権を根こそぎ自民党から引き剥がしにかかっている顕著な例だ。

また普天間基地や辺野古基地などは米国の利権が絡んでいるが、こちらはしばらく寝かしつけておいて一度話を白紙に戻す方が得策だと小沢幹事長は考えているかも知れない。

これまで利権に関係してきた自民党議員の人たちとの関係を一度反古にしてゼロに戻してしまえば、新たに民主党議員主体で利権関係者をまとめていくことは容易だからだ。

中国利権・台湾利権・北朝鮮利権といったアジアの利権、そして米国利権。

これらの利権を自民党から民主党に移すことで民主党による長期政権が可能だと小沢幹事長は考えているのだろう。

こうした小沢幹事長の動きを見ていると、つくづく田中角栄元首相の染色体が入っている人なのだと感じる。

そういう目で見れば、小沢幹事長の行動は非常にわかりやすい。

自民党の利権を根絶する、それが難しいなら予算の理由で案そのものをつぶしてしまう、という単純なことを徹底的に繰り返しているだけだ。

小沢査定には当然のことながら相当な「意図」が含まれている。

業界団体にしても民主党に従わない限りは予算もつかないし、陳情も受け付けないという話になることは間違いだろう。

今、参議院選挙を前にして自民党の参議院議員が次々と離党を表明している。

参議院議員の中には業界団体の代表を務める人も多い。このままの状況だと「やっていけない」というのが本音だろう。

小沢幹事長とはこういう行動原理に基づく人なのだと認識するべきだろう。

私に言わせれば、民主党の幹事長という立場にあるにも関わらず、小沢幹事長は日本という国の将来像などは全く考えていない人だと思う。

自民党による安定政権が長期間継続できたのは、日本的な利権構造を抑えたからであり、それこそが重要なのだ、これが小沢幹事長の価値観だ。

田中角栄元首相は、そういう意味で天才的な人だった。

民主党としては、こうした旧来的な価値観を持つ人間を幹事長という重要な役割を担わせることについて、今一度再考してもらいたいと思う。

29 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
頂点は長く続かないような・・ (longhao)
2010-01-19 16:37:29
勝手な解釈ですが、自民党時代に若くして幹事長を経験した。その時は、先輩議員が多く、党を独占することは出来なかったはず。どこでどうなったか、現在は民主党の幹事長である。当然民主党には代表、副代表がいる。しかしながら、自民党とは違うと思っていた代表、副代表をしり目に、自らの支援者を党内で着々と築いていったのが小沢幹事長である。選挙の天才?として周りが裏神輿(今は完全に表の神輿である)として担ぎあげたが、政治家としてではなく、自分のやりたいことをしているだけである。党大会、マスコミへの対応を見ても、彼を擁護しているだけで、与党としての対応ではない。個人的に官僚政治は弊害が多いと思うが、政権素人に表だって官僚批判を続けた結果、今は官僚の造反を招き、今回の事態となったと思う。中国ツアーは派手に行うのに、今回の地震に対する対応の遅さ、海上給油は最後まで行っても、地震の支援は、のらりくらり、せめてアメリカの強硬姿勢に対して「のらりくらり」というような図太さもある意味必要であろう。
小沢民主党と言うか、民主党の小沢幹事長の権力も今がピークであると思うし、願っている。
Unknown (Unknown)
2010-01-19 21:11:13
自民支持なのですが、党派関係無しのCIAによる米国債購入拒否派引きずり降ろし工作は本当なのでしょうか?
Unknown (Unknown)
2010-01-19 21:31:39
小沢も田中角栄も中国に近づくと失脚する?
郵貯マネーまで米国債に廻されるのは勘弁して欲しいなぁ。しかもその金でやるグリーンニューディールはバイアメリカン…んなアホな。
米の陰謀かどうか分からないけど第7艦隊発言といい小沢は米の目障りなのは事実でしょう。
前回衆議院選挙の総括 (Unknown)
2010-01-20 11:27:00
いつも楽しく拝読させていただいています。

前回の衆議院選挙で民主党が大勝しましたが、そのことについて大前さんに総括していただけないでしょうか?
自民投票総数、民主投票総数、の比較から小選挙区の問題点。何故議席がここまで大きく躍進したのか、そのことと民主党の政策との因果関係などを評論していただきたくお願いします。
Unknown (Unknown)
2010-01-20 16:04:03
アメリカの逆鱗にふれたってことでしょう。

ということは 検察=CIA ?

