機械翻訳2

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アスピリンはHMGB1を阻害する

2015-10-19 06:55:11 | 免疫
New study provides key insights into aspirin's disease-fighting abilities

October 9, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/10/151009185435.htm

今回の研究ではサリチル酸とHMGB1との相互作用が発見された

通常HMGB1は細胞の核内に存在するが、組織が傷害されたり免疫細胞や癌細胞によって分泌されると血流に入る
血流内のHMGB1は、感染から防御したり傷を修復する免疫細胞をリクルートして炎症を引き起こす
さらに、HMGB1はリクルートされた免疫細胞を活性化させ、サイトカインという炎症性のシグナル伝達タンパク質の遺伝子を発現させる


http://molmed.org/journal/articles/43/1797
Aspirin′s Active Metabolite Salicylic Acid Targets High Mobility Group Box 1 to Modulate Inflammatory Responses

アスピリンはヒトの血漿中でエステラーゼにより急速に脱アセチル化されるため、アスピリンの生物活性の多くはその主な代謝産物であるサリチル酸による

細胞外のHMGB1はdamage-associated molecular pattern molecule (DAMP) であり、多くの酸化還元状態がある
サリチル酸は、還元状態のHMGB1が持つ化学誘因活性を抑制し、
ジスルフィドHMGB1によって誘導される炎症性サイトカイン遺伝子の発現ならびにCOX-2発現の増大も抑制する
 


関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/01/150109084723.htm
皮膚に慢性的な炎症があるマウスではHMGB1が増加する
 

癌の食物供給センサーを発見する

2015-10-19 06:37:43 | 
Identifying cancer's food sensors may help to halt tumor growth

Protein used by tumors to help them detect food supplies could be targeted to restrict cancerous cells' ability to grow

October 5, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/10/151005080113.htm


(結腸直腸癌腫瘍でのPAT4(Bで茶色に染色されている)のレベルの高さは患者の予後の悪さと関連する)

オックスフォード大学の研究者は、食物が供給されているか検出するのを助けるために腫瘍が使うタンパク質を初めて同定した
このタンパク質を標的にすることで癌細胞の増殖能力を制限できる可能性がある


オックスフォード大学の生理学部・解剖学部・遺伝学部の研究チームは、PAT4というタンパク質の影響を理解するために研究を続けている
Deborah Goberdhan博士は言う
「悪性の癌細胞はより多くのPAT4を作り、それによって利用可能な栄養素を周囲の細胞(健康な細胞を含む)よりもうまく使うことが可能になる」

癌細胞はしばしば血液からの栄養供給へのアクセスが限られている
栄養素を感知して獲得する能力は癌細胞が増殖するために重要である

Deborah Goberdhan博士とAdrian Harris教授の研究グループは協力してヒトの組織サンプルでPAT4を染色して強調するための抗体を開発し、結腸直腸癌の患者から提供された匿名の腫瘍サンプルの研究に使用した

染色の結果を患者の転帰と比較したところ、腫瘍でPAT4のレベルが高かった患者は、低かった患者よりも再発して死ぬ可能性が高かった

次に研究者がPAT4レベルを低下させて何が起きるのかを調べると、癌化した腫瘍は増殖が遅くなった

Goberdhan博士は言う
「これらの結果はお互いを支持するものである
高レベルのPAT4が悪い結果を意味するというだけでなく、PAT4レベルを低下させることは状況を改善する
これはつまり我々は癌細胞が好んで使うメカニズムを同定したということであり、
それを組み合わせ治療の一部として標的にできるかもしれないということを意味する」


http://dx.doi.org/10.1038/onc.2015.363
PAT4 levels control amino-acid sensitivity of rapamycin-resistant mTORC1 from the Golgi and affect clinical outcome in colorectal cancer.
結腸直腸癌において、PAT4レベルはラパマイシン抵抗性mTORC1のアミノ酸感受性をゴルジから制御し、臨床的転帰に影響する


Abstract

腫瘍細胞は、栄養欠乏に抵抗して近隣の細胞と競合するための戦略を取ることが可能である

飢餓やその他ストレスへの細胞応答を統合するための重要な因子は、
アミノ酸依存的な機構的ラパマイシン標的複合体1/amino-acid-dependent mechanistic target of rapamycin complex 1 (mTORC1) である

※mTOR: mammalian target of rapamycin

後期エンドソームlate endosomesならびにリソソーム上でのmTORC1の活性化は、
SLC36とSLC38ファミリーのアミノ酸輸送体によって促進される

※SLC: solute-linked carrier


今回我々はSLC36ファミリーの一つであるSLC36A4の結腸直腸癌における機能を分析する
SLC36A4は、PAT4/ proton-assisted amino-acid transporter 4としても知られる

※proton-assistedという名称だが、proton-assistedではない
>Discussion
>Despite its name, when heterologously expressed in Xenopus oocytes, PAT4 can transport amino acids via a non-proton-coupled mechanism.

