場所前から“横綱両雄の決戦”の様子であったが、結局は千秋楽を待たずに白鵬が優勝を決めた。
終始安定した相撲で13日目の琴欧洲戦、14日目の琴光喜戦以外は圧倒の相撲。この展開なら
「安定性」のある力士には有利。そして全勝優勝・年間86勝、見事と言うしかない。
朝青龍は12日目の日馬富士の執念の相撲で破れてからは緊張の糸がプッツリ切れ、悪い朝青龍
になってしまった。1敗でも優勝の可能性があるのだから1人横綱の時の鬼より強かった相撲を
取れば星を落とせなかったはずだ。年齢的なもの怪我もあるかもしれぬがファンをガッカリさせ
ない勝ちを取る相撲を取ってもらいたかった。
大関陣は不調で陥落覚悟の千代大海は除外して陰が薄かった。琴欧洲の10勝止まりでは「一体
、何をやっている。」と檄を飛ばしたい位だ。横綱を狙うには血眼になって相手を研究し2横綱
に「絶対星を奪ってやる!」と言う気迫が欲しい。いつまでも「ここまで来れば安泰。」と言う
微温湯に浸かってはならない。若い日馬富士、琴欧洲は上を狙ってもらいたい。
話題の関脇2力士鶴竜、把瑠都の成長と躍進に期待がかかったが場所前半から好調だったのかも
しれないが苦戦を強いられた。やや勝ちに焦った部分も見られた。鶴竜は叩きが見られたし、把
瑠都は立ち合いの修正をしたものの長くやや腰高の立ち合いをやっていたものだからすぐに修正
できるはずはない。馬力で勝利した場面もありそれに頼ってしまった感もある。2力士とも更に
稽古を積んで大関・横綱の壁を破ってもらいたいものだ。
前半戦を引っ張ったのは嘉風。素早い相撲で7連勝を飾り場所を盛り上げた。失速して10勝止
まりだったが相撲の持ち味が活きたのがこの成績に繋がった。栃ノ心の活躍は意外だった。先場
所はやや蛋白なところがあったが今場所は出足の踏み込みがよく攻めも厳しかった。今の相撲が
常に取れれば上位には脅威。吊りは一品なので是非見につけて欲しい。22歳トリオの豪栄道・
栃煌山・稀勢の里は栃煌山は勝ち越したものの残り2人は散々な結果。特に稀勢の里は場所前の
稽古が本番に活かすことができなかった。情けないとしか言えない。一方、豊ノ島・琴奨菊は星
を伸ばし三役返り咲きが見えてきた。実績者が自分の相撲を取り戻し復活。まだフェイドアウト
してはならない。
だた、全ての力士に言いたいのだが、千秋楽前に優勝が決まっても手を抜かずガチンコで勝負を
して最後の最後まで精一杯戦ってもらいたい。
今年を振り返るとドラマがあった年であった。朝青龍の決定戦での復活優勝。日馬富士の初優勝
といいものを見せてもらった。その中での3回優勝した白鵬。双葉山に並んで12回目。彼はも
っと伸びる資質はある。稽古を積んで更なる目標を挙げて相撲界を牽引してもらいたい。朝青龍
は最近は爆発力頼みも先輩横綱として白鵬に阻んでもらいたい。
一方、大関含み三役陣には「打倒横綱」「目指せ大関」を目標に研究に研究を重ね、稽古を精一
杯積んで大関・横綱に恐れられる力士が1人でも多く誕生することを来年の大相撲に願いたい。