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投資に重要な指標を紹介したい

政策金利予測引き上げが市場の懸念材料

2022-09-26 15:12:38 | 日記

9月20日~21日に開催された米国連邦公開市場委員会(FOMC)では、3か月毎に発表される経済予測が示され、特にインフレ率を長期目標の2%にまで押し下げることが強調され、2022年と2023年の政策金利予測水準が大きく引き上げられた。6月FOMCでは2022年第4四半期に3.4%であった中央値が、今回9月FOMCでは4.4%へと1%引き上げられ、2023年第4四半期の政策金利は、6月FOMCの3.8%から、9月FOMCで4.6%へと修正された。しかしながら、2024年第4四半期は3.9%、2025年第4四半期は2.9%へと金利引き下げが予測されており、ローン金利上昇による住宅市場の悪化や、個人消費の落ち込みが懸念されることによる金利政策の変更が勘案され、優先課題であるインフレ指標が低下傾向となれば、金利引上げ水準にも下方修正が加えられるかもしれない。現在はとにかくインフレを抑えることが最優先され、経済予測におけるフェデラルファンドレート誘導金利が今年・来年と高止まりすることが嫌気されて株価が大幅に反落しているが、既に米国指標10年国債利回りは3.8%に近づいており、2024年の政策金利予測と変わらない水準に達している。9月FOMCに関しては、0.75%という政策金利引き上げ決定よりも、2022年末と2023年末の経済予測における4.5%前後の政策金利予想が不安材料視されているが、あくまでも予測であって、インフレデータによっては変更される可能性があることと、2024年の予測には大きなばらつき(政策金利予想の幅は2.50%~4.75%)が観察される点には注意が必要だろう。今年はインフレ抑制のために、金利引き上げを継続しなければならない、しかし景気後退を避けるためには、2024年に入って金利引き下げを考えるということになりそうだ。


インフレ抑制を重視するFOMCの決定

2022-09-22 05:17:30 | 日記

9月21日に開催されたFOMCにおいては、市場の予想通り0.75%の政策金利引き上げが実施され、同時に経済予測(Economic Projection)が発表された。FOMC結果発表直前のCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)が公表するFEDWATCHTOOLでは、11月2日FOMCで政策金利が0.75%引き上げられ3.75%~4.00%、12月14日FOMCで0,50%引き上がり4.25%~4.50%、2023年最初の2月1日FOMCで0,25%の引き上げがあり4.50%~4.75%となる確率が最も高くなっており、まさに今回発表された経済予測と同じ結果となっている。FOMCの経済予測では、2022年第4四半期の政策金利目標中央値は4.4%(4.25%~4.50%に相当)、2023年第4四半期が4.6%(4.50%~4.75%)、2024年第4四半期に3.9%(3.75%~4.00%)、長期的な目標は従来通り2.50%と発表され、当面の政策金利引き上げの最大値が4.50%~4.75%(経済予測の4.6%)であり、その後はインフレの鎮静化に伴って景気後退リスクに配慮しながら政策金利を下げていく方向性が示された。FOMCにおける経済予測が、市場が予想するFEDWATCHTOOLのデータとほぼ同じであったことから極端なサプライズは起こらず、むしろインフレデータが収まってくれば、政策金利引き上げの目標も低下してくることが期待されることになるだろう。一方で、政策金利引き上げにより米国住宅ローン金利は6%を上回ってきたことから、来年にかけての住宅価格上昇は見込みづらく、個人消費を中心とする景気指標の悪化が懸念され始めそうだ。今回のFOMC経済予測に沿って強引に4.5%を上回る水準にまで金利引上げが実施されれば、米国経済の下押し圧力が拡大することから株価の重しとなり、市場参加者は政策金利目標の引き下げを予想する傾向に変化し始め、米国長期債利回りの上昇にはブレーキがかかり、米国短期金利上昇を背景に強含んでいた米国ドルの勢いにも陰りが見え始めるかもしれない。世界で最先端のイノベーションを誇る米国グロース株への集中投資が長らく続いたが、資金借り入れコストの上昇は向かい風となることから、利回り水準が魅力的となっている先進国長期債や、更に高利回りとなっている新興国債券を含めた分散投資に加え、グローバルな株式への分散ポートフォリオに注目が移り始めるのではないだろうか。


