大前研一のニュースのポイント

世界的な経営コンサルティング 大前研一氏が日本と世界のニュースを解説します。

尖閣諸島については、中国との間に密約が存在する/沖縄県の「軍政」は未だに米軍に帰属しているという事実

2012年08月15日 | ニュースの視点
 沖縄県石垣市の尖閣諸島・魚釣島に15日、香港の活動家らが上陸し、
 沖縄県警と海上保安本部は不法入国、不法上陸の疑いで14人全員を
 現行犯逮捕した。

 17日の午後には全員が強制送還された。
 
 また19日には日本人10人が上陸。
 周辺の海域で洋上慰霊祭を行なっていた団体のメンバーと見られている。

 政府の許可を得られていなかったことから、県警や海上保安庁が
 対応を検討しているとのことである。

 香港の活動家なる人物たちが、海上保安庁の目をかいくぐり、
 どうして上陸することができたのか?海上保安庁は防ぐことが出来なかったのか?
 という点は、ニュースを見ているだけでは釈然としない。

 おそらく香港の活動家の背後には、どこぞのお偉いさんがいて
 お金を出しているのではないかと私は想像している。

 日本政府の対応について、日本国民の中には「対応が甘い」
 「裁判にかけるべき」といった怒りの声もあるようだが、
 私は今回の政府の対応は正解だと思う。

 正確に言えば、この方法を取るしかないということである。


 尖閣諸島の最も大きな問題は、かつて自民党が中国と「密約」を結んでおり、
 それを国民はもちろん、民主党の議員さえも知らされていなかった
 という点にあります。その密約の内容は以下の様なものだと言われている。

 ・中国は、実効支配の原則から尖閣諸島を日本領土として認める
 ・しかし一方で、中国も国内法では領土権を主張する

 以前、事情を知らない民主党の三輪氏が「国内法」として領土主張した際には、
 中国から「その点は妥協できない」と大きな反発があったが、
 当然のことなのである。

 活動家が尖閣諸島に上陸した際には、日本で裁判にかけるのではなく、
 逮捕して中国側に送り返すというのが、「密約」に従えば「正解」である。

 ゆえに、今回は中国政府も公式には大きく騒ぎ立てるようなことを
 していないのだ。

 かつて私は日経BPに『「尖閣問題」の歴史を知らない民主党の罪』
 という記事を書いたが、まさにこのタイトルに問題の本質が
 凝縮されていると思う。

 尖閣諸島問題と本質的に全く同じ問題を抱えているのが「オスプレイ」問題である。

 米海兵隊のエイモス司令官は16日、新型輸送機MV22オスプレイに関する
 声明を出し、安全性を強調した上で、米国にとって日米安保条約の防衛義務を
 果たすために沖縄県宜野湾市の普天間飛行場にオスプレイを配備することは
 「死活的に重要だ」と訴えた。

 日本国民、特に沖縄県民の中にはオスプレイの配備に反対する人も
 多いと思いますが、実は「オスプレイは日本から要求して然るべきものであり、
 拒否するというのは考えられないもの」なのである。

 というのは、日本政府と米軍の間には日本国民には知らされていない
 「沖縄返還の条件」があり、オスプレイの配備など「軍政」に関することは
 米軍の意向に従うのが約束だからである。

 『「民政」的には沖縄を返還するが、「軍政」的には現状(米軍)のまま』
 というのが、沖縄返還の条件だったのだ。

 沖縄返還を実現したのは当時の自民党ですが、表では沖縄返還という大きな
 成果を発表しながら、裏では「軍政」は米軍のままという条件を
 日本国民に隠したのである。

 米軍が沖縄を「軍政」的には占領当時のまま利用するのは、この点から言えば、
 当然のことである。

 ベトナム戦争でも湾岸戦争でも、日本の国防に関係ない争いでも
 沖縄を利用したが、これも当たり前のことだと言える。
 それが約束なのだ。

 沖縄県知事がオスプレイの安全性について米軍に問い質したということだが、
 私に言わせれば、沖縄県知事ともあろう人が事情を知らずに
 何を言っているのかと思う。

 日本政府(国)が合意しているのですから、沖縄県知事にも「軍政」の
 権限はないのだ。

 実は、このようなことは北方領土の問題にも当てはまる。

 かつて裏の事情を知らなかった前原氏に私が資料を見せて説明したところ、
 率直に驚いていた。

 結局、かつての自民党が国民に隠しながら裏で合意した内容があり、
 それらを知った上で外交に臨まなければ絶対に上手くいかないのだ。

 北方領土に関して言えば、森喜朗元首相は歴史的な事情も知っていますし、
 その理解は非常に正確である。

 ロシアとの外交問題は、森氏に任せるのが正解だと思う。

 残念ながら、民主党には歴史的な事情を理解している人も少ないですし、
 外交センスもない。

 尖閣諸島、沖縄、北方領土のいずれの問題にしても、民主党は自民党の力を
 借りなければまともに外交政策を進められないと私は思う。

9 コメント

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これは・・・ (Unknown)
2012-08-27 14:02:08
このブログは大前研一ライブで氏が話したことをゴーストライターが文字に書き起こしたものだと思うが、
今回ばかりはちょっとひどすぎる。

