俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

繊細な人

2008-04-22 16:18:28 | Weblog
 最近、鬱病で仕事を休む人が増えているそうだ。民間企業だけではなく公務員にも多いらしい。
 精神の病を患う人はそれだけ繊細なのだろうか。そんなことはない。ただ単に「弱い」だけのことが多い。箸より重い物を持たない人が金槌を持てないようなものだ。
 傷つき易いという特徴が同じでも、弱さと繊細さは区別されねばならない。弱い人はそれまで過保護に育ってきたために耐えることを知らない。丁度、注射を怖がって泣き叫ぶ子供のようなものだ。
 「弱い人」の特徴は自分に対する過敏さと他人に対する鈍感さといったアンバランス性に現れる。彼らは自分に対する攻撃には過剰に反応するが他人の状況には驚くほど鈍感だ。自分に対して敏感なだけで他人に対しては鈍感な人は「繊細な人」とは言えない。単に「わがままな人」と呼んでも差し支えなかろう。
 一方、繊細でありながら平常心を保ち続ける人がいる。ずっと繊細であり続けた結果、精神的にタフになったのだろう。こんな人は自分の傷みにも他人の傷みにも敏感なので、その結果として気配りができる「優しい人」になる。近頃の若者に流行りの「他人に無関心な優しさ」とは全く異なった優しさだ。

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