ヤングライオン通信

ocnブログから引っ越してきました。

2016 映画まとめ

2016-12-31 23:37:53 | 映画
今、このブログを書いている時点で2016年も残り30分を切った。

「笑ってはいけない…」をビデオで録り、テレビではNHKで「紅白裏トークチャンネル」をつけたまま、タブレットではAbemaTVで「ももクロ年越しLIVE」、スマホのアプリでTBSラジオを同時に視聴して、手はキーボードを叩いている。

頭がパンクしそうだ。


さて。

今年は回数として39回、本数としては35本の映画を観ることができた。

あらためて今年私がお世話になった映画たちをご紹介して簡単に総括してみたい。


私がつけた点数の高い順に並べてみた。(カッコ内は劇場で観た回数)


91点 ズートピア
90点 ハドソン川の奇跡
    ドント・ブリーズ
86点 この世界の片隅に(2)
84点 シン・ゴジラ(3)
83点 スター・トレック BEYOND
82点 ちはやふる 上の句
    ルーム
81点 ロクヨン 前篇
80点 白鯨との闘い
    デッドプール
79点 ブリッジ・オブ・スパイ
    アイアムアヒーロー
    君の名は。
    ファンタスティック・ビースト
    マダム・フローレンス 夢見るふたり
78点 オデッセイ
    レッド・タートル ある島の物語
77点 映画 聲の形
76点 ザ・ウォーク
    スポットライト 世紀のスクープ
    ゴースト・バスターズ
74点 ちはやふる 下の句
    ヒメアノ~ル
73点 コウノトリ大作戦
72点 マネー・ショート
    日本で一番悪いやつら
    ローグ・ワン スター・ウォーズ・ヒストリー
71点 シビル・ウォー キャプテン・アメリカ
    リリーのすべて
    ファインディング・ドリー
67点 ロクヨン 後編
62点 ディバイナー 戦禍に光を求めて
59点 アーロと少年
58点 SCHOOP!


私が点数をつける時、明確な基準はない。
「うん、面白い!友達に薦めてもいい!」と思うラインが75点で区切ってあり、そのラインからどのくらい良いか(悪いか)の距離感で点数は決めている。

だから、例えば76点の作品と77点の作品に明確な差がある訳ではないし、逆に、観た直後のテンションで付けた点数なので、今冷静に思えば高過ぎ・低過ぎな点数もあるのだが、こうして並べてみると絶妙にしっくりくるのが我ながら面白いと思っていたりする。

上位5本は、作品としての出来以上に私の「好き度」が乗っかっている。
85点以上の作品は「絶対観るべき!」と思うし、65点以下の作品は、私が「あまり好きではない」と感じた映画。

私はテレビやラジオでその映画のレビューや評論が出回る前になるべく観ようと思うし、観るまでは極力そういったものには触れないようにしている。
根が単純なので、他人の意見に影響されてしまうからだ。

皆さんの評価とは違っているだろうか。


ご自宅でDVDやデジタル配信で観るのともまた趣が変わって来ることだろう。
私は部屋で映画を観ることが非常に苦手だということもあるが、劇場での観賞を大事にしたいと思っている1人だ。

もちろんお住まいの場所やご家族の問題、予算や仕事などの都合を含め、「その内DVDになるんでしょ?それまで待つよ。」という姿勢を否定はしないが、それが慢性的になることで結果的に映画という産業を殺すと思っているからだ。



さあ、上記のリストを見てお分かりの通り今年もたくさんの面白い映画に出会えたことに感謝している。

来年も楽しみな映画が次々と劇場公開を待っている。


今からワクワクを抑えることができない。


今年も長々とつたない文章におつきあい頂きありがとうございました。

また来年もよろしくお願いいたします。










ローグ・ワン スター・ウォーズ・ヒストリー

2016-12-23 11:40:04 | 映画
冬休みに入る前に、人気作は観に行っておかねば。

平日のレイトショーにて鑑賞。


チケット売り場に大きなボードが出ていた。

「当館は2017年2月28日をもって閉館させていただきます」


嗚呼。とうとうこの時が来たか。
私がいつも利用しているシネコンは3館あるが、そのうち2館は近い場所にある。
その片方のシネコンはショッピングモールに併設されており、革張りシートなど設備も比較的良い。

今回閉館が決まったこのシネコンの客数が年々減っているのは明らかだった。

残念でならない。



この冬一番の話題作。
入場してみると一番大きなシアターで観客はおじさんばかり5名ほど。

これでは閉館も納得せざるを得ない。





ジン・アーソ(フェリシティ・ジョーンズ)は帝国軍が建造している巨大破壊兵器「デス・スター」を開発した科学者ゲイレン・アーソ(マッツ・ミケルセン)の娘。

両親を奪われ、心に傷を負って成長した彼女だったが、帝国軍に一矢報いたい反乱軍は、開発担当者の娘である彼女の存在を知り、利用しようと接近する。

一方、帝国の逃亡者から「デス・スターには構造上決定的な弱点を仕込んでおいた」という父からのメッセージを受け取ったジンは、反乱軍と共にデス・スターの設計図を奪うミッションに参加することを決意する。






