脱原発は非現実的という意見があるが、自然エネルギーによる地産地消・自産自消の可能性はあると思いますね。
エネルギーの自給自足・地産地消の深耕には売電が重要な要因で、現行の発電・送電体制の問題になりますね。
ブログ「社会科学者の時評」様のエントリー『原発-節電-放射能汚染-自然エネルギー 』の「⑦ 自然エネルギー180%の岩手県葛巻町」で、ブログ「ジモティーでいこう」様のエントリー『自然エネルギーで電力自給率180%の町。同じ日本なんだから「できない」と決めつけず私たちも続こう。』を紹介しています。
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”「1) 自然のエネルギーを活用する
日本国内には,自然エネルギーを活用して電力を自給している市町村がたくさんある。エネルギーの生産が,地域の意識の改革をもって実現している。
自然エネルギーで,電力自給率 100%以上の市町村が,日本の全国に57ある。そのうち26市区町村は,食糧自給率も100%超えている。
その3分の2が北海道と東北に集中している。地域で食とエネルギーがまかなえれば怖いものはないはずである。 注記)http://bit.ly/jrxpmj
この事実は,原発反対・廃止論を理論的にも実証的にも裏づけ,後押しするものである。原子力から自然エネルギーへのシフトを成功させるために,いちばん大切で必要なことは,エネルギーに対する自分たちの「これまでの常識:マインドセットを変えること」である。つまり「エネルギーはどこか遠くで作られて運ばれてくるもの」ではなくて,「エネルギーは自給自足または地産地消,それが本当はもっとも効率がよく,リスクに強く,持続可能」できることを認識することである。
「地域で作って地域で消費するのが原則とわかれば」「政府や巨大電力会社が変わるのを待つ必要は」ない。「地域の仲間でエネルギーのことを勉強し,楽しみながら自給する」。「地元にあるものをうまく活用して,地域で小さな循環を作る」。
☆-1 小さな川があるなら小水力。
☆-2 日照時間が多い町なら太陽光。
☆-3 風が利用できる地形なら風力。
☆-4 人が多いなら生ゴミで,牛が多いなら牛糞でバイオガス。
これらの方法いろいろから「柔軟にベストミックスを模索し,自治体と組んだり,地域でやりがいのある雇用を生んだりしながらワクワクしながら取り組んでいきたい」。「ちなみに風力について,巨大風車は健康被害などを考えると」「日本では建てられる場所が限られ」る「が,自家用に建てられる小さな風車は安価で」あり,「今後ローカルでもっと活用されてくる」と予測される。
注記)http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000001104210003 以下 2) 3) も,ここからの引用であるが,いまでは直接参照できない。いくつものブログで引用されていたので,いまでもその原文(全文)を間接に参照することはできる。
2) 自然エネルギーで電力自給率180%の岩手県葛巻町
東日本大震災で福島第1原発事故の危機的な状況が長引くなか,風力発電など自然エネルギーへの期待が高まっている。10年余りまえから風力や太陽光発電に力を入れ,町の消費電力の2倍近くの電力を生産するようになった小さな町に注目が集まりつつある。
岩手県葛巻(くずまき)町は,津波の被害を受けた久慈市から約40キロ内陸の北上山地に位置した人口約7700人の酪農の町である。地震の被害は大きくなかったため,町内の施設に被災者を受け入れたり,職員4~5人を近隣市町に派遣している。
まだ雪で覆われた町はずれの東側の山に,合わせて15基の風車が回っている。その発電量は年間5600万キロワットで,約3千の全世帯が使う電力の 1.8倍を作り出している。3月11日は震度5弱の揺れだったが,風車に損害はなかった。
