俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

倫理の起源

2011-05-31 13:32:06 | Weblog
 倫理の起源は少なくとも5種類ある。
 ①権力者は自らの支配を安定させる類の性質を被支配者に求める。従順で秩序を守り滅私奉公に励み自己犠牲を厭わぬ者が彼らにとって都合が良い。社会であれ企業であれ権力者はこの方向に被支配者を馴養しようとする。そのため彼らの説く倫理は非常に胡散臭い。
 ②集団は自分達の利益を正義と主張する。そのことは企業であれ組合であれ訴訟集団であれ家族であれ大差は無い。自分達の利益に適うことこそ正義の執行であり利益に背くものを悪と規定する。
 ③市民は良い関係を継続できる性質を善と考える。盗んだり騙したりする人と良好な関係を保つことはできない。逆に他者の気持ちを慮れる人を善良と評価する。
 ④ロビンソン・クルーソーのような一人で生きる人であろうとも善悪の基準はある。善悪は他者との関係に依存するとは限らない。一人で生きる人であろうともその場限りの快不快が総てではない。自分を改良するものは善であり劣化させるものは悪である。従って向上や健康増進を善いことと評価する。
 ⑤最後に①~⑤とは別の次元だが慣習に基づく倫理がある。親を含む周囲によって植え付けられた倫理でありこれは上記の4つの倫理の亡霊に過ぎない。
 倫理はこのように5重構造になっている。そのために一貫性を欠きしばしば相矛盾する。私は①②⑤を否定し、③と④を肯定する。

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