帝国軍が全宇宙を支配下に置くために建造していた「デス・スター」。

劇場公開作としては1作目となった「episode4」で、味方が盗み出してR2-D2に託したこの設計図を手に入れた反乱軍と主人公たちがデススターを破壊するまでを描いている訳だが、今回の「ローグ・ワン」はその直前、設計図を盗み出すまでの物語を描いている。


「あのepisode4」の「あの人物」が「あのデス・スター」の設計図を手に入れるまでのお話。
「あのロボット」も「あの兵器」も「あの悪役」も総登場!

…ということになる。


率直に言って、「あの」の部分が分からなければ…最低でもepisode4は観ておかないとこの作品で示された物語の大部分はつかめないと思うし、「あのepisode4」がエンターテイメントとして比較的明るいストーリーだった分、この前日譚の悲劇性がより際立って伝わるということでもある。

昨年公開の「episode7」と同様、今回のスピンオフにもさらに細かい「あの」が無数に散りばめられている。
特にepisode4からepisode6の3本に登場したロボットや生物、両軍の各星系での制服や兵器が一本の作品で見られるのは、確かにスター・ウォーズ好きの心をくすぐってくれる。

青い空・青い海・白い砂浜をバックに展開する空中戦など、これまで見ることのできなかったシーンも多い。


ただしこの映画。

ストーリーがどうにも退屈なのだ。


特に前半のダラダラ感。
そして全体に流れる人物描写の歯痒さ。

中でも主人公のジン。
心を閉ざしているというキャラクターなのは分かるが、反乱軍と合流してパイロットであるキャシアン(ディエゴ・ルナ)と心が近づいていく過程にしても、その彼女の成長や葛藤といった心の変化がきちんと場面として説明されていないので、どうにも彼女に感情移入できなかった。



チアルート・イムウェ(ドニー・イェン)など、初の東洋人で強烈なメインキャラクターを出しておきながら、どうにも上手くストーリーに馴染まないままエンディングを迎えてしまう。

ちなみに、彼の棒術は素晴らしかった。
今まで、ジェダイやシスは剣タイプや薙刀タイプのライトセイバーでの対決を見所にしていた割りに、剣術の体技がメチャクチャだったのは気になっていたが、今回のアクションはお見事だった。



スター・ウォーズの主人公は、そもそも「選ばれし者たち」が多い。

そんな彼らの大活躍の背後に「名もなき人々」の努力や犠牲があることを描こうとしたことは評価するが、結局「どうやってepisode4以降に繋がるか」という点ばかりが意識されていて、この作品に登場する人々の物語になっていないため、1本の独立した映画としては不満の残るものに感じてしまった。


残念。



オススメ度:72点








マダム・フローレンス! 夢見るふたり

2016-12-21 20:35:16 | 映画
順番が前後したが、こちらを2週間ほど前に観賞した。

正直に言うと、「ドント・ブリーズ」の公開週を間違えて1週間早く映画館に行ってしまったため、時間が合ったこの作品にたまたま入ったという感じ。
(私のプライドにかけて言えば、間違いなく某サイトに掲げられたその日の上映スケジュールには「ドント・ブリーズ」の名前とこの上映時間が掲載されていたのだが。)

平日夜の上映回。
観客は少ない。





第二次世界大戦時のニューヨーク。
父親の多額の遺産を相続し、社交界でも有名だったマダム・フローレンス(メリル・ストリープ)は、ある日突然ソプラノ歌手になることを決意する。
優秀な講師を雇ってレッスンを積み、舞台に立つ彼女だったが、彼女には歌の才能が決定的に欠落していた。

高額の報酬で夫のシンクレア(ヒュー・グラント)に雇われていた講師達は、我が身可愛さに本当のことは言えずにいたのだ。

笑いを堪え切れない観客たちを目の前にしても、自分の才能にまったく疑いをもたないフローレンス。
さらにシンクレアはマスコミまでを買収をし、評価を書き替えていく。

自主制作で発表したレコードもまたたく間に話題となり、ついに彼女はあの「カーネギーホール」でのコンサートを企画する。





ニューヨークに実在した大富豪「フローレンス・フォスター・ジェンキンス」が、実際に音楽の殿堂カーネギーホールでコンサートを行うまでを描いたドラマ。

素人ながらに、「歌が下手」という演出はなかなか難しいのではないかと思う。
むしろ、メリル・ストリープって天才的に歌の上手い女優だという事を考えれば、あの外れた音はおそらく指定された通りの外し方なのだろう。