町立葛巻中学校では,校庭わきに420枚のパネルが3列に並ぶ太陽光発電システムが校舎の照明や暖房などの一部をまかなっている。このほか,木質バイオマスや牛糞を活用した発電施設もある。
2007年まで2期8年町長を務め「自然エネルギーの町」の基盤を作った中村哲雄さん(62歳)は,「今度の原発事故で地域分散型の自然エネルギーが改めて注目されるのではないか」と話す。
震災後に県内や北海道で講演したが,「自然エネルギーは原発に代われるのか」などの質問が相次いだ。あと80基の風車を町内に建設できる,というのが中村さんの持論である。
しかし,現状ではわずかな量の買取しか電力会社に義務づけられていないため,思うように風力発電を拡大できなかった。
はっきりいって日本の電力会社は,岩手県葛巻(くずまき)町のような自然エネルギー発電の試み:実現に対して冷淡であるばかりでなく,電力の買取に消極的である。買取の価格も〈格安〉であって,潜在的に敵視しているのではないかとも受けとれる経営姿勢がみてとれる。
出所)http://www.town.kuzumaki.iwate.jp/article.php?story=20090227105820429
右上の写真で,葛巻町の風力発電。
http://www.town.kuzumaki.iwate.jp/article.php?story=20090212135542591
左上の写真で,葛巻町の太陽光発電。
3) 自然エネルギーの生産を妨害する国家への挑戦
これまで,霞が関の省庁に岩手県葛巻町が実現させたような方向・目標を要望すると,「風力や太陽光だけで日本全体の電力需要をまかなえるわけではない」と反論された。
しかし,中村さんは風向きが大きく変わる予感がしている。後継者の鈴木重男町長は,山村と都市の関係を転換する必要を感じている。「エネルギーのつぎは食糧が不足する,山村と地方が互いの機能を理解しながら対等にとり組む時代がやってくると思う」。
葛巻町のもうひとつの特色が「省エネ教育」である。葛巻小学校では,「手洗いは,えんぴつの太さの水で」など,子どもたちが自ら考えた「省エネプラン」を実践している。3年生の大久保柚希さんは,自宅でお父さんにつけっぱなしの部屋の電気を注意する。親子の会話を通じて省エネ意識が大人に広がり,町全体の省エネに結び付く。
前岩手県知事の増田寛也元総務相は,「これからエネルギーの需給が窮迫するなか,再生可能な自然エネルギーの開発は時間がかかる作業になる。町民に理解が根付いた葛巻町がひとつのモデルになるだろう」と話している。菅 直人首相は参院予算委員会で「今回のことを教訓に,太陽,バイオマスなどクリーンエネルギーを世界の先頭を切って開発し,新たな日本の大きな柱にしていく」と答弁した。政府も政策転換を模索している。」”
・・・・・・・・・・・ 引用終わり ・・・・・・・・・・
「社会科学者の時評」様は、
”「自然エネルギーの開発・利用面をみると,世界的次元において完全な遅れをとっている〈日本国の姿・実態・内情〉である。しかも,その「未来への進行方向」を盛んに妨害している「国内における〈実業界-政界-学界-言論界〉」の集結した集団である。
これをさらにごく狭くとらえていえば,その中心に盤踞するのが「原子力村」や「原発推進派国会議員団」である。
その〈実に日本的でコッケイなマフィア的構図〉の現実的な害悪は,日本の未来を不幸・不安にするばかりである。」”
と結んでいます。
当方は、2009年2月、本ブログ「御立 尚資氏の日経ビジネスに連載コラムが最終回・・・・残念ですね!」で、ボストン コンサルティング グループ日本代表の御立 尚資氏が「日本経済の成長を本気で目指すのかどうか」を問い、
”「経済成長に対して、本音では「ネガティブ」な思いを持つ層が拡大している状況下、現在のリーダーの皆さんにとって必要なのは、「環境論議」とリンクづけた感情論、あるいは「成長は悪」という感情論を廃し、Graceful Decline(優雅な衰退)論に与するべきか、そうではなく適切な経済成長を通じてより豊かな日本を作ることを目指すのか、論理とデータで語っていくことではないだろうか。」”
