ヤングライオン通信

ocnブログから引っ越してきました。

紙の月

2014-11-21 01:51:23 | 映画
久しぶりのレビュー。


以前のブログサイトが閉鎖に伴い、このレビューもやめてしまおうかと考えたが、やはり好きな映画は誰かに伝えたいし残してもおきたい。

ということでこちらへお引越し。

そのきっかけになったのが今回の作品『紙の月』である。





主人公梅澤梨花(宮沢りえ)は、顧客にも評判が良く上司からの評価も高い優秀な銀行員。夫婦生活にも問題はないものの、その中に小さな引っ掛かりを感じてはいた。

ある日、集金帰りに立ち寄った化粧品店で持ち合わせが足りず、梨花は集金した袋から1万円を拝借して支払いを済ませる。すぐに銀行で下ろしてお金は戻したものの、これがすべての始まりだった。




監督は「桐島部活やめるってよ」の吉田大八。

この作品が私のお気に入りなので、今回もかなり期待して臨んだ。


しかし、そのハードルを遥かに超える出来栄えにびっくり。

正直なところ、万人受けする作品とは思わない。前作が高校生のリアルだっただけに、今回の40代前後のリアルがどう受け止められるかは疑問だが、好きになる方は多いことだろう。


多少のネタバレになるが、梨花は顧客宅で出会った大学生光太(池松壮亮)との不倫にのめり込み、この後巨額の横領に手を染めることになる。
転がりだした嘘は止めることができない。自分で自分の首を絞め、袋小路へ突っ込んでいく。

正直なところ、梨花がどんどんエスカレートしていく様を私自身は「もう観ていられないよ。」と思っていた。

しかし、それもこの作品の罠だった。

当然、追い詰められていく彼女。

そして、ラストに彼女がとる行動とは。




まずはキャストが素晴らしい。

小林聡美・池松壮亮・大島優子・田辺誠一…

全員が最高。


何より宮沢りえ。

美しく・もろく・強い。

おそらく今後の女優賞は彼女が総ナメにするのではないか。
そうでなければ日本の映画への評価ってナニ?と思ってしまう。

美少女として華々しくデビューしたものの、その後スキャンダルなどで多少薄幸なイメージがあるが、それがすべてこの作品で生きてくる。



そして音楽。

作品全体とおしてあまり音楽は多くないのだが、だからこそその使い方・使いどころにビリビリくる。




決して幸せなお話とは言えないし、不倫と横領のゴールとしてこのラストをどう感じるかはその人次第だと思うが、私は気持ちよく映画館を出ることができた。

おそらく、この結末を私は「ファンタジー」だと感じたからだ。





是非、ご覧いただきたい。



オススメ度:89点



以前のブログはこちら(サイト終了間際です。
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