まったくだ (ks)
2010-01-20 17:52:09
アメリカの陰謀?w


そんな話しよりも、日本という国家をどの方向へ向かわせて行こうと考えていない現政権…

小沢さんの頭の中は、選挙に勝つことと、利権のみ!

まったくもって大前さんの言う通り。


いまの自民党もクソだけど、民主党はもっとクソ!!
目くそ鼻くそを笑う構図なり!

政党の名前が変わろがどうでもよいから、早くガラガラポン♪で、少なくとも右・左(寄り含む)が見える政界再編をしてほしい!!


小沢さんのカネの問題が大きく取り上げられた途端にトーンダウンする町村・小泉Jr.…

社民党も新社会党も公明党も要らん!
民主党は狂っている。 (ビキ)
2010-01-21 14:27:22
自民党は腐っていますが、民主党は狂っています。

しかも、根本的に何が狂っているのか…?
国民の大部分は気付いていません。
と言うより、マスメディアの偏向報道により気付かされていません。

大前さんが今回、自民党の支持団体を小沢幹事長が切り崩している事実を取り上げていらっしゃるので、このブログをご覧の識者の方々にお聞きしたいのですが…。
民主党の主な支持団体をご存知でしょうか?

彼らの支持団体は、韓国民団や朝鮮総連。
公務員の左傾組合の自治労。それと、日本の教育界に巣くろう日教組です。

小沢も鳩山も、わざわざ訪韓や訪中してまで約束した、「在日外国人地方参政権付与法案」の立法化を、今開かれている国会で通過させようとしています。
詳細は、大前さんのブログなので割愛しますが、
民主党の連中が早く成立させたいのは、補正予算や経済対策法案ではなく、この「在日外国人地方参政権付与法案」です。
もし、こんな法案が通過すれば、沖縄県に代表される離島や、山陰地方の県や市は、特定在日外国人の自治体となる危機に陥ります。
近い将来、日本で道州制が進めば、その州全体が日本人の自治体ではなく、特定外国人の自治体となる危険性を孕んでいます。
国家として最も大切な主権に関わる一大事が、国民の知らないところで通過しようとしている…。

支持団体とは、言わばスポンサーです。
スポンサーの言うとおりをやらないと、資金が回らなくなる…。
本当に民主党は、日本の政党なのか?…と、皆さんは思われませんか?
彼らは、日本人の主権が脅かされようと、デフレ経済で国民が疲弊していようと、友愛という言葉で国民を欺き、自分たちの利権確保に奔走する連中です。
そのトップが小沢という男。
東京地検特捜部が1分でも早く、この男を確保することを期待してます。
同感です! (TY)
2010-01-22 01:59:51
私もおっしゃる通りだと思います。
小沢氏は田中氏と同じことをやっていると感じていました。最も古い時代の自民党を自らの手で再現している。
小沢氏の頭の中は自分の力を誇示することでいっぱいで(俺は偉いんだぞと言っているガキ大将みたい。でも、ガキ大将の方が仲間のために動くこともあり立派では?)、国の将来も国民の幸せもないと思います。
民主党の中からきちんと日本の将来を考える人が出てきてほしい。
提案!! (KS)
2010-01-22 05:31:48
国家議員に立候補するには!!

せめて!政策秘書になる為の国家資格と同等の資格試験に合格した人に限定するのはどうでしょうか?


テレビ受けする人物やタレント、国会議員二世・三世と言うだけで立候補され議員当選しても、立法はおろか、予算編成すらまともに行えない議員が多すぎです。

選ぶ方にも多々問題ありますが、知名度だけで当選する中身の無い人物が減ると思うんですが、どうですかねぇ?大前さん。
初心に帰って (マドモアゼル)
2010-01-22 07:45:13
かつて官僚を目指していた自分は、真剣にこの国を憂いていました。官僚を目指す人はみんなそうだと思います。しかし長く仕事していると初心は忘れ、自分の利益や省益ばかりを追求する今の官僚のようになってしまいます。手段が目的化してしまうんですね…。
翻って小沢さんも同じように見えます。
今の小沢さんは、本まで書いて理想に燃えていた若き日の小沢一朗ではなく、権力に魅入られ、党益を追求する政治家…。
僕は権力者ではないですが権力って麻薬のようなものなんですね。
権力者にとって一番大切なのは謙虚さだ、とはパウエル前米国務長官の言葉。彼はイラク戦争に反対し結果、政権を去りましたが…。
権力を持ちながら、まともな判断をするのって難しいんでしょうね~。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。