MY研究所

(えむわいけんきゅうじょ) ピアノの先生の日常と、音楽教室や音楽についてのお話。

なくて七癖

2007年04月30日 | 音楽教室
ピアノを弾く時、腕や指を自由に動かせるようにするためには
なるべく上半身から無駄な力を抜く事が大切です。

そのためには、腰から下を安定させてやる必要がありますので
浅く腰掛け、肩幅に足を置き、背筋をすっと伸ばして座るようにします。

しかし、レッスン中だけなのか普段からなのか、
妙に力が入り変な体勢で弾く生徒さんが見られます。
特にそれが出るのが、足。
手の方に集中してると、下半身にやたら力が入るのか
皆無意識にいろいろやってます。

その一 内股
ミュールなど華奢な靴を履くようなお嬢さんに多いタイプ。
膝を閉じ、かかとを開いてつま先をまた閉じる
という、大変不自然な格好で踏ん張ります。
つま先が細長くなっている靴だと、
ペダルを踏む時そういう体勢で足を乗せないと
ペダル部分にミが入ってないという事も起こり得るので、
まあわからないでもないんですが

その二 つっぱり
足をまっすぐ伸ばし
ペダルやピアノ本体に突っ張って弾くタイプ。
決して足が短いわけでもないのに何故?
この変形で、ペダルの下に足を突っ込み、
持ち上げるようにして踏ん張る人もあり。
それじゃペダル踏めませんが。

その三 バレリーナ
足の指だけで床に踏ん張るタイプ。
つま先立ち状態で器用に身体を支えます。
これまた、つっぱり同様足が届かないわけではありません。

その四 朝顔
椅子の足に自分の足を巻きつけるタイプ。
内巻き・外巻き両方あり。

その五 寄生木(やどりぎ)
椅子の座面を、太股とふくらはぎではっしと挟み込み、
地に足が着いてないタイプ。
修行かというくらい無理な体勢だと思うのですが…

その六 たけのこ
かかとだけで踏ん張るタイプ。
かかとは地面に着いて支えてますが
つま先が筍の如く
天に向かってピンと立ってます。

その七 投げ出し
読んで字の如く、完全に脱力しきって
足を投げ出しちゃってるタイプ。
無理な力は入ってませんが、必要な力も入ってません。

他にいろいろバリエーションはありますが
演奏には向かない格好ですので
軽く注意して直してもらっています。

本人は自覚してなかったりするのですが。

G.W.

2007年04月29日 | 音楽教室
5月の連休が近づいてきました。
早い人は、昨日からもう連休に入っていますよね。

音楽教室もまた
春休み ・ G.W. ・ 夏休み ・ 年末年始は、
一週間お休みになります。
この時期に発表会やコンクールが入ると
休むどころではないのですが

これといってイベントもなく、レッスンが一回抜けると
子供の場合は特に
家族旅行のため、ピアノが弾けなくなったり
「一週間練習を休んでも、まだ一週間ある」と
練習をサボってしまう生徒も出てくるので
それなり準備と心構えが必要となります。


そんなわけで、連休前の私の心構え。

1.宿題として、ピアノがなくてもできる課題を出す。
2.休みだからと、曲を増やさない 。
3.休み明け、できてなくてもあきらめる。

最後は結構、大事です。


せっかくの休みですから、まあしっかり遊んでください。
でもピアノも弾いてね。(←本音)

バイオリン始めました

2007年04月28日 | バイオリン
実は今年に入ってからバイオリンを習っています。
鍵盤楽器は長いことやってますが
弦楽器は初めてです。

よく、初心者がバイオリンを弾くと
聴くに耐えないひどい音がするというので
かなり不安だったのですが
実際弾いてみると、思ったよりまともに鳴ります。

もっとギギギーときしむような音とか、
超音波みたいな音がするのかと思った。



面白いのは、指番号で
ピアノなどの鍵盤楽器なら 親指から小指まで順番に
1・2・3・4・5と番号を付けていくのに対し
バイオリンは 人さし指から小指までの4本に
1・2・3・4と番号が付いているのですね。
しかも、開放弦(弦を押さえないこと)は0となるので
鍵盤楽器の指番号に慣れた人間が
初めて弦楽器用の楽譜を見ると
『……ぜろ?
と びっくりします。

