Nikkoh の 徒然日記

ゲイ(=男性同性愛者)の Nikkoh が、日々の雑感やまじめなこと、少し性的なことなどを、そこはかとなく書きつくります

[IMD記念ミニ連載] 男性と女性の平均寿命の差について

2013-11-14 22:21:23 | 男性差別 II (生命や健康・体力のこと)
11月19日 は、国際男性デー(International Men's Day) です。

( 関連ワード : 弱者男性問題,男性差別,女災,マスキュリズム,メンズリブ,男性解放,男性運動 )





国際男性デー(IMD)は、男性・男児のさらなる健康と幸福 を目的とした記念日です。
日本ではほとんど知られていませんが、多くの国で祝われています。

※ IMD について詳しく知りたい方は、wikipipedia(日本語版)wikipedia(英語版)も参考にしてください。



当ブログでは、すぐ目前まで迫ってきた、国際男性デー(IMD)を記念して、ミニ連載を致します。
この記事は、その第1回目にあたります。

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【質問1】
あなたは、〈 平均寿命 〉 という言葉を聞いたことがありますか?
また、それはどんな意味なのか知っていますか?


さて、いきなりの質問でしたが、いかがでしょうか?
おそらくどこかで聴いたことがあるという方が多いのではないかと思うのですが、どうでしょう。

〈 平均寿命 〉は、「ある年に生まれた人が、何歳まで生き続けるかの、平均値」 です。
例えば、「2012年の日本人男性の平均寿命」というのは、「2012年に生まれた日本人の男の赤ん坊が何歳まで生きるかの平均値」を意味します。
もちろん、人間の寿命にはかなりバラツキがあるのですが、ここではあくまでも平均で考えているということです。

似たようなもので、〈 平均余命 〉というのもあります。これは、「ある年齢の人が、その後何年間生き続けるかの、平均値」です。
例えば、「2012年における25歳の日本人男性の平均余命が55.52年」というのは、「2012年時点で25歳(1987年生まれ)の日本人男性は、平均すると、この後 55.52年 生きる(およそ80歳くらいまで生きる)」ということです。
これも、実際にはかなりバラツキがあるわけですが、平均で考えているわけです。

〈 平均寿命 〉は、それぞれの年における、「0歳の人の平均余命」 と言い換えることも出来ます。
(実は、〈 平均寿命 〉の定義はそうなっています)

〈 平均寿命 〉や〈 平均余命 〉などは、さまざまな要因を考慮しながら作成される〈 完全生命表 〉や〈 簡易生命表 〉などに則って、毎年、厚生労働省が発表しています。
現時点での最新版は2012年(平成24年)のもので、インターネット上で閲覧することも出来ます。
( → 平成24年簡易生命表の概況

【 問題1 】
2012年の日本人の〈 平均寿命 〉は何年くらいでしょうか?
厚生労働省の発表は、男性と女性で別々になっていますので、予想も別々に立ててみましょう。

ア.70年くらい(68~72年)
イ.75年くらい(73~77年)
ウ.80年くらい(78~82年)
エ.85年くらい(83~87年)
オ.90年くらい(88~92年)
カ.その他(67年以下あるいは93年以上)

男性は(   ),女性は(   )

どうしてそう思いましたか?
予想を立ててから続きを読みましょう。


さっそく、厚生労働省のwebページ(先ほどのリンク先)で、2012年の日本人の〈平均寿命〉を調べてみました。

結果は、

・ 男性 = 79.94年
・ 女性 = 86.41年

でした。
したがって、【問題1】は、男性がウ(80年くらい),女性がエ(85年くらい)というのが正答となります。

これは世界の中でもかなり長く、特に女性は世界で一番の数値です。
そのため、日本は〈 長寿国 〉で、もうだいぶ前から〈 高齢化 〉が問題になっています。

ところで、男性と女性の〈 平均寿命 〉の間には、およそ6.5年の差 があります。
これは、「平均すると、女性は男性よりも6年半長く生きる」ということですし、「平均すると、男性は女性よりも6年半短くしか生きられない」 ということでもあります。
このように男性の方が女性よりも〈 平均寿命 〉が短いのは、日本だけのことだけではなく、ほとんどすべての国・地域で共通の現象といってよさそうです。
ただし、差が大きい国・地域と、差が小さい国・地域があります。

男性・男児の健康と幸福を考える上では、やはり、この差が小さいのが望ましい と思うのですが、どうでしょう。
健康であれば、〈 平均寿命 〉も長くなるはずだからです。
(一概に、「長生きできるのが良いこと」だとはもちろん言えないわけですが…)

そこで、これからしばらくは、男性と女性の〈 平均寿命 〉の差 の移り変わりに注目してみることにしましょう。

【問題2】
ポツダム宣言受諾による無条件降伏から2年経った1947年、日本国憲法が施行されたこの年の男性の平均寿命は、50.06年 でした。
この年も、やはり女性の平均寿命の方が長いのですが、差はどのくらいあったと思いますか?

