第43代紫組要領次第

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短歌三首 絵葉書人生

2011-06-28 15:35:20 | Weblog
●心地よき絵葉書のような人生は5枚600円で さあ、くれてやる (内田暁作)

【解説】先日までやっていた仕事をきちんと続けて、二年ぐらい我慢をしてみれば、安定した生活と、なんとなく幸せな人生になっていたかもしれませんが、そこをばっさりと切り落としてしまったあたくし。その仮想的な人生を「美しい絵葉書のような人生」と表現して、安定して得られた推定年収きっといっぱい万円を、600円と引き換えに叩き売りしたという短歌なんですが、あまりコメントもつかなかったのであまり理解してもらえなかったようです。自己満足の句ですね。


●「生まれつき。」「治せません。」と言う医師に 「治しません」じゃないの?と思う

【解説】親類に障害者がいて、昔から障害について考えてきたこと、例えば、「医者って治らない病気は扱えないよな」「つーか扱わないよなあ」「別にそれは仕方ないけどね。。」 という自分の思いを凝縮させたので、良くできたと思います。


●MDを歪んだ指で入れられてよろこぶ娘 麻痺でもハタチ!

【解説】
歪んだ指でMD一つ入れられない我が子ですが、新しく買ったラジカセを自身のベッドに置いたところ、長い時間をかけて、あの硬直した歪んだ指で入れました。入れたら喜んでいました。小さな子供なら喜ぶけど、20歳になったら普通は喜びませんよね。でも、ハタチの彼女はうれしいんです。自分で何かができるということが。人に頼まずMDを入れて好きな曲を再生できたということが。麻痺していますが、知的な発達遅滞はありません。自分で自分のことをやる、それを幸せに思う、こんな些事でもそういう気持ちになれるんですね。「歪んだ」「麻痺」とネガティブな、人によっては怯んでしまうような言葉をできるだけ入れてみました。が、この一首の底を走っているものは、底抜けの明るさです。今後も社会進出など非常な困難が待っていると思います。私が死んだあとのむすめの行く末も心配です。いいことばかりではないでしょう。いいことは少ないでしょう。でも、明るさだけは失わずに生きていってもらいたいです。ハタチですし、自立させることにしました。がんばれ!


という気持ちの設定で詠みました。テレビのドキュメンタリーからinspireされました。自分も親類に障害者がいるけど、それは知的障害者の方で、知能は正常のまま身体の動きだけが圧倒的に制限されているケースは身近な例として知らないけれど、こんな感じの気持ちなのかなあ、と。

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