しかし20年もピアノをやってきて、
何故今更バイオリンなのか。
もちろん弦楽器に対するあこがれもありましたが
それより何より
バッハのメヌエットやブルグミュラーなどの
おなじみのピアノ曲に、バイオリンと合わせる
アンサンブル楽譜があることを知り、
これが出来たら、生徒が喜ぶだろうなあ
と思ったのが一番の動機です。

というわけで、楽譜はもう買って持っているのですが
初心者にそうそう弾けるものでないことも
レッスンを受けることでよくわかってきました。
まだまだ先は長いです。

目下の悩みは

バイオリンを弾く際、左肩に楽器を乗せ
あごで押さえて固定という
とても不自然な体勢を長く続けるため

PCの前に座っていても
布団に横になっても
首が自然に左を向いてしまうことです。
そっちには誰もいないのに。


とりあえずピアノレッスン中は
生徒の右に座ることにしてみました。


ピアノ科のサガ

2007年04月27日 | Weblog
街中で流れている音楽に ふと
この曲なんだっけ?
と聴き入ってしまうことってないですか?


音楽を聴くのが趣味、という人は多いと思いますが
私もクラシック中心に いろんなジャンルの音楽を聴きます。
ただし、純粋に娯楽として聴けるのは
『学生時代、自分が弾いた曲以外』です。

ピアノを習い始める年齢は人様々ですが
大学時代の友人らに聞いたところ
4~5才から、という答えが1番多かったので
たぶん、これが平均的なところだとと思います。

私はそれよりもかなり遅く始めているので
高校・大学は本当に余裕がなく
実技のレッスンでは
課題曲をこなすだけでいっぱいいっぱい

そんなわけで
教室のBGMや街中で流れる有線に
ピアノソロ曲が流れていると
ああ、これは1年の時ものすごく苦戦した曲
うわあ、これは実技試験で弾いた曲、
ここのところが難しかったなあ
先生に絞られて、何とか弾いたんだっけ
などと、その頃の思い出が甦り

あまり心穏やかには聴けません。


それでなくても
何か聞き覚えのある曲が流れていると
人の話し声その他、
周囲の音を意識から一切シャットアウトして
それに集中して聴き入る癖があるので
それがクラシックともなると
身体の動きも止まります。


今朝方、自宅の前から
作業車が動いているようなエンジン音と
女性のものらしいマイク音声に紛れて
かすかにオルゴールのような音がしていました。
えーと何だっけこの曲。

そうそう、「赤とんぼ」だ ♪



…赤とんぼ?



まってええええええぇぇぇ


市の普通ゴミ収集車が、ゴールデンウイーク前のためか
いつもより2時間も早く回収に来ていました。




(注)家の地区のゴミ収集車は
“今日は普通ゴミの収集日です”のアナウンスとともに
オルゴール音の「赤とんぼ」を流します

タッチの差で間に合いました。
悠長に聴き入ってる場合じゃなかった。

ビバ百均。

2007年04月26日 | 音楽教室
これで最後の寒の戻りか、
今夜はちょっと冷える大阪です。

今頃風邪をひいてしまった子も多く
今日も3人、盛大にクシャミをしながら
レッスンを受けていきました。


私の所属している音楽教室は
レッスン室にグランド・ピアノがあるところと
アップライト・ピアノのみの場所があります。

譜面台の位置が高いグランド・ピアノに比べ、
アップライトは鍵盤に近い、低い位置にあるので、
椅子の高さや姿勢に気をつけないと、
猫背になって弾く子が多くなります。

ピアノを習いに来ている生徒さんの楽器は
まずほとんど、アップライト・ピアノですから
自宅で弾く時には特に気をつけるよう注意します。

ある日
幼稚園年長組の生徒さんをみている時の話ですが、
やはりこの子も、顔を鍵盤の方に向けながら
三白眼で楽譜をにらんで演奏する癖がありました。
6才の幼子とはいえ、これは結構怖いものがあります。

そこで
視線が上がるよう、楽譜を私が手で持って、
グランド・ピアノの譜面台くらいの高さに掲げて
弾かせていたのですが
レッスン後、その様子を見学してらしたお母様が
「私も、子供が弾く時の姿勢が気になってて
自宅で練習する時、楽譜を手で持たなくても、
その高さで固定する方法がないか
いろいろやってみてるんですけど、
うまくいかないんですよねえ…」
と、ため息をついておられました。

後日。
「先生、とってもナイスな方法を見つけました!」

ええっ?どうするんですか?

