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拾い読み★2017-144≪コラム記事≫

2017年05月24日 06時47分26秒 | マリーンズ2017

【千葉魂】 苦悩の先に…「必ず立て直す」 伊東監督、ナインと重ねる対話

今季通算10勝目は劇的な形で訪れた。全員で苦しみ、悩み、考えた末にたどり着いた。5月19日のイーグルス戦(ZOZOマリンスタジアム)。九回に同点に追いつかれた後、迎えた延長十回1死二、三塁の場面だった。打球は右前に転がり、サヨナラの走者がホームを踏んだ。抱擁しながら喜びを分かち合う選手たちの姿を伊東勤監督はうれしそうに見つめた。そして戻ってくる選手、一人一人と握手をして、ねぎらった。目は真っ赤に充血しているようにも見えた。

 「泣いていないよ。周りからもそう言われたけどね。目薬だよ。目薬!」

 翌朝、グラウンドに姿を現した指揮官はごまかすように語った。監督、コーチ、選手全員と対話を重ねて苦悶(くもん)の日々を続けた。戦う姿勢が見えないと感じた時は指揮官自身が試合中の円陣に割って入り、げきを飛ばした。大敗を喫した5月12日のファイターズ戦(東京D)。試合後にサロンに全選手を集め、強い口調で語った。「プロとして屈辱的な負け方。オマエら悔しくないのか!」。珍しく廊下にまで響き渡るほど声を張り上げて叫んだ。さらに先発をして10失点をしたエースの涌井秀章投手にも苦言を呈した。「こういう状況で、チームを救う投球をみせるのがエースというものだ」。珍しい光景だった。全員の前であえて信頼するエースを突き放した。

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 連敗が8まで伸びた5月18日のライオンズ戦(ZOZOマリンスタジアム)の試合後にはブルペンに今度は投手陣だけを集めた。全員に集合をかけることはあっても投手だけに集合をかけるのは今まであまりなかった。そこで四球を連発する投手陣の投球が逃げているように見えることを指摘した。「気持ちで負けるな。今のみんなの投球は打者と勝負をしていない。自分の中で弱気になって、自分に負けている。『打てるものなら打ってみろ!』ぐらいの強い気持ちをマウンドからぶつけてほしい」。強い思いを伝えた。

 その日は千葉市内のすし店で遅い夕食を食べながらもずっと選手たちのことを考えた。これまで開幕から数多くミーティングを重ねた。思いを、魂を込めて伝えてきた。ただ、なにかまだ足りないことがあるような気がした。だから、食事をしながらもずっと考えた。そしてある結論に達した。

 「今までこちらからいろいろと伝えてきたけど、選手たちの気持ち、やりたいことをしっかりと聞いてあげることも大事だと思った」

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 翌日、練習前に球場内に若手選手たちを集めた。そして遠慮なく思いの丈をぶつけるように伝えた。悩んでいること、言いたいこと、やりたいこと。提案。それは何でもよかった。選手たちの現状の気持ちをしっかりと聞きたかった。参加した全員からいろいろな考えを聞いた。みんなの前で自らの思いを口にすることで自分を見つめ直すことができた選手がいた。気持ちがすっきりした選手がいた。そして何よりも指揮官自身、選手たちの勝ちたい思い、現状を打破したい気持ちを耳にすることができたことが収穫だったと捉えた。気が付けば、予定していた時間をはるかに超えていた。有意義な時間に感じた。

 そして、その日の試合。エースは投げ抜いた。志願の続投をして九回まで投げ抜いた。そして最後はベテランの根元俊一内野手が必死にボールに食らいつき、サヨナラ劇を呼び寄せた。みんなで喜びを分かち合った。大声で叫んだ。そしてスタンドのファンに手を振った。

 「ファンの皆さんの声援はいつも聞こえている。試合前に大きな声で『今日は絶対に勝ちましょう』。試合後には『明日は絶対に勝ちましょう』と言ってくださっている外野スタンドからの声は私の耳にもしっかり届いていた。それだけに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。すべて自分のせい。自分がふがいないせいでファンにこんなにつらい思いをさせてしまっている。だから、なんとしてでも勝たないといけない。どんな泥くさい形でもいいのでここから勝っていかないといけないんだ」

 監督就任時はあまり目立たなかったが、最近は白髪がはっきりと目立つようになってきた。そして苦悩の日々はまだ続いている。5月19日からの首位イーグルスの3連戦に劇的な形で勝ち越したとはいえ、長いトンネルの出口はまだハッキリとは見えたわけではない。胸を引き裂かれる思いをしながら、それでもタクトを握り続ける。「ファンの皆さんに必ず立て直すと約束した。だから、オレが弱音を吐くわけにはいかないんだ。必ず立て直してみせる!」。長いシーズン、いいときも悪いときもある。ただ、悪いときも、苦しくても歩みを止めず半歩前でも足を踏み出さないといけないと決めている。それが伊東監督の哲学だ。マリーンズは、みじめな現状を受け止め、受け入れながら前に進む。暗闇の真っただ中。その先に必ず光が見えることを信じて突き進む。5月23日からは敵地でのホークスとの3連戦。今季開幕カードで3連敗した相手と場所。紙一重の差の連続ですべての歯車が狂ったあの地で、反撃ののろしを上げるつもりだ。

 (千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

(千葉日報)





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