例年、8月はハイキングはお休み。 それでも毎夕家からの近場5キロ程度のウォーキングはしていたが、
今年の猛暑はそれさえも遮っている。 体が鈍るというよりカビが生えそうだ。
24日、思い切って奈良国立博物館へ「源信 地獄・極楽への扉」を見にいって来た。
たいそうな人気で入場制限があり、この炎天下行列ができるらしい。 行列をしてまでとは思いつつ奈良へ。
昨今の外人観光客の増加で奈良の街並みも一変している。
駅の観光案内所の看板も英語と中国語・韓国語併記、街中の看板もなんとモダンなものに。
当然、商店街も英語・中国・韓国語がひしめいている。
奈良公園に遊ぶ人の8割かた外国人である。
野生のシカと戯れる、海外のひとには世界遺産の東大寺よりも印象が強かったのではなかろうか。
時間が12時ごろなのが幸いしたか、待たずに入館できる。
展示物の中心は源信僧都の「往来要集」(極楽へ行くためのノウハウ書)、要集をもとに描かれたと
いう地獄(六道絵)・極楽(曼荼羅絵)。
閻魔大王の裁きで、生前の行いにともない六道(天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道)
に振り分けられる。 地獄絵のすごいこと、すざましいこと。 口を無理やり開けさせられて、灼熱
の鉄の塊を突っ込まれるんだから。
天国の素晴らしいこと。 寝たい時に寝、望むときにご馳走を。阿弥陀仏の有り難い
お説法を拝聴して、「ごくらく ゴクラク」。
天国と地獄の扉を前にして、来し方を悔やんでももう遅い。
源信は「一心に仏を想い念仏の行を行えば、六道の上位にランクアップできる」と
説いた。 ちなみにご本人は死ぬ際に弟子たちに告げたそうな。「天道までは行け
なんだ」。
帰途、話題の猿沢池の「池床」に寄った。 京都の川床にちなんでの命名であるが
なんともしょぼい。
鴨川の清流の河畔であってこそ、貴船の渓流の上であってこそ夏の風物詩になるのだ。
もっとも「澄まず、濁らず、出ず、入らず」の不可思議な猿沢の池、何かしらの霊験があるかもね。
閑話二題
猿沢の池に行く道路の「道端商店街」はシャッター通りになっていた。 時代に取り残されたか。
「鹿せんべい」をくれる観光客にはすり寄らず、芝草を漁る一匹鹿。