「百均によく並んでるスチールの網がいいんですよ
あれを譜面台に立てかけると、いい角度に収まるんです。
で、そこにやっぱり百均の専用フックを取り付けて
その上に楽譜を置くと、ぴったりでした。
譜めくりがぱっとできないのが欠点ですけど。
締めて200円でできました♪」


あっぱれですお母様。

dolce(ドルチェ)は甘い

2007年04月25日 | 音楽用語
私の趣味の一つに、お菓子作りがあります。
夏場は水羊羹や、杏仁豆腐など
さっぱり系のものばかり作りますが

秋から春先にかけては焼き菓子が中心になり
熱い紅茶に合う、スコンやクッキー・パウンドケーキ
などを作ります。
まあ正確には、お菓子作りが好きというより
お茶することが好きなんですけどね。



さて
イタリア語にdolce(ドルチェ)という単語があります。

音楽用語としては 「可愛らしく・優しく」
とされてますが、これ、本来は「甘い」という意味です。
スウィーツ・デザートを指すのですね。


レッスンしている曲の中で、このdolceが出てきた時
『甘い』という意味を伝えますが
日本人の味覚でとらえられる『甘い』とは
基本的にレベルが違う、ということも伝えます。


私 「日本人好みの上品な甘さとは、別物だからね。
   和菓子の中で、甘いっていったら何?」

生徒「えーと、羊羹とか?」

私 「うん、確かにあれは甘いよね。じゃあ
   その羊羹の砂糖の量を、10倍にした物を想像して」

生徒「うえ~っ甘そう…」


私 「そしてそれを食べても

  “甘さひかえめでおいしいわ

  って言うような人間を想像してごらん」


生徒「・・・」(←想像中)


私 「そしてそんな人間が 甘い と感じる
   歯茎が痙攣するような甘さの羊羹を想像してごらん」


生徒「――――」 

 


これで
甘さで脳天がしびれるような感じが
わかっていただければ幸いです。

ご近所の校歌は制覇

2007年04月24日 | 音楽教室
私は、仕事に関してはきっちりしている方ですが
プライベートではうっかり者です。。
しょっちゅう何かやらかすというのではないのですが
だいたい1年に1回くらいの割合で
反動のように、結構な大ボケをかまします。

ここには書けませんが




さて、生徒の中には
たまに肝心の楽譜を忘れてくる子がいます。


差し当たり、ピアノレッスンは
その場にピアノさえあれば、何とかなりますので

覚えているようなら、暗譜で弾かせて指導したり
他の本があるなら、そちらでレッスンしたり
ソルフェージュや即興演奏したりして
「次は忘れないように」と言って帰します。


問題は
『宿題を忘れた・練習をサボって弾けてないから
わざと本を家に置いてきた』という手合いですが

基本的には、気付かないフリをします。


うっかりにせよ、わざとにせよ
無いものは仕様が無いので
怒る時間があればレッスンします。


しかし
時折、見事なまでに全部忘れた上、
曲も覚えていないというツワモノが現れます。

 私 「しかたないわねー。よし、じゃあ代わりに
    校歌を弾いて。」

生徒 「ええええええ

 私 「弾けないなら歌うのも可。」



おかげで いろんな所の校歌を聴けました。
(校歌とは思えないような不思議な曲もありましたが)



しかし思いかえしてみると
同じ子が再び校歌を弾くことは無かったような。

p(ピアノ)は寒い

2007年04月23日 | 音楽用語
楽譜に書かれている、
音楽を表現する用語のほとんどはイタリア語です

一般に p(ピアノ)=弱く f(フォルテ)=強く
と習いますが、伊和辞典を引いて調べてみると
他にもいろいろ意味が載っていて
なかなかに楽しいです。

p(piano)の場合、意味の一番手にあったのは
『平らな』でした。…平べったい?
続く他の意味も
優しい・かわいい・悲しい・ひ弱な・寒い…
そして最後の方に、付け足しのように
「音楽用語として:弱く」 とありました。

これだけ意味があるのに「弱く」しか知らないのは
もったいない話ですよね。

というわけで
私はレッスンの際、これを全部教えてしまいます。
全部は覚えなくとも、イメージとして
いくつか記憶に引っかかって残ればよいと思うので。


「弱く」とだけ教えると
死にそうな音で弾く(確かにそういう意味もある)子が
続出するんですよね…



ある時、6才の男の子が弾く曲の中に
初めて p と f が出てきました。
曲のタイトルが 「お日様」だったので
イメージを掴みやすいように
「ここの p は、空が曇って寒くなった感じで」
と言うと、納得してそれらしく弾いてくれます。