文章の拙さは置いておくにしても、主張の主たる論拠が大前氏の言っていることと違っているのでは?

「沖縄はオスプレイに文句は言えない、なぜなら軍政に口を出さないのが密約だから」というのは、確かにそれについても言及していたが、それより前に「尖閣を含めた日本がかかわる問題について、オスプレイがNOならどんな対案があるのか?それを考えずにNOと言っても、自分たちの首が締まるだけ」という趣旨の話をしていたように思う。

密約の話をここで開陳して何になるのか。

忙しい中寝ぼけ眼で書き起こしたというのは文面からでもよくわかるが、
このブログの作成者は、このブログを使って何がしたいのか?今一度問うて欲しい。
返信する
Unknown ( )
2012-08-27 18:34:05
確かに。推測に過ぎない”密約”に従ってこれが最善の対応と議論するのは論拠が弱すぎますよね。

どうしちゃったんでしょうか?
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Unknown (Unknown)
2012-08-28 09:54:11
密約ってほどのこともないだろ。
尖閣を棚上げしたのは事実だし、これまでどおりに対応すればいいだけの話なのだが、仙谷、前原がバカだからこじれちゃったのだよ。しかし、外務省もちゃんと説明したのかね。

沖縄に関しては、日米安保を一回やめればいいだけの話。
返信する
Unknown (Unknown)
2012-08-28 09:59:26
北方領土については、国後択捉までは、サンフランシスコ条約によって連合軍に差し出したのだから、ソ連領で仕方がない。歯舞色丹が実効支配状態であるが、話し合いで返還可能だ。

四島返還要求が間違っているのだ。
これは日露関係を改善させないためのアメリカの謀略であり、民主党政府もそれに従っている。前原野田仙谷はアメポチだからだ。

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Unknown (不動産ブローカー)
2012-08-31 02:41:44
 根本的に言える事は、3つの領土問題でどのような決着を見ようが消費者のレベルでは大きな問題にはならないと言うこと。
 尖閣では日本の実効支配がさらに強まったと思う。警察が上陸して逮捕したわけだから、同じ事を竹島でやったら国交断絶や軍事衝突もあるはず。逮捕に関しては本人すら民事訴訟を起こさないので日本に逮捕権ありと認めたことになる。中国国内では云々と言っても国際世論としては通用しない。

 オスプレイに関しては日本は上手い戦術だと思う。インパール作戦みたいに出鱈目なのは誰かが止めるだろうと思って誰も止めなかった。オスプレイのような欠陥機インパール作戦と一緒だ。
 
 北方4島に関しては上記Unknown 氏と同意見。
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Unknown (Unknown)
2012-09-03 18:27:53
>ロシアとの外交問題は、森氏に任せるのが正解だと思う。

馬鹿なことをいうな。
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Unknown (Unknown)
2012-09-12 12:15:33
大前は自民党清和会と近いな。
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Unknown (Unknown)
2012-10-05 19:49:04
密約が仮にあったとしても、それは密約にすぎず
米国も民意の同意を得ていない、ばれたり政権交代されればひっくり返るものと認識しているはずだと思いますが。そのうえで交渉を進めるだけでしょう?
またこの密約はいわゆる国民に対する背任行為であれこれをあからさまに正当化して永続的な絶対的な決まり事と前提化し民主党(民主党もやり方稚拙ですが)をこきおろしあまつさえ背任した自民党じゃないとできないって、、、全く筋が通っていないし説得感もロジックもおかしい文章だと思います。
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Unknown (Unknown)
2012-10-20 03:22:31
こんなこと言ってるから大前が世話焼いた橋下維新は支持率低迷するんだよ。選挙に弱い疫病神だ。
というかアメリカの回し者だろ、もともと。
だから沖縄県民の怒りを買ってまでこんなことを言う。
森喜朗の話にしても完全に外しているよ。もういい加減な評論活動はやめたらどうだ。
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