と語っていました。
当方は、
”「国民が安心・安全で暮らせる社会は、まずは、第一次産業が国の基幹と思っております。温暖化で環境破壊が進行しても、石油が枯渇するエネルギー問題が深刻化しても、食糧危機が最悪の事態になろうとも、自給自足で最低の生活ができることことが第一で、第二は、社会保障制度の充実での安心さで、その上での自由競争社会という国造りが必要で、人材育成が肝要と思っております。」”
と書き、食料とエネルギーの自給自足が基盤で、自由競争と書きました。
その当時は、特に、脱原子力を意識したことなく、自然エネルギーの利用拡大程度の認識でしたが、福島原発事故以来、脱原発路線になりました。
この度の東日本大震災の被災報道に接して、天災には安全値がないことと 本ブログで、自然相手の生業は強いとし、自然相手の生涯現役の生業が「人間らしさ」「長生きコツ」ではないかという思いで書きました。
日本社会が、”「自然エネルギーで,電力自給率 100%以上の市町村が,日本の全国に57ある。そのうち26市区町村は,食糧自給率も100%超えている。」”ことは新鮮な驚きです。
自然エネルギーで、原子力発電の代替は非現実的とという意見を散見しますが、電力会社が原子力発電を自然エネルギーに代替することは非現実的と思いますね。
本ブログ「脱原発:田中康夫氏の意見「ボツリオコッカスに注力せよ」は同感」で、新党日本の田中康夫代表が4月29日に国会で提言した渡邉 信・筑波大学大学院生命環境科学研究科・教授が取り組みしている「オーランチオキトリウム」などバイオ燃料でのエネルギーの地産地消となれば電力会社の役割は変容せざるをえないでしょうね。
また、最近、東京大学の荒川泰彦教授らとシャープは、太陽電池の変換効率を現在20%程度から75%以上にできる構造をコンピューターによる解析で突き止めたと報道があり、個人生活によるエネルギー自産自消の流れとなれば、発電・送電の変革が求められますね。
自然エネルギーについては、当方は、本ブログ『TBS「夢の扉」:日本の底力を再認識・・・日本再生は、やはり「人」』で、「夢の扉」で、取り上げた「ミドリムシの秘めた力で地球を救いたい出雲 充」を紹介しましたが、「夢の扉」では諸々の新技術・先鋭的な取り組みを紹介しております。
例えば「速水浩平:振動の力をあらゆるエネルギーに変えて行きたい 」(圧電素子を逆に利用する事によって振動を電気に変えることが出来る発電床の開発)、
「石田秀輝:自然の力から得る研究で未来を変えて行きたい」(殆ど風のない状態でも風車が回る発電器の開発)、
「鈴木清美:潮流発電を成功させ、日本のエネルギー自給率を向上させたい」 (海の力を利用した発電システム)、
「伊藤瞭介:小型風力発電で、クリーンエネルギーを広めて行きたい」、
「武藤佳恭: 熱の温度差を利用した発電システムを作りたい」(熱の温度差を利用した「温度差発電」という発電法の開発)らを紹介していました。
電力会社が原子力による発電し、独占的な送電の現下で、原子力発電を自然エネルギーに代替することは非現実で、諸々の自然エネルギーによる地域での地産地消と個人家庭での自産自消との組み合わせであれば、バイオ燃料による火力発電主体に変革は現実的と思います。
さらに先鋭的なことを考えると、ブログ「社会科学者の時評」様のエントリー『国策としての原発,象徴としての天皇はビンのフタ 』の”「⑤ 原発論議-その本質問題-」で紹介している『日本経済新聞』2011年5月5日朝刊「社説」は「新しい日本を創る(5) 電力供給を分散型に変え低炭素に道を」になると紹介しています。
やはり、日本社会は、食料とエネルギーの自給率UPは国家の安定基盤になり、電力会社にエネルギーを一任することなく、地域・企業・個人もエネルギーの自給自足することが賢明ということですね。