東京電力福島第一原発事故を検証する国会事故調査委員会は5日、最終報告書を決定し、衆参両院議長に提出した。東電や規制当局が地震、津波対策を先送りしたことを「事故の根源的原因」と指摘し、「自然災害でなく人災」と断定したとのことだ。
私も昨年10月「福島第一原発事故から何を学ぶか」というレポートを公表し、天災ではなく「人災」であったと結論づけたが、今回の国会事故調査委員会の報告書には全く同意できない。
私は事故当時の原子炉の状況についてもできる限り詳細に調査し、その上で「交流電源の長期的な損失を前提にしていなくていい」という原子力安全委員会の姿勢そのものに問題があったと指摘した。
しかし、今回の国会事故調査委員会は「原子炉」の分析は行なっていない。原子炉内部に入れなかったため、1000人から「聞き取り調査」をしたとのことだが、それでは3面記事と同じレベルで全くお話にならない。
結局、原子炉の分析をおろそかにして、「表で人々が何をやっているのか?」という部分にだけ注目して無理やり結論を出している、と私は感じる。今回の最終報告書では「外部電源」については全く指摘がなかった。もし彼らの最終報告書に記載されている内容を全てカバーできていても、「外部電源」の問題が発生していたら全く同じように事故は発生することになると思う。
国会事故調査委員会・委員長の黒川氏曰く、今回の事故は「規制当局と業界の力関係が逆転してしまった、日本特有の“メイドインジャパン”の事故である」とのことだが、これも的を射ていない。規制当局が業界の圧力に屈するという現象は、むしろ日本よりも欧米のほうが多く見られる。リーマン・ショックを引き起こした米国の金融業界など典型的な事例だ。黒川氏は「日本人は全員反省するべきだ」と主張していたが、単に黒川氏が海外の事情に無知なだけで、全くの見当違いだと言わざるを得ないだろう。
そして、今回の国会事故調査委員会の報告書に関してもう1つ指摘しておきたいのは、そもそも報告書の「目的」は何なのか?を明確にして欲しいということだ。今回の報告書を読んだところで、安全になるとも思えないし、「人災だ!」と言われても、現実的に「何をすればいいのか?」という点が全く伝わってこない。
厳しい言い方をすれば、ほとんど「余計なお世話」に過ぎない報告だったと思う。これから政府「事故調査・検証委員会」による発表が予定されているが、国会事故調査委員会とは違って、どのような発表をしてくれるのか期待したいと思う。
経済産業省の電力システム改革専門委員会は13日、改革の基本方針を決めた。電力会社が一体で手がけている発電と送配電の事業を分ける「発送電分離」では2つの方式を示し、導入に反対してきた電力業界も容認に転じたとのこと。
電力の小売りは家庭向けを含めて全面自由化し、料金規制も撤廃して消費者の選択肢を広げる狙いということだが、これでは上手くいかないだろう。電力会社9社が資産を持ち寄って高圧送電網を作り、そこが一括して買い上げるという仕掛けにするべきだと思う。
話題の「再生可能エネルギー」の取り扱いについて、もう少し深く議論してからレポートをまとめて欲しかったと感じる。
例えば、次のような問題が容易に想像できる。
・完全に自由化すると再生可能エネルギーの買取価格が高くなるので、消費者にとってメリットはなく、敢えて利用するという人は極めて少なくなる。
・夜間電力を安くする(通常価格の4分の1程度)方法も、原子力発電がなくては実現できない。
・ゆえに、夜間に充電する電気自動車も実現できないということになる。
・だからと言って、火力発電で炭酸ガスを排出しながら電気を作り、それを電気自動車に利用して「クリーンエネルギー」などと言えば、おかしな話になる。
またすでに表面化している問題としては、「自然エネルギーの固定価格買い取り制度」が挙げられる。この制度では電力会社が買い取る予定の風力発電が買い取り枠の7割に達し、しばらくして埋まってしまうことがわかったそうだ。
安易に買取価格を20年間も保証してしまったため、収拾がつかなくなった状態だ。消費税増税であれだけもめたのに、「20年間の固定買取価格」という「大きな決断」にも関わらず、こちらについてはあっさりと決まってしまった。