次に f を指し
「じゃあ、ここはどんな感じで弾く?」と聞くと
「ぬくい感じ」と即答されました。


うん。悪くない。




余談ですが
うちの教室の周囲にある小学校の音楽のテストでは
p=弱く と書かないと×になるのだそうです。
もっと自由に
楽語の本来の意味をたくさん教えちゃって、
その内どれか一つだけでも書けたら○にするとか
できないんでしょうかね。

絶対採点が楽しくなるのに。

そんな頃から

2007年04月22日 | Weblog
生まれてきた時のことを覚えている、という人がいますよね。

さすがにそこまで記憶を溯ることはできませんが
自分で覚えている
古そうな記憶が2つあります。

一つは、自分が柵の付いたベビーベットに寝ていて
天井から下げられていた、紐を引くと音楽が鳴って回転する
カラフルな玩具(ベッドメリーというらしいですね)の紐に
手を伸ばし、引っ張ろうとしていたというもの

もう一つは
枕元にあった、ピンクのおきあがりこぼし人形
(揺らすとコロリンと音が出ました)をつかまえ
その頭に付いていた丸い突起をねじってむしり取った
というのがあります。



親に確認したところ、どうやら1歳前後の記憶のようですが

音がする物がある
手でなにかしようとしている
一人にされていて、他に人がいなかった
という点が共通しています。

赤ん坊の頃から音の出る物に執着するところがあったのか
手がよく発達していた(+馬鹿力)ということなのか

人が見てないと、とりあえずいろいろ手を伸ばし
何かやらかす やんちゃ者だったということなのか


三つ子の魂百まで といいますが



ピアノの先生をしている今
どれも当てはまるなと思いました。




もういい大人ですので
三つ目に関しては何とかしたいと思っております。

くるくる。

2007年04月21日 | 音楽教室
仕事をしている音楽教室での個人レッスンは1回30分ですので、
連続して生徒さんが入っていると
先生は30分に一度、レッスン室の扉を開閉するだけで、
レッスン室から外に出ることは、あまりありません。

空き時間は基本的に、自分の練習や次の準備に当てますが
個室に閉じこもっているのも寂しいので
生徒が遅れていたり、お休みだったりするとロビーに出てきて
他の先生やスタッフと言葉を交わしたりします。



ところでメヌエットやワルツを知っていますか?
ワルツは今でも社交ダンスとして踊られていますね。
どちらも3拍子系の 踊りのための曲であり、
しかし、踊りとしてはかなり違うものです。



現在、メヌエットは楽曲として残っているものの
一般に踊られることはありません。
というのも、メヌエットというのは今からおよそ300年前の
バロック時代、貴族達に踊られていた古い舞曲ですので
ヨーロッパに革命が起きた後は、踊られなくなっているのです。


今では研究者が資料から「こんな踊りであっただろう」と
踊りを再現し、講座などで実際に踊ってみることができますが
拍子の感じ方もかなり違うことがわかります。

私も、バロックダンスを実際に踊ってみるために
何度か講座を受けたことがあり、
メヌエット・ガボット・ブーレなどの古典舞踊の
それぞれ一番簡単なステップを習いました。



さて

話ははじめに戻ります

ある時、同僚のB先生と話していまして
古典舞踊の話になり(彼女も同じ講座を受けていた)
「あれって、見た目より結構難しいよね~」
「でも踊ってみせると、生徒の演奏が変るよね」
などと盛り上がっておりました。

その後レッスンがあったので、一旦部屋に戻り、
次に時間が空いた時、レッスン室の扉を開けると
スタッフのCさんと、先ほどのB先生が回っていました。


止まったところで声をかけ、聞いてみると
ダンスをやっているCさんに、
ターン(回転)を教えてもらっていたのだそうな。

なるほどね~と眺めていたところで、
私の次の生徒が来たため
最終的にB先生が回れたのかは不明。



と、いうわけで
入った途端、回転したり踊ったりしている先生がいる
不思議な音楽教室があっても、逃げないでくださいね。
研究熱心な先生がいるだけです。