とは言え、我々のイメージする「歌が下手」の音程が全く取れないというのとはちょっと種類が違うということと、使われている楽曲に馴染みがないことがあいまって、「これ、下手…なの?」というシーンも多い。

ただ、この作品で描かれたのはそういう彼女の滑稽な姿ではない。

確かにコメディ映画ではあるし、見方によっては(後半で登場する記者が言う)「金持ちが道楽のために芸術を冒涜している」様にも見える。
身体の弱い彼女を様々な手を使ってに支える夫シンクレアも、彼女が寝た後は愛人との逢瀬を重ね、彼女の莫大な財産が目当てであるかの様にも見える。

しかし、明確に彼女は言わないが、身の周りで徹底的に隠された様々なウソに本当に気付いていなかったのか。
彼女自身が感じている孤独を表現するシーンや、彼女を見守るシンクレアの表情など、表面的に描かれたコメディの部分の後ろにそこはかとない愛情と切なさが見え隠れする。

そして、ニューヨークの華やかな社交界の遥か彼方で、時を同じくして確実に行われている戦争という殺し合いが、この盛大な茶番劇をさらに滑稽に見せてもいる。



ふんわりとじんわりと味わってみる映画というのも、やはり良いものだ。




オススメ度:79点




ドント・ブリーズ

2016-12-18 20:53:57 | 映画

風邪をひいてしまい、体調がとても悪い。

発病から一週間が経とうとしているが、未だに鼻水が止まらない。



そんな中、先日「マダム・フローレンス!夢見るふたり」を観たのだが、体調の悪さでブログが上げられないまま今日を迎えた。

そして今日、「ドント・ブリーズ」を鑑賞。


こちらの感想を一刻も早く書きたいので、「マダム・フローレンス」は後日書くことにする。


「ドント・ブリーズ」は公開から3日目。

公開館数は少ないようだが、幸運にも近所の映画館で上映してくれた。

日曜の夕方の上映回。
満席とはいかないが、結構な客の入りで、若いカップルが多い様子。





デトロイトに住む主人公ロッキー(ジェーン・レヴィ)は、ボーイフレンドのマニー、アレックスと手を組んで、金持ちの家を狙った空き巣を繰り返していた。

そんな彼らの元に、町はずれに住む軍を退役した老人が、娘を事故で亡くして多額の示談金を手に入れたらしいという情報が入って来る。

マニーが調べてみると、その老人は戦争で視力を失い、独りで一軒家に住んでいるらしい。
周りは皆空き家になっており、恰好の獲物だと判断した彼らは老人が寝静まったであろう深夜に、その家への侵入を企てる。

予想した以上にドアや窓が厳重に施錠されているのを見て、現金の存在を確信する3人。

しかし、この家の主である盲目の老人は、とんでもない人物だった。






いやいやいや。
今年も終わろうかという時期に、とんでもない作品に出会わせてもらった。

私は映画が終わって、小さくつぶやいた。

「まいったぁーーー!」


ゾクゾクとドキドキとワクワクとブルブルがずっと観客の身体を支配する90分。


デトロイトという、今では荒廃してしまった街で、貧困にあえぐ若者。
しかし「金欲しさ」という身勝手な彼らに同情の余地はない。
静かに暮らすこの老人はあくまで被害者であるはずが、忍び込んで数分もすると、恐怖におののき逃げ惑っているのは若者たちの方だった。


暗い一軒家の中で繰り広げられる密室劇の閉塞した息苦しさがある一方で、老人とこの家の持つ、どこまで落ちても底の見えない本当の闇。





タイトルにある通り、老人の恐ろしさを感じ取った彼らは気づかれぬ様、息を殺す。

暗闇と沈黙が空間を支配する。

気付くと、我々の客席はその延長上にあった。
スクリーンの前に座る我々はまさにこの「暗闇と沈黙」の世界の住人だ。

間違いなく、ここに居合わせた相当な人数の観客が全員「今、私も音を立ててはいけない」と思っていた。

その証拠に、不自然なほどに物音ひとつ、咳払いひとつ起きない場内。
何の音もない時に耳の中で感じる、静かな「イーーーン」という音だけが聞こえる。

この感覚は、お客さんの入っていない劇場では感じることができなかっただろう。

こんな体験は生まれて初めてかもしれない。





このストーリーや演出、アイディアが全て初めて体験したモノかというと、決してそういう事ではない。
それでも、登場するキャラクターや小道具などの全てが憎たらしいほどに上手く物語に貢献していて、次から次へと起きる展開がまったく我々を飽きさせない。



物語の後半。

あの巨大なスポイトからゆっくりと滴り落ちる「アレ」のなんと恐ろしいことか。
我々には馴染み深いはずなのに(笑)。


サイコホラーであり、クライムサスペンスであり、アクション映画でもある。

とにかく最高に恐ろしく、最高に興奮する作品。


オススメ度:90点



もちろん、こういう映画が苦手な方にはオススメしませんが。