政府は2020年~2030年にかけて、再生可能エネルギーによる発電を全体の20%にというスローガンを掲げているが、これは相当厳しい条件だ。というのは、風力発電・太陽光発電は稼働率が約20%程度しかないからだ。日本全体の発電量の20%をカバーするためには、設備としては「日本全体の発電量100%」に相当するものが必要となってしまう。
「固定価格買い取り制度」によって、盆と正月が一緒に来たように業界は賑わっている。しかし、明らかに20年固定価格の買取という条件は過剰であり、筋が良くない業者も暗躍しつつある。私はこれが日本経済を歪める結果になるのではないかと危惧している。
私も昨年10月「福島第一原発事故から何を学ぶか」というレポートを公表し、天災ではなく「人災」であったと結論づけたが、今回の国会事故調査委員会の報告書には全く同意できない。
私は事故当時の原子炉の状況についてもできる限り詳細に調査し、その上で「交流電源の長期的な損失を前提にしていなくていい」という原子力安全委員会の姿勢そのものに問題があったと指摘した。
しかし、今回の国会事故調査委員会は「原子炉」の分析は行なっていない。原子炉内部に入れなかったため、1000人から「聞き取り調査」をしたとのことだが、それでは3面記事と同じレベルで全くお話にならない。
結局、原子炉の分析をおろそかにして、「表で人々が何をやっているのか?」という部分にだけ注目して無理やり結論を出している、と私は感じる。今回の最終報告書では「外部電源」については全く指摘がなかった。もし彼らの最終報告書に記載されている内容を全てカバーできていても、「外部電源」の問題が発生していたら全く同じように事故は発生することになると思う。
国会事故調査委員会・委員長の黒川氏曰く、今回の事故は「規制当局と業界の力関係が逆転してしまった、日本特有の“メイドインジャパン”の事故である」とのことだが、これも的を射ていない。規制当局が業界の圧力に屈するという現象は、むしろ日本よりも欧米のほうが多く見られる。リーマン・ショックを引き起こした米国の金融業界など典型的な事例だ。黒川氏は「日本人は全員反省するべきだ」と主張していたが、単に黒川氏が海外の事情に無知なだけで、全くの見当違いだと言わざるを得ないだろう。
そして、今回の国会事故調査委員会の報告書に関してもう1つ指摘しておきたいのは、そもそも報告書の「目的」は何なのか?を明確にして欲しいということだ。今回の報告書を読んだところで、安全になるとも思えないし、「人災だ!」と言われても、現実的に「何をすればいいのか?」という点が全く伝わってこない。
厳しい言い方をすれば、ほとんど「余計なお世話」に過ぎない報告だったと思う。これから政府「事故調査・検証委員会」による発表が予定されているが、国会事故調査委員会とは違って、どのような発表をしてくれるのか期待したいと思う。
経済産業省の電力システム改革専門委員会は13日、改革の基本方針を決めた。電力会社が一体で手がけている発電と送配電の事業を分ける「発送電分離」では2つの方式を示し、導入に反対してきた電力業界も容認に転じたとのこと。
電力の小売りは家庭向けを含めて全面自由化し、料金規制も撤廃して消費者の選択肢を広げる狙いということだが、これでは上手くいかないだろう。電力会社9社が資産を持ち寄って高圧送電網を作り、そこが一括して買い上げるという仕掛けにするべきだと思う。
話題の「再生可能エネルギー」の取り扱いについて、もう少し深く議論してからレポートをまとめて欲しかったと感じる。
例えば、次のような問題が容易に想像できる。
・完全に自由化すると再生可能エネルギーの買取価格が高くなるので、消費者にとってメリットはなく、敢えて利用するという人は極めて少なくなる。
・夜間電力を安くする(通常価格の4分の1程度)方法も、原子力発電がなくては実現できない。
・ゆえに、夜間に充電する電気自動車も実現できないということになる。
・だからと言って、火力発電で炭酸ガスを排出しながら電気を作り、それを電気自動車に利用して「クリーンエネルギー」などと言えば、おかしな話になる。
またすでに表面化している問題としては、「自然エネルギーの固定価格買い取り制度」が挙げられる。この制度では電力会社が買い取る予定の風力発電が買い取り枠の7割に達し、しばらくして埋まってしまうことがわかったそうだ。