※グルタミンとセリンはPAT4に結合するが、輸送はされない
>It appears to have a very high substrate affinity, but low capacity, for proline and tryptophan.37
>Several other amino acids, including glutamine and serine, bind with lower affinity, and can compete with high-affinity PAT4 substrates, although they may not be transported.


我々はPAT4の発現の高さが他の主な病理学的な要因から独立して術後の無再発生存/relapse-free survivalの低下と関連することを示す
このことと一致して、PAT4はHCT116ヒト結腸直腸癌細胞の培養での増殖を促進し、異種移植モデルにおいて腫瘍の増殖を促す


HCT116細胞での誘導ノックダウン/inducible knockdownにより、PAT4は2つの性質を持つタイプのmTORC1を調節することが明らかになった
その1つは真核細胞の翻訳開始因子である4E結合タンパク質1/4E-BP1を優先的にpreferentially標的にして、ラパマイシン投与に抵抗性である


さらに、HCT116細胞では2つの非必須アミノ酸であるグルタミンとセリンが、PAT4依存的なやり方でラパマイシン抵抗性mTORC1を調節する(グルタミンとセリンはしばしば腫瘍細胞で急速に代謝される)

PAT4の過剰発現は、ヒト胎児由来腎臓細胞/human embryonic kidneyのHEK293細胞においてラパマイシン抵抗性を促進することも可能である

PAT4は様々な細胞タイプで主にゴルジ装置に局在する
in situ proximity ligation分析により、PAT4はmTORC1ならびにその調節因子であるRab1Aとゴルジ上で相互作用することを示す

※in situ proximity ligation assay (PLA): タンパク質同士の相互作用を抗体を使ってin situで検出する
>We used the proximity ligation assay (PLA), which detects specific protein–protein interactions in situ, when antibodies recognising these molecules are in close proximity.33
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17072308
http://www.sigmaaldrich.com/japan/lifescience/proteomics/duolink.html


これらの発見は他の研究とともに、
細胞内で異なって局在するアミノ酸輸送体が、2種類のmTORC1の代わる代わるalternateの活性化に寄与することを示唆する

さらに我々のデータは、
PAT4の発現が高い結腸直腸癌細胞のセリン・グルタミンの欠乏に対するより強い抵抗性を予測する
それにより癌細胞は生き残り、隣の正常な細胞ならびに腫瘍形成性の細胞よりも早く成長することができる
そして潜在的に薬理学的介入の新たな道を提供する可能性がある



Introduction

mTORのアロステリックな阻害剤、例えばラパマイシンやそのアナログを使った腫瘍増殖を阻害しようという試みは、あまり成功していない(5
それらmTOR阻害剤は、mTORC1の2つの標的の1つであるS6K1のシグナルは強く抑制するが、もう1つの標的である4E-BP1に対する効果は限定的だった
4E-BP1は翻訳開始因子のeIF4Eを負に調節し(6, 7、eIF4Eは転移的増殖に関与する(8, 9

このようなラパマイシンへの抵抗性は
ATP競合的mTOR阻害剤によって回避可能な時がありcan sometimes be circumvented(5, 6, 7、この阻害剤はmTORC2も阻害する

にもかかわらず、
mTOR構造の変化またはmTORの調節因子がどのようにしてラパマイシン感受性を調整するのかは、少なからず興味深い問題のままだったremains of considerable interest



『プロトンにより補助されるアミノ酸輸送体/proton-assisted amino-acid transporter (PAT)』のメンバー、
SLC36ファミリー11は、
ショウジョウバエでのin vivoの遺伝子過剰発現スクリーニングにより、
mTORC1シグナル伝達の正の調節因子として同定された(12, 13

これらの影響は、ヒトでユビキタスubiquitouslyに転写されている2つのヒトPATs、PAT1 (SLC36A1) とPAT4 (SLC36A4) の特徴付けによって保存されていることが示された (14
原型となるPATファミリーメンバーのPAT1は、リソソームのアミノ酸輸送体/AATである

急速に増殖する細胞において
それは/PATは、栄養が豊富な後期エンドソーム/LEならびにリソソーム/L(LEL)コンパートメントの表面に局在し(13、
そこでアミノ酸の刺激に応じてmTORが蓄積する

mTOCのリクルートには、複数のタンパク質からなる複合体の組み立てが必要である
(Raptor, a heterodimeric pair of Ras-related Rag GTPases, the pentameric Ragulator, the vacuolar-H+-ATPase proton pump at the compartment surface)
PAT1もこの複合体と相互作用してmTORをLEL上へ局在させ、mTORC1シグナル伝達を促進する
PATsによるアミノ酸の感知は輸送またはシグナル伝達を含み、それはいわゆる『輸送受容体/transceptor』というメカニズムによる(4, 13, 17


最近の研究で、
同類のSLC38ファミリーAATであるSLC38A9がLELs上でmTORC1の調節機構と相互作用し、
それはおそらくアルギニンへの応答において起きる可能性があることが同定された(18, 19
このことは
LELに局在してmTORC1を調節する様々なAATsが存在して異なるアミノ酸を感知している可能性を示唆する