ブラックアウト・ルール

2022-09-14 06:03:35 | 日記

英語でブラックアウトと言えば停電のことだが、報道管制という意味でも使われる。米国連邦公開市場委員会(FOMC)では、会議参加者であるFRB理事や連邦銀行総裁が、FOMC開催直前に金融政策に関する発言を行わないことを定めており、ブラックアウト期間として、FOMC開催前々週の土曜日以降に関して情報提供をしないこととなっている(9月20日~21日開催の当月は9月10日以降がブラックアウト・ルール適用期間)。結果として、市場参加者は憶測でFOMCの金融政策決定を予想しながら行動することになり、インフレ抑止が最大課題となっている現状では、物価指数の動向に大きく反応することになる。9月13日発表の8月米国消費者物価指数(CPI)で、エネルギーと食料品を含むヘッドライン指数(総合指数)は、対前年比8.3%となり7月の8.5%から低下したが、エネルギーと食料品を除くコア指数は、対前年比6.3%と7月の5.9%を上回り、対前月比でも0.6%と高止まりしたことにより、FOMCの政策金利引上げ水準が更に引き上げられるのではとの懸念が株価下落要因となった模様だ。米国30日物フェデラルファンド金利先物市場価格から逆算して求められる政策金利予測は、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)がFEDWATCHTOOLによって公表しているが、9月14日午前5時(日本時間)時点では、0.50%引き上げられて2.75%~3.00%となる確率が0%に下がり、0.75引き上げられて3.00%~3.25%となる確率が68%、1.00%引き上げられて3.25%~3.50%となる確率が32%まで拡大しており、金利引上げ加速への思惑が、米国10年債金利を3.42%まで押し上げ、ドル円レートを144.50円前後の円安ドル高に動かしている。依然として9月20日~21日に開催される米国連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.75%の金利引き上げが実施される可能性が高そうだが、8月のコアCPI(総合指数の約8割部分を構成)が7月対比で0.6%上昇し、総合指数の約3割を占める住居関連指標(家賃相当部分)は、8月に対前月比で0.7%と上昇率が高止まりしていることから、FOMCメンバーの政策金利引上げ加速懸念が市場の不安心理を拡大させており、ブラックアウト期間という情報のない中で、投機筋による先物中心の短期的売買が市場を大きく動かしたということだろう。今年に入ってから合計3%以上の金利引上げが9月FOMCで実施されることになれば、住宅ローン金利上昇の影響から、年末から来年にかけて住宅関連指標が落ち着き始める可能性は高く、景気後退を加速させる金利引上げ継続という選択肢には、FOMCメンバーも躊躇することになりそうだ。ブラックアウト期間という短期的に不安心理が増幅されやすい状況に惑わされることなく、先ず9月21日FOMCでの決定を確認した上で長期的な投資戦略を立てることが重要だが、FOMCに向けた不安心理拡大は、逆にFOMC経過が市場の転換点となる可能性も秘めていることには注意すべきだろう。


米国リセッション予想は今後のインフレデータによって変化

2022-09-04 22:13:04 | 日記

9月4日時点のFEDWATCHTOOLによる米国政策金利予測確率は、9月21日FOMCで0,75%金利を引き上げ3.00%~3.25%とする確率が57%、0.50%金利を上げ2.75%~3.00%とする確率が43%となっている。インフレ率が低下傾向となるまでは、FOMCが継続的に金利引上げを実施する意思が示されたことで、8月月末から9月月初に発生するポートフォリオの資産配分変更では、リスク資産からリスクフリーレートとなるキャッシュ(現金)への振り替えが進み、株価や債券価格はやや下落(債券利回りは上昇)した模様だ。一方で、5月FOMCの0.50%、6月と7月FOMCの0.75%金利引き上げは住宅市場に影響を与え始めており、6月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(20都市圏コンポジット)は、対前年同月比で18.65%と高止まりしているものの、対前月比(5月対比)では0,41%(年率換算5%)と低下してきている。9月FOMCで0.75%の引き上げとなれば、3月以降に合計3.00%の引き上げが実施されたことになり、年末にかけては住宅関連資産の落ち着きが見られ始めるのではないだろうか。米国消費者物価指数(CPI)を計算するにあたっては、エネルギーと食料品の寄与部分が約20%(エネルギーが約7%、食料品が約13%)で、エネルギーと食料品を除くコア部分が約80%となっており、コアCPIの中では住宅関連部分が3割(家賃が約8%、帰属家賃が約24%)を上回ることから、現在の金利引上げ効果は、年末にかけて帰属家賃上昇を抑え、コアインフレの落ち着きに繋がってくることになりそうだ。FOMCにおける長期的な失業率目標は4%以下で、7月の失業率3.5%は雇用最大化が維持されている状況から、現状ではインフレ抑制のみがFOMCの注力課題となっている。しかしながら、失業率が4%を上回り、インフレ率の落ち着きが見え始めれば、さらなる政策金利引き上げの論拠が崩れることになり、金利引上げが休止される可能性とともに、雇用データとインフレデータを確認しながらの金融政策実施に傾き始めるのではないだろうか。インフレ率高止まりによって個人消費が低迷し、名目GDP成長率低下が発生することで、実質GDP成長率(名目GDP成長率-インフレ指標)がマイナスに落ち込み、景気後退に陥るという主張が拡大し、投資家の不安心理が拡張されている。一方で、年末から来年にかけて、インフレ率が徐々に低下傾向となれば、個人消費の持ち直しとGDPデフレーター(インフレ指標)の安定が、経済指標の悪化を抑えてくれるかもしれない。2023年には高インフレと金利上昇継続から米国経済がリセッション入りし、株価下落と債券価格下落を予想するエコノミストやストラテジストの意見が多く出ているが、来年もインフレ率が高止まりするというのも予想にしかすぎず、実際のインフレデータを確認しながらFOMCでの金融政策が決定されるのであれば、経済データの変化に沿って、徐々にFOMCでの金融政策が変化していくということだろう。