安易に買取価格を20年間も保証してしまったため、収拾がつかなくなった状態だ。消費税増税であれだけもめたのに、「20年間の固定買取価格」という「大きな決断」にも関わらず、こちらについてはあっさりと決まってしまった。
政府は2020年~2030年にかけて、再生可能エネルギーによる発電を全体の20%にというスローガンを掲げているが、これは相当厳しい条件だ。というのは、風力発電・太陽光発電は稼働率が約20%程度しかないからだ。日本全体の発電量の20%をカバーするためには、設備としては「日本全体の発電量100%」に相当するものが必要となってしまう。
「固定価格買い取り制度」によって、盆と正月が一緒に来たように業界は賑わっている。しかし、明らかに20年固定価格の買取という条件は過剰であり、筋が良くない業者も暗躍しつつある。私はこれが日本経済を歪める結果になるのではないかと危惧している。
実際には「被曝データが著しく低い」ことが問題視され、被ばく隠し、というニュースがあるくらいだ。
国会事故調査委員会は、原子炉の状況を目視で確認することや、原子炉内部に足を踏み入れることすら、当分無理だと思っているに違いない。それほど放射線が高い。
国会事故調査委員会すら怖くて行けないのだから、推して知るべしだ。
「規制当局と業界の力関係が逆転してしまった、日本特有の“メイドインジャパン”の事故である」
事実は、政(献金先)・官(天下り)・業(天下り先)の癒着による独占企業問題だ。
原子炉の中が放射線が強い事は最近分かった事ではないと思う。原子炉の中の放射線が強いと言って騒ぐのは不思議でならない。
>規制当局と業界の力関係が逆転してしまった。
官庁より企業のほうが、知識も経験も、実力があるのは当たり前の話で、それがどうして話題になるのも不思議でならない。
実行者である企業の話を聞いて決めるのは常識だ、官庁には何もできない。何も日本だけではなく世界中で当たり前の事だと思いますが。
馬鹿な一人の作業現場監督が板を拾って、自分の仕事時間が減ってしまうから作業員にも遣らせてしまった粗末な話らしい。
殆ど測定値に変化ないあほらしい代物だったらしいので捨てたと、新聞に書いてある。
あたかも国家的な陰謀の様に騒ぎ立てる、どこぞの組織のアジテーターの伝聞に煽られて騒ぎ立てる人のリテラシーと言うか知識レベルは恥ずかしいものと思う。
自分が特定思想のアジテーターならばいいけど。
この考え方は原発の発電コストが火力より安いという前提に立っているのだと思いますが、原発による発電コストは高いことは明らかではないでしょうか?安いということを立証するには何百年もかかると考えます。
>安いということを立証するには何百年もかかると考えます。
英米仏ロシア中国他ヨーロッパの国々もインドも他の新興国も世界中で原発を稼働させています。止めたくても経済的に止めれれない国が殆どです。
金持ちの国、貧乏な国、世界中のこれらの殆どが、発電コストがくて、立証できない物を、国がやっているのですか。貧乏な国はお金を何処から工面しているんでしょうか?これらの国の政府は馬鹿なんですか?
これら世界中の国を日本の原発ムラがダマして嘘言ってやらせているのでしょうか?。
でも、「・・・・高いことは明らかではないでしょうか?」と言いますが、貴方が計算して納得して考えたんですか?ただ、聞いただけなんですか?、
「メルトダウンが起こったら日本は終わりである、そのため何重にも対策が取られている。だから、冷却機能が止まるようにことはない。止まらないものを心配するのはナンセンスだ。止まったらどうすると、国策にいちいちケチをつけるのは非国民だ。文句をいうな。」という、日本特有の“メイドインジャパン”の論理がここでもまかり通っていたのである。
今回の国会事故調査委員会は「原子炉」の分析は行なっていない。と非難されているが、実際誰も内部を確認することができないので、おそらくこうなっているだろうという想像を書くしかないのが現状である。原子炉の分析をおろそかにしていると言われているが、分析は不可能である。大前さんは、そこが認識できていないのではないだろうか?
