Nikkoh の 徒然日記

ゲイ(=男性同性愛者)の Nikkoh が、日々の雑感やまじめなこと、少し性的なことなどを、そこはかとなく書きつくります

『男性保育士物語』を読んで

2013-02-03 22:18:04 | 男性差別 I (概観・総論・横断的内容)
2日続けて本についての記事です。
忙しくて余裕が無いというのに、本を読むのだけはやめられないのです。もう読書依存症といってもいい域かもしれません。
いずれ、そのことについても記事を書いてみようと思っています。

昨日 は、林道義さんの『フェミニズムの害毒』についての記事を更新し、現在は『父性の復権』を読んでいる最中で、次は『母性の復権』を読む予定だと記しました。
しかし、図書館で興味深い本を見つけたため、それらを一旦中断して、今日はその本を読んでいました。それが、タイトルに出ている『男性保育士物語』(小崎恭弘著,ミネルヴァ書房)です。

男性保育士物語―みんなで子育てを楽しめる社会をめざして (MINERVA21世紀福祉ライブラリー)
小崎恭弘
ミネルヴァ書房


結論から言うと、いい本と出会えました。どうもこのところいい本との出会いが続いていますね。嬉しいことです

小崎さんは本当に保育という仕事が楽しくて大好きなんだなあということが、よく伝わってくる本でした。きっと彼にとって保育士は《 天職 》だったんだろうなあと思いました。
僕も(保育士に適性があるとは思わないのですが)子どもが大好きなので、読んでいて明るい気持ちになれました。
自分が生き生きとできるような、《 天職 》と思えるような、そんな仕事に携われるということはすばらしいことだと思います。

10年少々前までは、《 保育士 》ではなくて《 保母 》という語が使われていたことが象徴するように、保育の世界は長らくにわたって女性の世界とされてきました(その名残はかつてよりは薄まっているとはいえ、今なお残っているようにも思えますが)。
小崎さんが保育士として働き始めたころには並大抵ではない覚悟が必要であったと思われますし、苦労もたくさんされたことでしょう。幾多の偏見とも闘ってこられたはずです。その辺りの事情もこの本を読んでいく中で伝わってきました。

それまで女性の世界とされていた業界で、男性が働く ということは、かなり大変なことだと思います。勿論、男性の世界とされていた業界で、女性が働く というケースでも同様です。
たまたま自分の就きたい職業が、異性の世界とされている職種だった場合、おそらく多くの人は葛藤することになるでしょう。そして、葛藤の末に夢を捨てていく人も相当数いるのではないかと思います。それは哀しいことです。
ただ、覚悟を決めて、自分の夢の実現に向けて果敢に挑んでこられた方々もたくさんいらっしゃるわけですね(小崎さんもその中のお1人だと思うのですが)。そういう方々の存在があったからこそ、現在ではかつてに比べれば、自分の希望に合わせた職種を選びやすい社会になってきつつあるともいえます。僕は彼ら・彼女らに対しては、敬意を表さずにはいられません。
《 男女雇用機会均等法 》や《 男女共同参画社会基本法 》については、問題点もいろいろありますが、しかし、これらの法律ができたお陰で、自分の就きたい職業に就きやすくなったという人は多いはずで、この点では実に画期的だったと言えるでしょう。

※ ただし、これらの法律はそもそもの成り立ちが《 女性差別 》の撤廃を目的としたものだったため、偏りがみられることは事実です。男性の世界とされていた職種への女性の進出に比べて、女性の社会とされていた職種への男性の進出の方が、厳しい状況に置かれている印象を受けます。
また、社会の反応としても、男性の世界とされていた職種への女性の進出については、「生意気だ」といった類の反応もあるとは思いますが、「かっこいい」などの好意的な反応が出るケースが多いと感じます。一方で、女性の世界とされていた職種への男性の進出については、「気持ち悪い」や「男のくせに」などの否定的な反応が出るケースが多いと感じます。
この辺りは、企業や社会が変わっていかなければいけない部分ではないかと思います。


※ 参考リンク : 「トイレがない」「更衣室がない」 男性保育士のハードな労働環境は「男性差別」か?
(男性保育士や男性看護師は、今でも何かと大変なようですよ・・・)

小崎さんの本には、《 みんなで子育てを楽しめる社会をめざして 》という副題がついています。
男性の育児への参画について、僕は必要不可欠なことであると考えています。
ただし、多くの課題をはらんでいることは事実であり、その辺りの事情については、小崎さんも主に終りの方の章で言及されています。
この問題については、大切な問題だと思うので、いずれ記事を書いてみたいなあと思っています。
ただ、1つだけ、父親たちをバッシングするだけでは何も意味が無いし不毛である ということを述べておきたいです。例え父親たちが育児に参画したいと思っても、それを許さない風土が我が国にはあるので、まずはそこを変える必要があると思います。特に企業の意識改革が不可欠だと感じます。我が国は、まずそもそも、《 働き方 》から変えていく必要があるのかもしれません。

昨日 の記事でも言及したとおり、僕は子どもと接する仕事をさせてもらっています。そして、おそらく今後もそれは続いていくと思います。
もっとも、僕が接する子どもというのは、生徒・学生とよばれるような子たちですから、どちらかというと青少年という言い方が適切な年齢です。
保育士の方が接するような乳幼児とはまた違った世界です。
でも、子どもと接し、子どもを育てるという点では共通していますし、多くの示唆を受けることができたと思います。
ゲイに生まれたために、僕自身が父親になる可能性は限りなくゼロに近いけれど、きっとこの本を読んで得た諸々のものは、今後の人生の中でうまく活用していけると思っています。
今日も素敵な本と出会えたことに、感謝です。

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