自閉症の小児は、脳に余分なシナプスを持つ
Children with autism have extra synapses in brain
コロンビア大学メディカル・センター(CUMC)の研究によれば、自閉症の小児および青年は脳のニューロンを接続するシナプスが過剰であり、この過剰は発達期の正常な脳「刈り込み」プロセスが減速することによる。
幼少期の正常な脳発達では、爆発的なシナプス形成が特に皮質の自閉行動に関係する領域で生じる。刈り込み(pruning)は、青年期後半までにこれらの皮質シナプスのおよそ半分を排除する。
シナプスは自閉症と関連する多くの遺伝子によって影響を及ぼされることが知られている。研究者の何人かは自閉症患者のシナプスが普通より多いかもしれないと仮定した。
この仮説をテストするため、CUMCのGuomei Tang博士は他の原因により死亡した自閉症小児の頭脳を調べた。
Tang博士は脳の一部の皮質ニューロンから分岐するスパイン(spine)の数を計数することによってシナプス密度を測定した(各スパインはシナプスを経て別のニューロンと連結する)。
その結果、小児期の後期までにコントロール群のスパイン密度はおよそ半分低下していたが、自閉症患者の頭脳では16パーセントしか低下していなかった。
刈り込み障害を引き起こした原因の手掛かりも患者の頭脳で発見された。自閉小児の脳細胞は古いかまたは損害を受けた部品で占められており、「オートファジー」という分解経路が非常に低下していた。
研究者は自閉症のマウス・モデルを使用して刈り込み障害の原因を追求し、mTORと呼ばれるタンパク質にたどり着いた。
mTORが過剰に活性化すると、脳は自己貪食(self-eating)する能力の多くを失った。
この能力がないと、マウスの脳は十分に刈り込まれず、シナプスが過剰になった。
学術誌参照:
1.mTOR依存的なマクロオートファジーの減少は、自閉様シナプス刈り込み障害を引き起こす。
Neuron、2014;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/08/140821124730.htm
![](http://images.sciencedaily.com/2014/08/140821124730-large.jpg)
<コメント>
mTORC1はオートファジーを阻害しますが、今回はそれがシナプス刈り込みを障害して自閉症につながるという記事です。
TSC2変異(mTORC1活性化)がてんかんや自閉症を伴う疾患を引き起こすことは以前から知られています。
mTORC1の活性化はアミノ酸に依存的なので、タンパク質が過剰な食生活も自閉症増加の一因になっているのでしょう。