ア.3年以下(今よりかなり小さな差)
イ.3~5年くらい(今より小さな差)
ウ.5~6年くらい(今よりちょっと小さな差)
エ.6~7年くらい(今と同じくらいの差)
オ.7~8年くらい(今より大きな差)
カ.8年以上(今よりかなり大きな差)

どうしてそう思いましたか?
予想を立ててから続きを読みましょう。


戦後すぐの日本人男性の平均寿命は、50年くらいしか無かったのですね。
食糧事情や、医療の進歩,技術の進歩などにより、70年足らずの間に、これだけ寿命が伸びだわけですね(先ほど見たとおり、2012年の日本人男性の平均寿命は 79.94年)。

さて、男女差はどうだったのでしょうか。

もしかしたら、戦死者を考えに入れた人もいたかもしれませんが、「1947年の平均寿命」は、「1947年に生まれた人の平均余命」ですから、そこは無関係となります。
(戦前・戦中のデータが手元にありませんが、おそらく、戦時中の男性の平均寿命は30年くらいだったのではないかと予想しています。男女差は10年以上開いていたのではないでしょうか。この調査は今後の課題です)

1947年の日本人女性の平均寿命は、53.96年 でした。

したがって、男女差は、3.90年( = 53.9650.06 )となります。
【問題2】の正答はイ(今より小さな差)でした。

【問題3】
〈 高度経済成長 〉まっただ中の1964年、東京オリンピックが行われたこの年の男性の平均寿命は、67.67年 でした。
この年、平均寿命の男女差はどのくらいあったと思いますか?

ア.1947年よりも小さな差しかなかった(3年半以下)
イ.1947年と同じくらいの差があった(3年半~4年半)
ウ.1947年より大きく、2012年よりは小さな差があった(4年半~6年)
エ.2012年と同じくらいの差があった(6年~7年)
オ.2012年より大きな差があった(7年以上)

どうしてそう思いましたか?
予想を立ててから続きを読みましょう。


1964年の日本は、〈 高度経済成長 〉のまっただ中にありました。
東海道新幹線が開通し、東京オリンピックが行われたこの年は、戦後19年目にあたるのですが、焼け跡からの復興の早さを感じますね。

1964年の日本人女性の平均寿命は、72.87年 でした。

したがって、男女差は、5.20年( = 72.8767.67 )となります。
【問題3】の正答はウ(1947年より大きく、2012年よりは小さな差)でした。

1947年には4年に満たなかった男女差が、1964年には5年を超えてしまいました。
ただし、6年を超えている今よりは小さな差でした。

【問題4】
1964年には平均寿命の男女差が5.20年となり、5年を超えていました。
初めて5年を超えたのは前年の1963年のことで、それ以前は、1947年から1962年までずっと5年未満の差でした。
ところで、2012年には差が 6.47年 となり、6年を超えています。
では、初めて平均寿命の男女差が6年を超えたのは いつだったと思いますか?

ア.石油危機の起きた「1973年」ごろ
イ.アフガニスタン紛争の始まった「1979年」ごろ
ウ.男女雇用機会均等法ができた「1985年」ごろ
エ.バブルが崩壊した「1991年」ごろ
オ.男女共同参画社会基本法ができた「1999年」ごろ

どうしてそう思いましたか?
予想を立ててから続きを読みましょう。


さて、さっそく確認していくことにしましょう。

1973年の日本人平均寿命は、男性が 70.70年 ,女性が 76.02年 でした。
したがって、男女差は、5.32年 となり、これは、1964年の5.20年とあまり差がありませんね。

1979年の日本人平均寿命は、男性が 73.46年 ,女性が 78.89年 でした。
したがって、男女差は、5.43年 となり、これまた、1964年の5.20年や、1973年の5.32年とあまり差がありません。

基本的には平均寿命の男女差は、しだいに大きくなっていく傾向にあります。
事実、1963年に4年を超えた後、一度も4年より小さな差となった年はありません。以後はずっと4年以上の差があるのです。
ただし、1973年,1974年には、男女差がグッと縮小する動きを見せたりもしましたし、このころは男女差の拡大が一旦おさまった時期といえそうです。
1970年代は、ずっと、5年から5年半の間で推移しているのです。
その背景には、〈 石油危機 〉などをきっかけとして、〈 高度経済成長 〉が終わりを告げたことももしかしたらあるのかもしれませんね。