健康診断で誰しもレントゲン写真を撮るが、放射線(この場合はX線)が我々の体を通過して、フィルムを感光させるから、像が黒く映るのである。原子炉から漏れた放射能の安全性を説得するために、レントゲン何回分といった具合に使われるが、安全とされるレベルの放射能でも、フィルムを真っ黒にするだけのエネルギーを持っているのである。
燃料が溶けた原子炉の内部では、比べものにならない程の強い放射線に曝されるのである、カメラの素子も放射線で露光してしまうし、線源からの距離を稼ぐために、長いファイバーを間に入れたとしても、ファイバー自体がすぐに駄目になってしまう。決死の覚悟で顔を突っ込んだとしても、眼球の中を通過する放射線が含まれる水分のせいで減速されるときに発生するチェレンコフ光のせいで、青い光しか認識できないだろう。つまり、中を直接見ることは不可能なのである。同時に、現代の科学技術では溶けた炉心をどうにかすることは、ほぼ不可能である。立ち入り禁止にして、汚染の拡大を防ぐ努力をするのがいいところだろう。
昨年、私はこのブログのコメントに2011年3月11日は、大化の改新とともに、1000年後の歴史の教科書にも記載されるだろうと書いた記憶があるが、1000年たっても、溶けた炉心は、強力な放射能で人を寄せつけないだろう。伝説として語り継がれるのである。
たしかに、これは人災である。冷却機能を失ってしまうと、解決不可能な大事故になる代物を作ることを許してしまったというところが人災だと思う。つまり、選択肢は、原発を廃止するしかないということである。
・・・染の拡大を防ぐ努力をするのがいいところだろう。
8行にも渡って、何をいいたいのかと、
飛行機のエンジンが止まったら、ニュートンの法則で落ちるぞ、1万メートるから落ちるとv=atの速度で地面にぶつかるぞ、ニュートンも言っているぞ、落ちたら内臓も目玉も血まみれでぐしゃぐしゃで他人の肉と一緒に混ざってミンチだぞ。八百屋のおばさんも政治家も死ぬぞ。怖いぞ。だから飛行機は空中を飛ぶなんて許せないから人類の為に止めよう。
と言う事を言いたいのですか?。
内容のない抒情的な文章でなくて主張点を箇条書きにすれば解りやすいのですが、街頭アジ演説みたいな雰囲気だけを文章にすると、結局、何を言いたいのか解らないのです。
少なくとも、原子力発電のメカニズム、科学的な理解は基礎知識のないあなたに判断出来る事なのですか。事故の結果の悲惨さは世の中に顔得られないほどあります。紛争国の虐殺などもっと悲惨です。事故と失敗の責任だけを攻め立てる貴方は何者なんですか、あなたはそれらの選択が出来るのですか。
また、CO2は温暖化とは関係ないという説が今は有力です。これは原発マフィアの虚偽工作だと。
従って火力を忌避する必要はない。
場合によっては豊富な石炭でも構わない。
つまり、中を直接見ることは不可能なのである。同時に、現代の科学技術では溶けた炉心をどうにかすることは、ほぼ不可能である。立ち入り禁止にして、汚染の拡大を防ぐ努力をするのがいいところだろう。
……1000年たっても、溶けた炉心は、強力な放射能で人を寄せつけないだろう。
と宮尾氏に書かれてしまったので、こちらとしては、ぐうの根も出ないこととなった。これに対しては本質的批判がないので、そうなのだろうと思う。
しかし、専門性が優ると人間性が失われるように思う。
実際、福島の避難民10万人は愛すべき故郷と仕事を失っている。「一生帰れない」と断じているようなものだ。断わっておくが、これは宮尾氏への批判ではない。
リドリー・スコット監督の「プロメテウス」は「エイリアン」の続編と言われているが、その中のセリフに「私達が止めなければ、帰るべき故郷がなくなるわ」というのがある。さすが名監督というものは、時代の要請に応えた物を作り出す。
やはり、福島第一は、石棺のようなもので覆う、ぐらいのことしかできないのか?
ここで「石棺」と書くと、専門性を持っている人たちが敏感に反応するんだろうなぁ……。