この前の3連休、1泊2日で瀬戸内のある島に行っていた。
尾道から船で約50分、弓削島という小さな島。所在地で言うと愛媛県上島町。
そこに
「しまの会社」という会社を起こした人がいる。今月のソトコトにも載っていたので見た人もいるかも知れない。
「しまの会社」は、“島民の島民による島民のための会社”を目指して、地域の人々が本当の意味での豊かな暮らしを自らの手で実現させるという志を持って設立された会社だ。
代表の兼頭さんは、東大を出て大手印刷会社に勤めたあと、弓削島の人々の人情に触れ、Iターンを決める。
“地域起こし”というと自治体の仕事であるように思われるが、決して十全とは言えないその役割を、営利事業という形で担おうとする人が今増えている。兼頭さんもその1人であり、いわゆるソーシャル・ビジネスといわれる新しい事業形態になる。
最近でこそそういった事例がメディアを通じて紹介されるようになり、知っている人は知っている動きになっているが、一昔前なら「なんでそんなことしてるの?」「それは行政の仕事でしょ」と片付けられていたようなことを、「行政には任せておけんのだ」と立ち上がる人が、日本のあちこちに出て来ている。
NPOと違うのは、利益の出る収益活動として行うことで自発性と自律性、そして持続性を持たせようとしているところ。NPOなら、各方面に寄付をお願いして回るところを、人が自らお金を払いたいと思うような付加価値を創出すること、つまり事業創造によって、収益源を確保しようとするところが最も大きな違い。
自分もそういった理想を企業の中に在籍しながら志していることもあって、社会的企業家/起業家と言われる人の動きには敏感になっている。
最近ではNHKでも「チェンジ・メーカー」という番組などが企画され、徐々にその考え方或いは活動は普通の人にも認知されるところになって来ていると思う。
さて、ということで、こちらの
「株式会社しまの会社」では、果たしてどんなことになっているのか?をこの目で見て来ました。
こちらが
「しまの会社」の本拠地、地域コミュニティと外部から来た人の交流の場ともなっている
「しまでカフェ」。
港から歩いて5分ぐらいのところにあり、島の特産品を使ったカフェ・メニューが提供されている。
兼頭さんはこの日開催されていたイベント(ヨットレース)に参加されていたこともあって、しばらく現れず。お昼ごはんなどを食べながら待つ。
率直な感想を述べさせてもらうと、ひとことで言って、大いに改善の余地あり、といったところ。
内装デザインはやりようによっては最もエッジィにコンセプトを人に伝えることが出来るものだし、特産品の陳列棚のあり方ひとつ取っても、“買わせる”デザインというのはあるはず。
色んな意味で惜しい感じがした。でもそれは、まだまだ伸びしろがあるということでもある。
そうこうしているうちに兼頭さんが来られて、ごあいさつ。いかにも実直な感じの方でした。
一通り話を終えて、島巡りをすることに。
さっきまで降っていた雨が上がり、さわやかな海と空が目の前に広がりました。
カフェの前に止めてあった電気バイク。かわいい。誰のだろう?
手付かずの自然が残るこの島には、環境にやさしい乗り物が似合う。
今日は島の海開きの日。「みんなここにおったんか…!」というぐらいたくさんの人が海水浴場に集まっていました。海開きイベントもいろいろあった模様。みんな楽しそう。
兼頭さんの車で島の海沿いの道を走る。ああ、海がきれいだなあ…! なんていいところなんだろう!
兼頭さんです。
さて、何をしましょうかね、という話になったとき、兼頭さんが突然携帯で電話をかけ出し、「磯遊びしますか?」と言われ、「はあ」と言っているうちに車はUターンして海岸へ降りて行く。
兼頭さんは道沿いの民家に「こんにちはぁ」と入って行き、中から元気のいいおばちゃんが出て来て、「ちょっと待っとってね」と言って、しばらくすると手にバケツと潮干狩りの道具を持って出て来た。
「この人は海のことなら何でも知ってますから。貝採りの名人です」と兼頭さん。
「何言ってんの」ふふふ、と笑って長靴を履いたおばちゃんは私たちをいざなって海へ降りて行く。
そこは小さな入江で、目の前には広がっているのは弓削島の大平洋。青い海に遠く近く島々が浮かんでいる。
ここで私たちは思わぬ拾いものをすることになったのでした。
つづく。