(なお、この件とは関係ありませんが、日本人男性の平均寿命が70年を超えたのは1971年のことでした)

1985年の日本人平均寿命は、男性が 74.78年 ,女性が 80.48年 でした。
したがって、男女差は、5.70年 となり、1979年(5.43年)からの増加が見られます。
しばらくは男女差の拡大が停滞していたのですが、1982年を過ぎると息を吹き返したのです。
これはどういうことなのでしょうね。
(余談ですが、日本人女性の平均寿命が80年を超えたのは、この前年の1984年のことでした)

1991年の日本人平均寿命は、男性が 76.11年 ,女性が 82.11年 でした。
したがって、男女差は、ちょうど 6.00年 となり、【問題4】の正解はエ(1991年ごろ)でした。
なお、バブル経済は、1986年から1991年とされています。

1999年の日本人平均寿命は、男性が 77.10年 ,女性が 83.99年 でした。
したがって、男女差は、ちょうど 6.89年 となり、なんと、2012年よりも大きな差があった ことになります!

それにしても、1991年から1999年まで、わずか8年の間にかなり差が開いていますね。
1982年から続いていた、平均寿命の男女差の拡大は、バブル期も継続し、さらに、バブルが崩壊しても続いたわけです。
1990年代は、平均寿命の男女差が急速に拡大し続けた時代なのです。

この背景には、女性の平均寿命の伸び幅が男性に比べて大きかったこと が考えられそうです。
実際、1991年と1999年で比べてみても、もちろん男女ともに平均寿命は長くなっているのですが、その伸び幅は、

男性 +0.99年 ( ∵ 77.10-76.11=0.99 )
女性 +1.88年( ∵ 83.99-82.11=1.88 )

となっていて、女性は男性の倍近い伸び幅です。
(もちろん言い換えれば、男性の伸び幅は女性の半分と少ししかないということ…)

なお、平均寿命の男女差が戦後最大だったのは、2003年 でした。
この年は、男性が 78.36年 ,女性が 85.33年 でした。
したがって、男女差は、6.97年 となり、ほぼ7年の差が付いたことになります。
ただし、この後は、男女差が縮小する傾向へと移行し、7年を超える
ことはありませんでした。

現在は、すでに出ているとおり、男性が 79.94年 ,女性が 86.41年 で、男女差は、6.47年 となっているのです。

以上、まとめとして、グラフにしておきましたので、ご覧ください。



・ 平均寿命は戦後一貫して伸び続けている(男女とも)
・ 男性の平均寿命は、女性よりもつねに短い




・ 平均寿命の男女差は、終戦直後と比べると3年くらい広がっている
・ 1950年代後半~1960年代前半の時期は差がグングン開いた
・ その後、一旦、あまり差が開かない時期があった
・ 1982年からは再びグングン上昇。1990年代は一貫して差が拡大
・ 2003年をピークに少し差が縮まって今に至る


それにしても、ここ最近の差が縮まる傾向は、いったいどういう意味があるのでしょう。

男性の健康の向上によって男女差が縮まったのならばいいわけですが、どうもそういうわけでもないような気がします。
1つの仮説としては、もはや女性の平均寿命が頭打ちになってきているからということが考えられます。

男性・男児の健康と幸福を考える上では、平均寿命の男女差が小さいのが望ましい という考えをすでに述べましたが、これは、「平均寿命の男女差が小さくなること」を目指したいのではなく、「男性・男児の健康の向上と幸福」 を願っているのです。

古来より、男性の身体や生命は、女性の身体や生命に比べて乱暴・粗末に取り扱われてきました。
このことは、現代となってもさほど変わっていないと思います。
もしそうでなければ、これほどまでに平均寿命に男女差が表れることはないのではないかと思うのですが、どうでしょうか。

僕は、男性・男児の生命が(女性・女子と比べて相対的に)軽んじられることのない世界の実現を心から願います。
男性・男児に対して、一律に乱暴・粗末な扱いをすることを許容し、ときには推奨しさえする風潮が薄れていくことを心から願います。
理不尽な暴力や暴言の対象にされ、身体や精神を踏みにじられ、人間としての尊厳を傷つけられ、それでも黙って耐えるしかない男性・男児が1人でも少なくなることを祈ります。
「偶然にして男性に生まれたから」というだけで辛い思いをする人が、1人でも少なくなることを祈っています。
1人でも多くの男性が、心身の健康を保ち、社会的,感情的,物理的および精神的な幸福を手に入れられることを切望します。

今回はこれで終わりとします。
次回と次々回は、厚生労働省の 平成24年簡易生命表の概況 から、〈 年齢別生存数 〉や〈 死因別死亡確率 〉などを取り上げてみようと考えています。

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