暑中
夜明け前、
久しぶりに実家に帰ると、母が得意満面でリフォームした家の説明をしてくれる。
特にエスカレーターは、
「そんじょそこらにあるエスカレーター」でなく、
特別に考え抜いたエスカレーターだから、きっとびっくりするだろうが、それはそれは、素晴らしいエスカレーターだから、心して乗るように。と
言いたてる。
まいったね、こりゃ。
母親という人種は、とりつかれたように各方向に熱心なのが、
まぁそれはそれで、よろしいんだけれど
それでないと、世界は回っていかないし
地球の平和も、少子化問題も、晩御飯、なに食べたい?も
解決しないのだろうけれど。
なんかね、
疲れるよなぁ。などと
心中、呑気にぼやきつつ
襖を開ける。
えー、
なんというか、
下りのエスカレーターであります。
一階の、座敷。
大広間になっている。
地下に居住空間があるらしい。
そこに移動するための、「エスカレーター」……
主に、下り専用のもよう。
襖一枚おきくらいに、
洋服は洋服用エスカレーター
食品は食品用のエスカレーター
履き物はこちらのエスカレーター、などと
5種類ほども入り口があり、分別した上で、
それに乗せてしまう。
自ずと、
収まるべきところに収納できる優れもの。
荷物は、ベルトコンベヤーに乗り、粛々と下の階に運ばれた。
さて、自分は人間専用ってことか。
人間用の襖を開ける。
なんだこれ?
ちっともエスカレーターじゃないやん。
只の……滑り台じゃございませんか?と、
抗議するも、母親には敵わず
敷居を外して、
敷居の下にぽっかり空いた、穴の中に身体を潜りこませます。
あ、
襖と敷居は戻すように!
と叱られて、四苦八苦。
ようやく
滑り……出したが、つっかえる。
動かない。
真っ暗な穴の中で、お腹がつかえて苦しいの。
万歳の姿勢のまま身動きならず
それでも
うねうねと、無駄にもがくが
ますます、穴は細くなる。
夕御飯、
豚肉の味噌炒めで、白いご飯がもりもり入って
葉唐辛子とちりめんじゃこの炊いたんと、大根の千六本と青胡瓜の細ぎりのサラダが
また、
う、旨かったって思い出すが
あ、
寝る前に、米粉のロールケーキ。
最近のお気に入り。
食べすぎたことを後悔するが、先にたたず。
あとの祭り。
……「オーティス吉田とあとの祭り」あったな。
高校生バンド「ハッピー田中とパンティ泥棒」……
何を考えてるんだか、男子。
かれこれ、40年ほども昔。
あぁ、
若者は今も昔も若者であることよのぉ。
と思い出を辿ると、空に浮かんでいる。
空に浮かんでいるのは、お手のもの。
ほぼ夢を見ているとき、自分は空に浮かんでいる。
そして、
後はひたすら落ちないように、もがくだけ。
失速して落ちてしまったら忘れてしまうから、
「エスカレーター」
「ラッキー」……と、覚える。
その後も、長く……実際は短いのだろうけれど……空中をもがき続けて、ガクンって落ちて嫌ぁな目覚め。
なかなか、夢みごこちというわけには、いかない。
夕方に夕立の中、
Amazonで頼んでいたのが届く。
フジモトマサルの「夢みごこち」
極上の夢が、ぎっしり詰まっていて「夢」のような至福をたっぷり味わう。
さて、夢を見ているわたしを、忘れてしまわない目覚め方を研究するために、今夜も横になろう。
眠りこけたら、そんなことなんか忘れてしまって、眠りこけるんだが、それも幸せ。
フジモトマサルさんの、公式WEBサイトの「回文新聞しんぶんし」と「給水塔占い」がおもしろい。
夜明け前、
久しぶりに実家に帰ると、母が得意満面でリフォームした家の説明をしてくれる。
特にエスカレーターは、
「そんじょそこらにあるエスカレーター」でなく、
特別に考え抜いたエスカレーターだから、きっとびっくりするだろうが、それはそれは、素晴らしいエスカレーターだから、心して乗るように。と
言いたてる。
まいったね、こりゃ。
母親という人種は、とりつかれたように各方向に熱心なのが、
まぁそれはそれで、よろしいんだけれど
それでないと、世界は回っていかないし
地球の平和も、少子化問題も、晩御飯、なに食べたい?も
解決しないのだろうけれど。
なんかね、
疲れるよなぁ。などと
心中、呑気にぼやきつつ
襖を開ける。
えー、
なんというか、
下りのエスカレーターであります。
一階の、座敷。
大広間になっている。
地下に居住空間があるらしい。
そこに移動するための、「エスカレーター」……
主に、下り専用のもよう。
襖一枚おきくらいに、
洋服は洋服用エスカレーター
食品は食品用のエスカレーター
履き物はこちらのエスカレーター、などと
5種類ほども入り口があり、分別した上で、
それに乗せてしまう。
自ずと、
収まるべきところに収納できる優れもの。
荷物は、ベルトコンベヤーに乗り、粛々と下の階に運ばれた。
さて、自分は人間専用ってことか。
人間用の襖を開ける。
なんだこれ?
ちっともエスカレーターじゃないやん。
只の……滑り台じゃございませんか?と、
抗議するも、母親には敵わず
敷居を外して、
敷居の下にぽっかり空いた、穴の中に身体を潜りこませます。
あ、
襖と敷居は戻すように!
と叱られて、四苦八苦。
ようやく
滑り……出したが、つっかえる。
動かない。
真っ暗な穴の中で、お腹がつかえて苦しいの。
万歳の姿勢のまま身動きならず
それでも
うねうねと、無駄にもがくが
ますます、穴は細くなる。
夕御飯、
豚肉の味噌炒めで、白いご飯がもりもり入って
葉唐辛子とちりめんじゃこの炊いたんと、大根の千六本と青胡瓜の細ぎりのサラダが
また、
う、旨かったって思い出すが
あ、
寝る前に、米粉のロールケーキ。
最近のお気に入り。
食べすぎたことを後悔するが、先にたたず。
あとの祭り。
……「オーティス吉田とあとの祭り」あったな。
高校生バンド「ハッピー田中とパンティ泥棒」……
何を考えてるんだか、男子。
かれこれ、40年ほども昔。
あぁ、
若者は今も昔も若者であることよのぉ。
と思い出を辿ると、空に浮かんでいる。
空に浮かんでいるのは、お手のもの。
ほぼ夢を見ているとき、自分は空に浮かんでいる。
そして、
後はひたすら落ちないように、もがくだけ。
失速して落ちてしまったら忘れてしまうから、
「エスカレーター」
「ラッキー」……と、覚える。
その後も、長く……実際は短いのだろうけれど……空中をもがき続けて、ガクンって落ちて嫌ぁな目覚め。
なかなか、夢みごこちというわけには、いかない。
夕方に夕立の中、
Amazonで頼んでいたのが届く。
フジモトマサルの「夢みごこち」
極上の夢が、ぎっしり詰まっていて「夢」のような至福をたっぷり味わう。
さて、夢を見ているわたしを、忘れてしまわない目覚め方を研究するために、今夜も横になろう。
眠りこけたら、そんなことなんか忘れてしまって、眠りこけるんだが、それも幸せ。
フジモトマサルさんの、公式WEBサイトの「回文新聞しんぶんし」と「給水塔占い」がおもしろい。