さらに、
ゴルジに局在するRab1A (20
ADPリボシル化因子のArf1 (21
ホスホリパーゼ (22, 23
のような分子が
Ragとは独立したmTORC1活性化の調節因子regulatorsとして同定され、
他のアミノ酸を感知するメカニズムがまだこれから発見されることが示唆されるremain to be discovered



今回我々はPAT4の機能を結腸直腸癌で調査した
結腸直腸癌はしばしばラパマイシン抵抗性で(6、転移性であり、臨床的帰結に深刻な影響を与える(24, 25
我々はPAT4の上方調節が癌の進行と関連することを示す
HCT116結腸直腸癌細胞を使ったinducibleなPAT4のshRNAノックダウンの実験により
PAT4は、急速に代謝される2つの非必須アミノ酸であるグルタミンとセリンに反応して(26, 27、
 ラパマイシン抵抗性
 ならびに
 mTORC1による細胞増殖
を強く促進することを発見した

さらに、我々はPAT4がRab1AならびにmTORC1とゴルジ上で相互作用するというエビデンスを提供する
これは、このコンパートメント由来のfrom compartmentアミノ酸感知における役割を示唆する



Results

PAT4依存的なラパマイシン抵抗性mTORC1のグルタミン・セリンへの感度sensitivity

PATsがアミノ酸依存的なmTORC1の活性化に関与するので、我々は
ラパマイシン抵抗性mTORC1を調節する特定のアミノ酸のレベルをPAT4が感知するという
仮説を立てた

我々はHCT116細胞を特定のアミノ酸だけ飢えさせ、その中にはHCT116の増殖にとって必要な2つの非必須アミノ酸が含まれた
非必須アミノ酸のセリンは解糖系へと転用されdiverted into glycolysis、
グルタミンはグルタミノリシス経由でHCT116細胞を含めた癌細胞のTCA回路/クエン酸回路に燃料を供給する26, 27, 31

2つのアミノ酸のどちらかを4時間以上減らすと、
他のどんな必須アミノ酸よりも強い阻害効果が4E-BP1過剰リン酸化に対して生じた (Figure 6a)


グルタミンまたはセリンの飢餓と、ラパマイシン投与とを組み合わせると、
どちらか単独よりも4E-BP1過剰リン酸化に対して強い影響が生じた (Figures 6d and e)
この結果は、これらのアミノ酸が『PAT4によって調節されるラパマイシン抵抗性mTORC1』によって感知されるという我々の結論を支持する



Discussion

mTORC1阻害剤への抵抗性は、基質標的箇所のin vitroでの異なるdifferential感受性によって部分的には説明されるが(34、
癌細胞には異なるdifferent mTORC1複合体が存在するというエビデンスが増えつつある20, 21, 22, 23, 35
このことがラパマイシンのような薬剤への癌細胞の感受性を変化させる可能性がある

今回の研究で我々は、HCT116細胞においてPAT4がラパマイシン抵抗性mTORC1を調節し、HEK-293細胞でPAT4を過剰発現させるとラパマイシン抵抗性を誘導できることを実証した

PAT4とラパマイシン抵抗性mTORC1は、in vitroでの通常の細胞増殖にも必須である
さらに、PAT4の発現レベルは結腸直腸癌の再発の早さを予測するが、これは腫瘍のより悪性な表現型の獲得における病態生理学的なPAT4の役割を示唆する

我々の研究結果はラパマイシン抵抗性mTORC1とラパマイシン感受性mTORC1という2つの形態が独立して制御されるというモデルを支持し、これら2つのシグナル伝達の機能を分離する新たな遺伝学的ツールgenetic toolを提供する (Figure 9)



Figure 9
HCT116細胞におけるラパマイシン感受性mTORC1とラパマイシン抵抗性mTORC1の概念図schematic diagrams

図の矢印→は正のシグナル、クロスバー┤は阻害性シグナルのイベントを示す

S6Kと4E-BP1(真核生物翻訳開始因子1/eIF4Eの負の調節因子)は、mTORC1の下流で最も特徴付けられたcharacterised標的である


ラパマイシンはS6Kのリン酸化を強く阻害するが、4E-BP1のγ-バンド、つまり4E-BP1のセリン65リン酸化に対する影響は弱い
よりリン酸化されていない(セリン65がリン酸化されていない)4E-BP1はeIF4Eに結合し、その結果、翻訳は抑制される(8

PAT4活性の減少は、ラパマイシン抵抗性のmTORC1に主に影響する
これはセリン65がリン酸化された4E-BP1の減少につながるが、S6Kのリン酸化への影響はより少ない

SLC36(PAT)の他のアミノ酸輸送体(AAT)と/またはSLC38ファミリーは(例えばPAT1とSLC38A9)、ラパマイシン感受性のmTORC1の調節に関与しているようだlikely

PP242はmTORC1のATPキナーゼ阻害剤であり、ラパマイシン感受性とラパマイシン抵抗性という両方のmTORC1に作用する



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/01/150107131339.htm
mTORC1の活性化は、リソソーム膜のSLC38A9輸送体によるアルギニンの輸送による